小保方晴子さんへの不正な報道を追及する有志の会の
2017年02月27日 STAP細胞事件についての議論 のコメントに
2179. ペコリ 2017年05月30日 01:20
mさん
本来、実験ノートというのは他人に見せる為に書きません。
自分が読んで理解できれば、それでいいんです。マウスがデカく書いてあったとか、2冊しかなかったとか。馬鹿じゃないかと思いますね。
それが、生物学の常識を覆すような研究なら、尚更です。
小保方さんも再現するにはレシピなる方法があると最初から述べているのに、簡単に見せたくありませんよ。
その事を鷄みたいに忘れてしまってノートの少なさを非難する。
研究の重大性と簡単には見せられないノートがあることを、どうして想像できないのでしょう。
馬鹿らしいですね。
実験ノートは報告書だと勘違いしてるんですよ笑。
というのがあった。
はっきり言ってこの「ペコリ」のコメントは間違いです。こんなコメントを信用する方はいないと思いますが、それでも若い学生さんが誤解するといけないので以下に書きます。
この有志の会というブログでは科学的リテラシーを欠いた輩が騒いでいるだけなのがよくわかりますな。
実験ノートの所有者は実験室を主宰しているPI・研究室・研究所です。卒業・転職・退職時には研究室に残すことになります。ですから、自分以外の第三者が理解できるように記載します。第三者といっても、ペコリのようなド素人が理解できるという意味ではないです。該当分野の研究者が理解できる程度に記述します。プライバシーはないです。同じ研究室所属の人以外には、見せないというのは正しいですが、疑惑が生じた時は自分自身を保護するためにも開示する必要があります。
実験ノートは基本的に他の研究室の人に見せるものではないですが、自分自身の実施した実験を、自分自身が、あるいは同僚・上司・後輩が再現するために必要な情報が書いてあることが肝要です。毎回、思うような実験結果が出るわけではないので、再現できない理由を調べる必要が必ずあります。想定とは異る結果が再現するのかもしれません。基本的には自分自身の実験遂行のためにあるのですが、他人が理解できなければいけません。「自分が読んで理解できれば」というのが筆頭著者の実験ノートだったから、後に、何が書いてあるのかを調査委員会に説明できなかったわけですね。「生物学の常識を覆すような研究」だろうと、誰かの実験の追試だろうと、再現できるよう、きちんと書いてある必要があります。「レシピがある」といってレシピを公開したけれど、本人自身を含め誰も再現できないようなレシピしかできないのは実験ノートがないからでしょ。渡した物は「xxxxとラベルのある冷凍庫にあったサンプル瓶を解凍して得た細胞」との記述が実験ノートにないから(書けなかったから?)、こんなことになっちゃったわけですからね。
フォーマットは研究分野や研究室で異るので一概にはいえませんが;
1)ルーズリーフのような取替ができるのは原則禁止。糸で閉じてある(製本してある)ノートにする。表紙には実験タイトル(プロジェクト名)と記載者氏名、記載開始日時、終了日時、ノートのシリアル番号(ノート1冊ということはあまりない)があること。
2)各ページにはページ番号と日付があること
3)研究テーマではなく、何のための実験か、そのノートに記述する実験が何を証明するために行うのかを簡潔に記述すること。
4)薬品の調整等の操作を記載する。「xxモルの溶液を作った」ではだめで「x mg を y mlに溶かした」のように、実際に操作したことを記載する。間違えた濃度で実験したのかもしれないことが後でわかる。
5)実験毎に利用する機材が異ることがある。例えば自作のガラス管電極等で、毎回異ることが有り得るので、その機材の特性(電極抵抗、先端の径、なにを充填したか、などなど)を記載する。
6)操作の時間は、開始時刻ー終了時刻のように時刻も合わせて記載する。
7)実験中に実施した計算結果等は、計算の元になる数値を必ず記載する。計算結果だけでは、計算間違いがあったかどうかわからないから。
8)ボールペンで記載する。誤りはホワイトなどで消さず、取り消し線で修正する。元の値が誤りではなかったかもしれない。
9)余白がないようにする。後からの解析結果は別ページとし、「解析結果はxxページ」等記載する。
10)実験中はこのノートが常に傍にあって、記入できるようにするわけだが、場合によっては(クリーンルームには持ち込めない等)、メモ用紙に記入せざるを得ないことがあるかもしれない。そのような場合は、実験ノートにのりで貼り付けること。
11)電子ファイルでしかありえない記録は、その記録番号等をノートに経時的に記載する。記録条件、設定パラメータを実験ノートに記載する。パソコンのファイルとして記録・保存される場合は、必ず合計3ヵ所に保存する。パソコンのHDDは必ずいつか壊れるし、研究室の共有ファイルサーバ(NAS)も所詮HDDだから壊れるし(RAIDを組んでいるから研究室の管理がまともだったら多分大丈夫だけど)、いわんやUSBメモリーなんかはどっかに紛失する(大学病院の洗濯室はUSBメモリーの山だ)。
12)肉眼観察の場合、スケッチを描くのが普通だが、今やスマホがあるので、写真撮影が簡便かもしれない。しかし、写真では、往々にしてわかりにくいのでスケッチも併記するのがいいだろう。
というようなことが記載されているわけですな。なにか抜けているかな?
[ 追記 ] 2017.5.31
Zephyrusさんから、上司のサインが必要とのコメントをいただきました。大学の研究室では多分、実験毎にサインをもらうことはないかと思います。大学院学生だったら、直属の上司に相当する助教や講師あるいは共著者になるかもしれない先輩のチェックがあるといいかもね。
[ 追記 ] 2017.5.31
実習で実習書の余白に測定値を書いている学生がいたので;
師曰:実験ノートに記入しろと何回も言っただろ?実験ノートは?
学生曰:実験ノートはここにあります!!
師曰:なんで、実験ノートの方に記入しないの?
学生曰:実験ノートにはあとから清書したいのです。提出することがあるんでしょ?
さよで……
実験中、なんでもともかく記載するんだよと伝えたつもりなのだけど、理解してもらえない…..