「Education」カテゴリーアーカイブ

2017/09/07 :意見書・手続補正書

軒下管理人さんに知らせてもらったのだが、締切間際になって  2017/09/07 :意見書、 2017/09/07 :手続補正書 が提出された。
STAP細胞の特許申請が拒絶(2017/03/07 :拒絶理由通知書 )されたのだが、不服で2回の不服申し立て延長が行われ最終期限の6ヶ月経過したのだ。
特許情報プラットフォーム審査書類情報照会
番号:2015-509109 を入力すると見える。
以下のように単純化すると、また怒る人がでてくるだろうけど、ざっと読んだ結果は以下のようだ。
最初の申請は、 「細胞をストレスに供する工程を含む、多能性細胞を生成する方法」である。多能性細胞を作る方法は、申請者の論文は撤回されたし、申請者自身も再現できないんだから、特許になるわけがないでしょと拒絶されたのだ。これを「ATPで培養液をpHを5.4〜5.8にする工程でOct4遺伝子を発現する細胞の製造方法」と改訂して不服申立/再申請したのだ。
審査員が拒絶の際引用したHitoshi Niwa 論文でOct4遺伝子を発現する細胞が再現されているからいいでしょというのが理由だ(ちなみに特許庁の審査員も申請者もHitoshi Niwa, et al,としているがHitoshi Niwaの単著論文だ)。
多能性細胞をつくるのはあきらめて、塩酸などの単純な酸性物質でははなくATPによってと限定してpH5.4〜5.8という極めて狭い範囲に限定した培養液でOct4発現細胞だけを作る方法ということに申請を変えちゃったわけだ。これって、特許の意味があるか?多能性を引っ込めちゃったのだ。
ストレスを与えて、死にそうになったら、Oct4と限らず、なんでも無秩序に発現されちゃうだけだろ。そんな細胞は役にたたない。意味のあるOct4の発現でないと特許としての意義はない。
多能性細胞ができなければ意味のない特許だったはずで、なにか、ともかく特許を成立したという実績を作るためだけなんだろうね。
軒下管理人さんのおっしゃるとおり、これがまた擁護の連中が筆頭著者担当部分が特許申請されたと騒ぐことになるんだろうね。teabreake氏はどういうコメントするんだろうね。こういうことにこだわっている方のようだから。
ちなみに補正書の内容は;

● 細胞を、低pHストレスに供する工程を含む、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成する方法であって、該低pHが、5.4~5.8のpHであり、且つ、pHの調整がATPを用いて行われることを特徴とする、方法。
● 細胞塊が外来遺伝子、転写物、タンパク質、核成分もしくは細胞質の導入なしに、または細胞融合なしに生成される
● 細胞が組織の部分として存在しない、
● 細胞が体細胞、幹細胞、前駆細胞または胚細胞である、
● 細胞が単離された細胞である、
● 細胞が細胞の不均一な集団中に存在する、
● 細胞が細胞の均一な集団中に存在する、
● 細胞が2~3日間曝露される、
● 細胞が1日間以下曝露される、
● 細胞が1時間以下曝露される、
● 細胞が約30分間曝露される、
● 細胞が哺乳動物細胞である、
● 細胞がヒト細胞である、
● 細胞が成体細胞、新生児細胞、胎児細胞、羊水細胞、または臍帯血細胞である、
● 細胞塊をインビトロで維持する工程をさらに含む、
● 細胞のエピジェネティック状態が胚性幹細胞のエピジェネティック状態により近く類似するように変化させられる、
● エピジェネティック状態がメチル化パターンを含む、
● 上記のいずれか1項記載の方法によって産生される細胞塊を候補薬剤と接触させることを含む、該細胞塊の生存能、分化、増殖の1つ以上に影響を及ぼす薬剤を同定するための使用のためのアッセイ。
● 細胞塊を含む組成物であって、該細胞塊が請求項1~17のいずれか1項記載の方法によって細胞から生成される、組成物。
● 細胞を、pH5.4~5.8の低pHストレスに供する工程を含む、該細胞においてOct4遺伝子の発現を誘導する方法であって、ここで、pHの調整が、ATPを用いて行われることを特徴とする、方法。
● 細胞を、pH5.4~5.8の低pHストレスに供する工程を含む、Oct4遺伝子を発現する細胞の製造方法であって、ここで、pHの調整が、ATPを用いて行われることを特徴とする、方法。

である。

たいへんよくできました


こういうスタンプが最初に使われたのは小学校では?管理者のようなジジイの小学校時代にはなかったと思うが、成績が悪くてこういうスタンプはもらえたことがなかっただけかもしれない。
前にも書いたが学生さんのレポートを評価するわけだが、点数をそのままレポートに赤字で書き、返却すると、学生は計算して、学期末に調整する。実習の筆記試験を実施するわけだが、そもそも実習は参加し提出されたレポートで評価するのが主なわけなので、レポートの点数がわかっていると、学期末の筆記試験を手抜きする。だから

というスタンプを購入してレポートの表紙に押して返却している。前とはスタンプを変えた。どのスタンプが評価が高いのかは公開しているが、どのスタンプが何点であるかは教えない。毎回少しずつ異なり、「たいへんよくできました」はレポート課題により100〜70点にしている。計算してもらいたくないからだ。医療系の大学では、資格試験である国試があるので、受験資格さえ得られて国試に合格すればいいのであって、在学中の成績など関係ないように思うのだが、一応、就職先は成績証明を要求するからか、学生さんは点数を非常に気にする。合否すれすれの学生だったらわかるが、明らかに、「すごくいい」という評価のレポートをもらうのが多い学生さんでも点数を気にする。
ネットでスタンプを探すと上のスタンプのようなものばかりで、決して明確に悪い評価のスタンプは市販されてない。自分で作成するしかない。仮に成績が悪くともエンカレッジするような表現にするのが小学校からの一般的な評価の伝達方法だ[ 下記追記 ]。
減点法の点数をもろに書いた結果0点なんてのも有り得るのだが、のび太ならいざ知らず、小学校から0点なんて評価を受けたことのない子どもは、大学生になって0点なんて言われたらパニックになってしまうのだ。甘やかされているからね。だから管理人のジジイはスタンプで、最悪の評価なんだよと暗に知らせつつレポートを返却することにしている。
減点法で、ミスを指摘し減点するけど、考察に根拠のある独自の考えによる推測とかがあると減点をカバーし、なおかつ満点より高い点になってもかまわないとしている。期末試験とは異なり、幾つものレポートの評価の平均点が最終評価になるのだから、数個のレポートが100点満点で120点となっても平均点が100点になることはない。学生にも伝えてある。
「手を抜くな!」とか「コピペするな!」とかいうスタンプは市販にはないから自分で作るしかない。
[ 追記 ] 2017/08.24
けなすことは避けて必ず褒める ということで思い出したことがある。
高校の国語(古文だったか漢文だったか忘れた)の教員が、学期最後の授業で、すでにその学期の試験も終了し成績評価も終わった時点での授業で、管理人を名指しし、起立させて、「君の今学期の評価はA(5だったかも)にしたが、おまけだ。来学期はもっと頑張らないと、もうAはつけないから、しっかり勉強しなさい。」と言ったのだ。「へ?なんだそれ。皆の前で言うことか?」というのがその時の感想ね。期末試験は、ま、それなりに勉強する必要があるわけで、やったわけで、その評価は返却された解答用紙にある点数でわかるわけで、その結果、AかBかはしょうがないわけだ。もっと頑張れと言われたって、どのように何を頑張ればいいのかがわからないから、全く意味のない宣告だったのだ。事実、以降、国語の成績がよかったわけではない。教員の方としては檄を与えたのかもしれないけど、受け取る管理人が鈍いから意味がなかったのだ。褒めるのも、けなすのも、状況と相手の性格とかを考えないと意味がないんだよね。
現在、教える側になって、学生個人個人の正確とかを考えて、アドバイスとか檄とかをするのはできないので、上記の管理人の高校時代の例のようなことはせず、クラス全員の前で、誰とは指名せず、レポートの書き方の良い例・悪い例を説明するのだ。頭の中には、xx君のレポートを描きつつね。褒めるときは個人名を揚げるけどね。

人間力見極める

<教育学部入試>面接増 国立大の半数「人間力見極めたい」らしく、入試に面接を導入するのが増えてきたとの記事だ。
面接で、見極められるだろうか?
面接では、時間がないから・時間が決まっていて特定の受験生(集団面接の場合はグループ)の面接時間を短く・長くしてはいけない。聞くことは志望の理由とか高校でボランティアをやっていた?部活ではなにをやっていた?なんというワンパターンで、受験生が対策をすでに行っていることだ。公平な負荷でないといけないということで、受験生が予想する・練習してきた質問になってしまう。最初の受験生に思いつきで質問すると、その後の受験生にも同じ質問をしないといけない。
ま、そんなワンパターンの面接でも、受験生は高校・予備校で練習してきたはずと思うので、スムーズな返事がないと評価が下がる。できて当然の答えがないからな。態度、服装も評価対象になるだろう。
人間力なんて定義もわからない定量化もできそうにないことをどうやって評価するんだろ。
医学部は面接を昔から実施している。卒業したらサービス業になるからな。変人は困る。でも内海みたいなのを選別できなかった。1年生で、やっぱりやっていけないとか、声優を目指すとか、服飾関係に行くとかで退学するのが毎年必ずでてくるけど、面接時には立派な動機を喋るんだよね。医学部では一時、スポーツ医学を目指すというのが多かったけど最近はどうなんだろ。理学療法ではきまって自分がスポーツをやっていて捻挫とかで理学療法士に面倒みてもらった、おじいちゃんのリハビリをみているからとかが多い。全員が理学療法士になりたいと面接時に言うけどそのうちの何%かは嘘だ。見抜けない。両親が医学分野で働いているからと親に押し付けられてくるのがいて、途中で頓挫することが結構あるけど、親の職業を聞いちゃいけないことになっている。
明らかにbehaviorがおかしいので学力試験の成績とは関係なく落とすくらいしかできないんだよね。筆頭著者なんて、面接評価がすばらしく高かったにちがいない。早稲田のAO入試はすばらしいということに、一瞬だけなったけど、そのあとはボロクソだよね。面接時だけでなく、その後も長く観察していたはずなんだけど、だまされちゃったんだよね。面接ではじくのは難しいね。

藁人形が大好き

ウエスタン・ブロッティング(WB)の結果をどう処理したら公正なのかで議論がある。
片瀬久美子氏がそのブログで、WBの撮影結果を画像調節して、「あるのがわかっているバンド(スポット)を見えなくするのはよろしくない」と主張し、その例を挙げてアンケートを取った。
これに対し、他の方が、バンドを見えなくするのに、画像加工ではなく露光時間を短くするのとの差がわからないとのコメントがあったらしい。 他の方から(片瀬氏曰くで確認していない)「「気の遠くなるくらいの長時間露光をして、かすかに出て来るバンドまで無限に残らず論文に掲載せよ」と片瀬久美子氏が主張している」というコメントがあったりして、片瀬久美子氏は「誇張や極論化による「藁人形」作りはおやめ下さい。」と発言している。
おなじみ一研究者・教育者さんは「片瀬氏の「存在するのがわかっているのに短時間の露光でバンドを消したらアウト」という考えには、私は同意できない。」とし、露光時間を議論しているのに、片瀬氏はが画像処理を調節する議論を勝手に展開するのは「「わら人形」論法である。」と批判している。
皆さん藁人形がお好きなようで。
WBの写真は、生データで、生データが信頼できるようだということを示すのが肝要で、そのために、短時間の露光や必要以上の露光を行っているのではないということを示せばいいのではないでしょうかね。つまり明るさやコントラストを調節せずに提示できるようにデータを取れということです。むずかしいでしょうけど。管理人自身はWBなんてやってないからわからないけどね。現実にあいつのWBはきちゃない、あの人は上手だということがあるようだから、トレーニングは必要だ。
管理人の研究していた分野では例えば、こういう写真を論文の冒頭にもってくるのがパターンとなっている。つまり、しっかりデータを記録しこれを解析しているんですよということを示すわけだ。

単一ニューロンの活動を記録しつつ、何かを刺激したらこのニューロンの活動が変化したよという写真である。一本一本の縦線に見えるのが活動電位(スパイク)なのだ。発火頻度が低いので、この写真は数回刺激した結果を重ね焼きしている。今時はこういう図はAD変換器を介してデジタルで保存するから、この写真のようなオシロスコープでの重ね撮りの写真なんか珍しいだろう。しかし、このような写真が撮れることがデータの信頼性を示すことなのだ。 刺激というマークのところで活動電位の数が少ないのが分かるでしょ。でも不規則に活動するニューロンの数回程度の重ね撮りだったら偶然かも。偶然の結果を写真に示していると疑われちゃうかも。
だから、刺激がこのニューロンの活動を抑制することを示すために、この活動電位が生じたことを1として50 ms毎にカウントして作成したのが下図のヒストグラムだ。数十回以上の試行をカウントしている。つまり生の写真だけで証明するのではなく、別の手段でも証明しているのだ。

WBも、それだけではなく、他の方法での提示もできることによって、その他のバンド(スポット)がある無しなどに関係なく、事を証明するのという方法が採用されるようになるのでは?具体的にどうしたらいいのか知らないけどね。
WBの写真だけの論文なんて信用できないという時代にそのうちなるさ。そうなったら、WBの写真の加工は意味がないから、それなりの露光時間で撮影し、ゴミが少しあっても問題にならないということになるんでしょうね。それなりの写真にするには、それなりの訓練が必要になるのは当然ですが、そこそこの写真で問題ないという時代にそのうちなるのではないでしょうか。
All or None でないとレフリーに通らないという現状がまずいんですよね。こうなったのも、コントラストを調節して「きれいな」ゲル写真にした方がいて、前例になって、これを真似るのが慣例になりつつあるからですね。レフリーもこのコントラストのきつい写真が当然だと思うことになっちゃったんですかね。レフリーを通らないから、きれいなコントラストのあるWB図ではないといけない(こんなとこでクレームがついてrejectされたらたまらない)というわけで、画像編集が当たり前になっているのではないでしょうか。
地道にやって、その研究者や研究室では生のデータがきちんと取れているという評価を得ることが必要ですね。

ゴミペラサイト

当初は多くの方がいろいろなSNSで意見を述べていたので、ブックマークではなく、ポータルサイトのページとして自分だけが使えばいいというページを作ったのだ。自前サーバの利点でいくらでも独立したページを作れる。そのリンク先の多くは筆頭著者擁護のTwitter/FaceBook/Blog だったが、現在ではもう死んでいる・死に行くサイトが多いわけだ。当然だな。
このリンク先ページはリンク先をチェックもせずそのままメインテナンスは時々だけで放置に近い状態だ。他人へのサービスじゃないからね。しかし、結構な人が利用しているようで、Google  で「論文捏造」などで検索すると上の方に出てくる。
だから擁護の方々にも目に留まったわけで、「一研究者・一教育者」のブログで、コメントがあった。

「STAP問題を見事にまとめたサイト」の意味が皮肉なのかよくわからないけど、我が芋虫m君はこのコメントに対して;

と述べている。ま、芋虫君には理解ができないからしょうがないね。ル にもて遊ばれるのもしょうがないな。

陰極興奮

電気刺激とは2つの電極間に電流を流すことだ。電流はプラス電極(陽極)からマイナス電極(陰極)に流れる。興奮性組織(細胞)を電気刺激する場合、電流が流れ出る側(陽極)部分で興奮が発生するのか、逆に電流を吸い込む側(陰極)で興奮が発生するのかについては、明確な説明があって、古くはEduard Friedrich Wilhelm Pflügerというドイツの生理学者が、まだイオンチャネルなどの概念がない19世紀末に明らかにしている。プリューゲルの法則という。
昔はパルスで電気刺激することができなかったわけで、直流で刺激するときスイッチをONにする、OFFにするときの反応を見ていたわけだ。
電流刺激の際、電流が細胞内を通るときは、陰極に近い細胞膜では細胞膜を横切る電流が細胞内から細胞外に流れることにより膜電位が脱分極して興奮が発生する。陽極側では電流が細胞外から内に流れることになり膜電位が過分極するので活動電位が発生しにくくなる。つまり刺激電極の陰極側で興奮が発生する。

緑の部分が過分極し、活動電位が発生しにくいが、オレンジの部分は脱分極し活動電位が発生する。

陽極側では刺激電流が止まった時、過分極で活性化されやすくなったナトリウムチャネルが膜電位が元に戻る時に活性化してナトリウムイオンが流れ活動電位が発生する(anodal breakとかいう)。
これを、生理学実習で学生さんに体験してもらいたいと思い、いろいろな案を試してみた。自分あるいは友人を被験者として陰極の部分で興奮が発生するということを実際に感じてもらうのだ。なんせ、上記の理屈なんかなかなか理解してもらえないからね。
体験させるような実習は案外難しい。例えば人差し指と中指の先端に刺激電極を貼り付け、刺激電流を徐々に大きくしていったら、どちらの指先で感ずるかというのがすぐ思いつくことだか、これでは陽極・陰極で差がない。人差し指先端に電極を貼り、もう一方の電極を爪とか肘頭とかのような皮膚に感覚神経がない・少ない部分に貼り、流す電流の方向を変えて、人刺し指で感ずる閾値を求めると、人差し指が陰極の場合に閾値が低くなると思いきや、陽極の場合と差がない。
指先に小さな電極を貼り付け、近くに銀板でできた心電図の四肢用の大きな電極を付ける。小さいところは電流密度が高いからより効果的に刺激できるが、大きな金属板が皮膚に広く接触していると電流密度が低く、刺激効果が少ないはず。この条件で指先に付けた小さい電極を陰極・陽極に変えて閾値を求めても、陰極のほうが閾値が低いはずと思いきや差がない。
ネットで調べると陰極興奮を説明している記事、文書はあるが、これを読んで理解するのが、残念なことに難しいわけで、カエル坐骨神経刺激の実習を行うのでその前に、陰極側で興奮が生じることを体験してほしいわけだ。
指先と他の皮膚では刺激電極が陰極・陽極の関係が異なるようだ。指先の電気刺激では指先が陰極の場合、陽極の場合の閾値より1.3-1.5 倍大きい。( K.A. Kaczmarek ; M.E. Tyler ; A.J. Brisben ; K.O. Johnson, The afferent neural response to electrotactile stimuli: preliminary results. IEEE Transactions on Rehabilitation Engineering, 8.  268-270, 2000)。これはサルの指の神経束がら単一神経軸索の活動電位を記録して指先皮膚を電気刺激して得られた結果だ。
一方、こっちの論文はどこの皮膚かAbstract からでは分からないが、陰極側のほうが有効であるとしている(A. Higashiyama ; G.B. Rollman, Perceived locus and intensity of electrocutaneous stimulation. IEEE Transactions on Biomedical Engineering,  38, 679 – 686, 1991 )。Full paperを購入する気はない。
というわけで指先の皮膚を使うのは止めたほうがいいようだ。
そこで、ディスポーザブルの表面電極を前腕前面中央に貼り、もう一方を肘頭に貼って電気刺激してみた。

肘頭部分は電流が強くても感じないから、被験者は前腕前面中央の電極に注意を向けることができる。これで実施すると、陰極の場合のほうが閾値が小さいのが分かる。つまり、陰極興奮を実感できる。
陰極興奮を実感できると思うが、では何故、陽極でも刺激電流が大きければ、興奮性組織が興奮するのか?という質問がでたら素晴らしいのだが、出てこないだろうな。
なんせ1年生の生理学実習は幼稚園並だからな。そりゃ、皮膚がピリピリするから大騒ぎさ。

RR間隔と心拍数

25 mm/sec で記録した心電図のRR間隔が22 mm であった。このRR間隔から心拍数を求めなさい。
生理学実習では心電図を記録する。互いに測定者、被験者になるから、記録された心電図のRR間隔から心拍数を計算すると、レポート毎に結果は異るはずだ。つまり学生各自が自分で計算する必要がある。ほかの実習では、班に1つしかデータがないというような場合があるから班の中で誰か一人計算すればいいが、心電図の場合はそうはいかない。
レポートを作成しているのだからきちんと計算できていると思うと大間違いなのだ。そんなのはわかっているから、RR間隔から心拍数を計算する方法を、演習で教えるのだ。
「周期と頻度とは逆数関係なのだ」と言っても理解していない。すでに中学とかの算数でやったのでは?と思うところなのだが、そして多分やってきたのだが全く理解していないからね。まずこれから始まる。
で間隔を秒で測定したらその逆数の頻度の単位はHzになるが、心拍数は1分間の回数なんだから60倍するのだ と言うけどどこまで理解できているか….
実習の評価はレポートが主なんだけど、筆記試験も課すわけだ。さらに講義の方でも試験を行うわけで、計算方法の演習ー実習の筆記試験ー講義の筆記試験(中間試験)と1週間ずつ開けて全く同じ問題を97人の学生に解いてもらったのだ。

図からも推測できるだろうけど、2回の試験でそれぞれ正解者は2/3いるのだが、実はわかっているのは半分だけなのだ。
さて、この結果をどう評価する?
教えるのが下手くそ だろうね。

一次資料にあたっても…

あっちの方ブログの方々は一次資料にあたらずに、思い込みで発言していると先に書いたが、どうやら一次資料を提示しても読めないらしい。
ブログのコメントで3706. 通りがかりの傍観者 (2017年07月23日 19:13)さんが、論文撤回に際しての笹井氏のコメントを読んで;

(笹井氏の)撤回事由書からは、誰がどの様な研究不正を行ったか、理解されている様子を感じ取りました。

と発言したわけだ。笹井芳樹副センター長コメントの

研究所の若手研究者育成を担うべき副センター長としても、本件に関する重い責任を感じ、

というフレーズを読んでの感想である。該当するとことはここしかないからな。
これを読んだ芋虫ことmくん(3707. m 2017年07月23日 19:57)のコメントは

仰る通りですね。無実である共同研究者をあろうことか捏造者呼ばわりをし地獄の底に突き落とし自らは平然と大学教授の椅子に座る。
これでは笹井さんも浮かばれませんね。
卑劣極まりない許しがたい所業です。

笹井芳樹副センター長コメントの何処をみたら笹井氏が若山氏のことに言及していると思えるのだろうか。若山氏が「若手研究者」であるわけがない。「若手研究者=筆頭著者」を指導できず責任を感じているとあるんだろうが。
一次資料にあたっても読めないから、一次資料にあたれとと言っても無駄なんだ。
擁護の方々も、この芋虫ちゃんを持て余しているのでは?
[ 追記 ] 2017.7.25
芋虫ちゃんは降りる(3712. m 2017年07月24日 22:55 口の悪い自分のような人間がいつまでもここにいては、….今後はコメントは控えさせて頂きます。)そうです。口が悪いとは誰も思ってはいないのでは?口が悪いとは、単純に罵声を浴びせることではないと思いますがね。

モル濃度その2

さて、モル濃度という記事で学生さんがモル濃度の溶液の調整ができないと書いたのが5月だったのだ。
前期の実習が終わり、実習総括というわけで、t−検定とか、モル濃度の溶液の作成とか、RR間隔から心拍数を求めるとかの復習講義を行ったわけだ。勿論、これらが試験に出るぞという’脅し’付きなのだ。
前回の5月は

だったのが、今度の7月の試験では

となった。分類が異るが、「計算だけはできた」というのは前の100 ml に溶かすとか93.154 mlの水に溶かすとかいう回答に相当する。正解が29%から71%になった。予想より素晴らしい。が、きっと後期末まで維持できないだろう。後期の試験に予告なしに同じ問題を出すと、正解は半分くらいになってしまうだろう。全くできなかった学生は今後とも期待できないだろう。

急性食塩中毒

毎日新聞によると1才児に食塩入りの液体を与えて急性食塩中毒で死亡させたという事件があったようだ。 保育士の資格もない無認可保育所所長が8月17日という暑い時期に1才児に食塩水を投与したところ急性食塩中毒になったらしい。
暑くて大量の汗をかくから、大人同様に塩分を与えねばと、よかれと思ったのかもしれない。乳児は、塩辛らくても拒否できないから多量の食塩を摂取させてしまったんだろうな。悪意・殺意があったかどうかはわからない。急性食塩中毒の知識があったとは思えないので殺意があったかは疑わしい。
食塩中毒など聞いたこともないことが簡単に起こり得るのかということで、計算してみた。
有効数字1桁の計算だ。
1才児の体重は9.3±0.9 kg だから9 kg だったとする。 公益財団法人 日本中毒情報センター によると、食塩のヒト推定致死量 0.5~5 g/kgあるいは1~3 g/kgで 、致死的ナトリウム血中濃度 185 mEq/L 以上だそうな。
体重 9 kg だから 0.5 /kg つまり 4.5 g〜 投与したら死ぬ可能性があるということだ。
正常なナトリウムの血中濃度は 135~148 mEq/L である。 140 mEq/Lとして計算する。致死濃度との差を求めると
185 mEq/Lー140 mEq/L=45 mEq/L  ということになる。
体重 9kg で乳児は体重の70%が水、30% が細胞外液(どんな教科書でも書いてある数値)とすると、細胞外液は 9x0.3= 2.7 kg となる。細胞外液の比重を1と仮定すると 2.7 L の細胞外液だ。血漿と細胞外液のナトリウム濃度は一致しているとする。 塩化ナトリウムは水にとけて全て乖離するとし、ナトリウムが2.7 L に 45 mEq/L 余計に溶けているとすると Nacl の分子量は 58.5 だから 58.5 X 0.045 x 2.7 = 7.1 g 余計に溶けていたということだ。 食塩小さじ1杯は 6 g ということだから、小さじ1杯強の食塩を飲ませた結果、致死濃度の185 mEq/L 以上になったということだろう。
食塩の溶解度は 約300 g/L(23%程度) だから7g の食塩は 23 ml の水に溶ける。海水が3%位だからかなり濃い。大人は飽和食塩水なんて飲めないだろう。
乳児に与える飲み物を作る場合、 20 ml とかの少量ではなく 100 ml 程度作るだろう。とすると小さじ数杯(30 g 程度)の食塩を、多分、溶けきれなくても気にしないで 作り、20~30 ml を与えたのではないだろうか。
乳児だから、塩辛くても拒否しない。その結果、6~9 g 程度経口投与したのではないだろうか。 簡単に作れるし投与できる。小さじ何杯かの食卓塩を水にとかして飲ませたわけだな。
乳幼児でもこの濃度の食塩水を口にいれたら嫌がるのではないだろうか?それでも強引に口の中に入れたんだろうな。嚥下反射は強力だから口の中に入ったら直ぐ飲み込むだろうし、症状が出てくるのは飲んだ食塩水が小腸に達してからだから、時間がそれなりにかかかる。
保育士になるため講義や実習でも、「塩分を与えるとしても濃い塩水を飲ませるな」なんて注意はされてないだろうね。 急性食塩中毒で検索すると、統合失調症患者とかチワワとかで、めったにない事件ですね。
しかし、乳幼児とか高齢者、認知症とかで、拒否できない方には意図も簡単に中毒にさせてしまうことができるようだ。意識のある方では、塩辛いから大量の水も同時に摂取するから中毒にならないだろう。結果として体重が増えるだけかも。だから単純に 0.5~5 g/kgと食塩の量だけで致死量としないで、availableな水の有無を考慮し、中毒かどうかはナトリウムの血中濃度で判断する必要がある。