「研究」カテゴリーアーカイブ

無影灯

外科手術現場では、手術部位を照らす照明に
無影灯(Surgical Light)と呼ばれる物を使う。
点光源だと影ができるので面光源にして影ができにくくするわけだ。手術部位にアプローチする人が複数いると特に必要になる。面光源は普通ないから、多くの電球を面に並べたものになる。昔は普通のタングステン電球だったらからすぐ切れた。そのうちハロゲンランプが普及して、一灯で十分明るいから、このランプに摺ガラス様のガラス板を挟んで面光源かの様にするものが出てきた。最近は高輝度のLEDが容易に手に入るので、LEDを面状に数多く配置した安い無影灯が出てきた。左の図はLEDが19個並んでいる。数万円だ。
従来の無影灯は50Hz(関西では60Hz)の電源でドライブされている。外科手術を伴う実験で、脳波や心電図などの生体電気信号を取り扱う場合、この50Hzが電磁波ノイズとなり邪魔なので、光源はシールドする必要がある。昔の無影灯は鉄板等で構成されており、反射板も金属なのでシールドが容易だった。大量生産される物でもないので、ねじ止めで組み立てられているから、分解改造が楽だ。
ところが上の写真の様なLED光源スタンドはプラスチックの嵌め込みとか、ネジ穴の部分はパネル(ラベル)などで覆われていて

シールドの改造が面倒だ。それでも、電源スイッチや調光スイッチのある部分のパネル(シート)を剥がし、ネジ穴(上の写真の赤丸部分)を見つけ、箱を開けて、2芯のプラグ・アース線なしの電源コードを3pのプラグ・3芯電源コードに交換し、LEDのハウジングと発光面に銅網を取り付けそれぞれアースに落とし、シールドした。

LEDはパルスで駆動している様で、発生するノイズには50Hzに加え数百Hzのパルスがあるのだが遮断できた。もっとも生体電気記録用電極に10 cm とかの至近距離にしたらダメだろうが、その様な状況はありえないので問題ないだろ。
昔のハロゲンの無影灯(左図、当時ん十万円)があるわけで、このハロゲンランプが切れるのは目に見えていて、予備のランプは製造中止で在庫もない。このランプの代わりに自動車のヘッドライトのLEDランプ

の様なものを使うことを企んでいる。これだったらランプ1ケが2千円以下でハウジングをうまく作れば、容易に交換可能になるだろう。そもそもハロゲンランプは低電圧で駆動するから、トランスが台座に仕込んでありこれをそのまま利用して整流ブリッジを使えばDC12Vの仕様に簡単に合わせることができるのでは。12V3Aのレギュレータが必要かな?レギュレータもこんなのでよかったら高価ではないようだ。
ヘッドライトで無影灯を作るに続きます。

仕事のペース

ビールが美味しく飲めるためにwalking/jogging しているのだ。ある日の持参するスマホのアプリによる速度変化の記録だ。

中間点まではいいのだが、後半になるとダレている。そしてゴールが見える最後はスピードアップだ。中間点をすぎるとペースが遅くなるのは、くたびれてきちゃったのではなく、飽きてきたからだ。最初が遅いのは、アプリの速度計算がrunning averageで行っているためというより、エンジンのかかるのが遅いせいだな。
歩くという行為だけでなく、仕事の進行もこんなペースが多い。始めはいいのだが、だんだん飽きて嫌になって、ゴール近くになると、もういい加減にさっさと止めて次の事をしようとすることが、しばしばある。性格の問題か?普通の行動様式のように思うけど、異常か?皆さんはどうでしょ?

確率の英語・日本語の表現

IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 第5次評価報告書(AR5)のV.AR5における「可能性」の表現から、一部の表示のみ変更すると

英語 和訳 発生確率 %
Virtually certain ほぼ確実 99~100
Extremely likely 可能性が極めて高い 95~100
Very likely 可能性が非常に高い 90~100
Likely 可能性が高い 66~100
More likely than not どちらかといえば 50~100
About as likely as not どちらも同程度 33~66
Unlikely 可能性が低い 0~33
Very unlikely 可能性が非常に低い 0~10
Extremely unlikely 可能性が極めて低い 0~5
Exceptionally unlikely ほぼあり得ない 0~1

というのが環境省の決めた表現である。気候についての「「可能性」とは、不確実性を定量的に表現する用語であり、観測、モデル結果の統計的解析や専門家の判断に基づいて確率的に表現される」ということで、これが科学のすべての分野にあてはまるかどうかは議論になるところだけど、参考になる。

医学・生物学で、有意確率が 5% 未満だったとき、「有意の差があった」と表現することが多いけれど、これを「可能性が極めて高い・低い」「Extremely likely・unlikely」と表現して論文に書いたら、レフリーからクレームがつくだろうな。

 

サーモスタット MH1210W 設定マニュアル

温度調節する必要があってサーモスタットを探したら、中国製で安いのを見つけた。Amazon で「デジタル温度調節器 MH1210W」というやつで1,000円だ。(ほとんど同じで異なるバージョンがある)。

配線のポートは中国語で表記され、付属の英文マニュアルは誤字もあるし、誤りもあって、意味がわからない。日本語マニュアルを作ってみた。全文訳したけど動作確認できた設定部分だけ以下に書く。注意書きとかスペックの部分は訳がなくてもわかるでしょ。

2 前面図
Work:出力表示(リレーがONになっていることを示します)。
Set:設定状態であることを示します。
⦽ :電源スイッチボタン
「S」:設定ボタン
△ または ▽ :設定値を増やしたり減らしたりするボタン
負載:負荷   电源:電源
NTC:Negative Temperature Coefficient サーミスタ
3 操作:
3.1 ⦽ オン/オフボタン、3秒間の長押しでON/OFF が切り替わります。
パラメータの設定状況のとき、このボタンを押すと設定が保存され終了します。
3.2設定
温度設定
「S」ボタン(セットボタン)を短く1回押すと温度設定モードになるので、”△”または “▽”ボタンで設定温度を表示し、最後に「S」ボタンを押すと設定が保存されます。Defaultでは40℃になっています。
2秒以上 “△”または “▽”を押すと表示変化速度が早くなります。
ここで加熱・冷却機器のON-OFFを切り替える温度を設定します。
動作設定
「S」ボタンを3秒間長押しコード選択状態にします。最初は「HC」が表示されます。
「△」または「▽」を押し、「HC-d-LS-HS-PU-CA-A7」の略称で順に繰り返しコードが表示されますのでコードを選択します。
◎ 「HC」:「S」ボタンを3秒間長押し、「△」または「▽」を押して「HC」コードを表示させます。「S」ボタンを押します。「H」と表示されます。「△」または「▽」を押して「H」または「C」モードに移動します。モードが決まったら「S」ボタンを押してモードを決めます。「HC」と表示されます。決まったら ⦽ を押して確定し、設定状態から出ます。あるいは5秒間放置すると設定状態から抜け出ます。
「H」: 温度が設定温度より低くければ リレーがON (ヒーター用) 。
「C」:  温度が設定温度より高ければ リレーがON (クーラー用) 。
◎ 「d」:「S」ボタンを3秒間長押し、「△」または「▽」を押して「d」コードを表示させます。「S」ボタンを押します。「d」コードとは (differentialのことらしい)ヒステリシスの設定です。単位:℃。「△」または「▽」を押してヒステリシスの温度を決めます。
Hモード(ヒーター用)で、この値が2℃の場合、設定温度が40℃なら環境温度が40℃を超えたらスイッチが OFF になり、40℃以上から環境温度が(40−2)=38℃に下がってきたらスイッチが ON になります。
Cモード(クーラー用)で、この値が2℃の場合、設定温度が40℃なら環境温度が40+2=42℃を超えたらスイッチが ON になり、42℃以上から環境温度が下がって来て40℃以下になったらスイッチが OFF になります。
つまり、リレーがONになるのは確実に設定温度を超えて・下回ってからということになります。あまりこの値が小さくすると、センサーの配線に混入する電気ノイズによって、ON-OFF が頻繁に繰り返され発熱・冷却機器に負荷がかかるので0.5℃以上がのぞましいでしょう。
決まったら ⦽ を押して確定し、コード選択状態から出ます。あるいは5秒間放置すると設定状態から抜け出ます。
◎ 「LS」:「S」ボタンを3秒間長押ししてさらに「△」または「▽」を押して「LS」コードを表示させます。「S」ボタンを押します。「LS」(最低温度設定値):設定温度の下限。単位:℃。これ以上低い温度に設定できません。あまり意味がないのでデフォルトの−50℃のままで構いません。
決まったら ⦽ を押して確定し、コード選択状態から出ます。あるいは5秒間放置すると設定状態から抜け出ます。
◎ 「HS」:「S」ボタンを3秒間長押ししてさらに「△」または「▽」を押して「HS」コードを表示させます。「S」ボタンを押します。「HS」(最大温度設定値):設定温度の上限。単位:℃。これ以上高い温度に設定できません。あまり意味がないのでデフォルトの110℃のままで構いません。
決まったら ⦽ を押して確定し、コード選択状態から出ます。あるいは5秒間放置すると設定状態から抜け出ます。
◎ 「PU」:「S」ボタンを3秒間長押ししてさらに「△」または「▽」を押して「PU」コードを表示させます。「S」ボタンを押します。「PU」:スイッチの切り替えを、設定温度に達してから何分後に動作を実施するかを設定します。単位:分。0は即時、最大90分に設定できます。通常は0分でしょう。この調節機で駆動する冷却装置がコンプレッサーを使う場合、コンプレッサーを頻繁にON-OFF を繰り返させたくないので、ヒステリシスの設定に加え、この値を1分とかにしておくといいのかもしれない。
決まったら ⦽ を押して確定し、コード選択状態から出ます。あるいは5秒間放置すると設定状態から抜け出ます。
◎ 「CA」:「S」ボタンを3秒間長押ししてさらに「△」または「▽」を押して「CA」コードを表示させます。「S」ボタンを押します。「CA」:校正(calibration)。単位:℃。付属のセンサーによる表示温度が、別の信頼できる温度計の表示と異なる場合、「△」または「▽」を押して差を小さくする事ができる。オフセットの調節だけでゲイン調節ではないので、必要ならば設定温度付近で校正すること。
決まったら ⦽ を押して確定し、コード選択状態から出ます。あるいは5秒間放置すると設定状態から抜け出ます。
手元にあった熱電対温度計(熱電対温度計(Kタイプ) AD-5601A、購入時付属のセンサーで設定を変えていない)との25℃近傍での温度の差は0.3〜0.4℃、このサーモスタットのほうが高く表示していました。この程度のエラーは利用者の一存で許諾を決めてください。
◎ 「A7」:「S」ボタンを3秒間長押ししてさらに「△」または「▽」を押して「A7」コードを表示させます。マニュアルには「AT」とあるけど、表示は「A7」です。「S」ボタンを押します。この値が デフォルトの 0 より大きいと Time operation mode となり、設定温度とは関係なく、設定後この設定値(単位:分)が経過したらリレーはONになっていたら OFF となる。OFFになっていたら、そのままOFF となる。この設定時間内にOFFからONになったとき、この時間がきたらOFFになる。現在温度と残り時間(分)を交互に表示する。ともかくこの時間を設定したときから設定時間が経過するとOFFになり、現在温度とOFFの表示を繰り返す。電源を切っても状態は変わらないから、もとに戻すためには再度A7の設定を行う。
デフォルトで 0分になっており、変更しないほうがいいでしょう。
決まったら ⦽ を押して確定し、コード選択状態から出ます。あるいは5秒間放置すると設定状態から抜け出ます。
設定結果は電源が切れても保存されています。
センサーが断線していると、LLL という表示になり点滅します(-50℃を下回ったときと同じ)。センサーが短絡するとHHHという表示が点滅します(110℃を上回ったときと同じ)。

お約束で、この翻訳が正しいかどうかの保証はありません。ご自身の責任でどうぞ。
添付のマニュアルには「パラメータロック:3秒間 “▽”を押して点滅させ、 “OFF”と表示すると、パラメータをロックしたことを意味します。」という記述があるが、そのような操作をしてもなにも起こらない。ロック解除も同じ方法のようだけど、動作しないのでわからない。
付属のセンサーは防水されているかわからない。水槽に突っ込むようなら、バスコークを塗って、熱収縮チューブで覆ったらいいのでは?NTCというのがサーミスタセンサで25℃、10 kΩのもので、秋月電子で売っているので代替えできるだろう(未確認です)。
配線のためのコネクタはリレーのところが太い線が使えず、10 A を流すのは難しい。他のセンサーとこの機器への電源のためのコネクタは、電流が少ないので細いワイヤーでいいからこのコネクタで問題ない。中を開けてみていないのでリレーの許容電流が 10 A もあるのかわからない。中国製Dimmerの例もあるから 3 A 位がいいところでは?
この温度調節器(サーモスタット)は温室とか水槽の近くに置くとすると、湿度が高い環境になる。密閉するとこの調節機の出す熱が放散できるかということになるけど、スーパー等で打っている食器用のポリ容器内におさめちゃって多分かまわないだろう。ケーブルは、半田ごてで容器に穴をあけ、隙間はコーキング剤でふさいじゃえばいい。
温室の温度管理のためのヒータとサーモスタット一式は1万円を超える。このサーモスタットとテーブルタップ、AC電源ケーブル、配線用ケーブル、ポリ用容器で 1,500円くらいだろ。ヒーターは1,000円位の600Wの電熱器

で、内側のニクロム線300Wだけ使うことにし、ヒーターがむき出しになるのは、ちとまずいし加湿もしたいので、水を張ったステンレスのバット(1,000円位)

を電熱器の上に置けばいい。温室内に紙とかの燃えるものを置かなければいいでしょ。不安ならステンレスの網で電熱器を覆えばいいだろ。温室用のヒーターは、発熱体(ニクロム線?)がむき出しにならないようにアルミの放熱器で覆っているだけなんだろ。ちがうかな。電気ヒーターは燻製を作るのにも使えると思ったわけだ。これまでは卓上ガスコンロで火力の調整(チップは燃えてはいけない、煙だけ出すようにする)がむずかしかったので電気のほうが楽だろう。
異なるバージョン

こっちは電源スイッチボタンが R となっていて、これは工場出荷時にもどすリセットのようだ。6秒押すとリセットされるらしい。動作状況を示す LEDが Heat と Cool になっている。こっちは870円とちと安い。同じ型名だぜ。ちと酷いよね。良く見ないと気が付かない。

光ファイバー光源その5

5種類目(7台目)の光ファイバー光源だ。NIKON製だ。

ファイバーの径は 15 mm である。

ハロゲンランプは 15 V 150W つまり10 A も流れる。右のピンクと青のガラス板はフイルターで使っていないのだが、中を開けたらでてきた。ピンクのフィルターは割れていた。この写真のようなところに置くのではなく、ハロゲンランプと光ファイバーの間のスロットに入れる。この写真は使わないから調光器のアルミ放熱板にテープで止めているのだ。

トランス、調光回路をとっぱらい、ファンはハロゲンランプに風が当たるように少し斜めに設置してあったのだが、その斜めにする袴を取り除き、底面に水平に取り付けた。電源は今度は 12 V、4 A のスイッチング電源(48W級スイッチングACアダプター12V4A)である。レギュレータはPowerLED Driver 150306Bを使った。こいつの出力は12 V、 3 Aで、入出力があるだけ、なにも調節するところがない。
LED は新製品のCREE XHP50 20mm基板付き 白色ヒートシンクファン 46×46×13mmの上にφ2.6 mm のネジ穴を2箇所切って、鍋ネジで止めた。ファンを外してから加工すること。
このファン付き放熱器は、ケースの内側から 5 mm のスペーサーだけで全面パネルに取り付けることができた。LED の中心を光ファイバーの中心に合わせるのは慎重に。といっても当方の工作の精度はいい加減なので、できるところは馬鹿穴にして、目視で中心合わせをした。
調光器(Dimmer)Grandmart LEDランプ輝度調節器 直流DC 12V 8A は133 円だったけど、今見たら151 円になっている。
上の写真はレギュレータとDimmer を載せたアルミ板を、ファンが見えるように固定する前の物。

この写真が、全て固定した内部の写真。

光ファイバーの先端(レンズなし)を机から15 cm上のところに固定し、室内のランプを消して、この玩具の照度計を置いて最大の明るさになるように位置を調節した。 左が、ハロゲンランプ、右が今回のLED。明るくなった。前回までのLEDより、新しい方はLED を直列に繋いであって、LEDの電圧降下が倍になっているので同じ電流量を流せば W が大きくなる、明るくなるというわけだ。
ちなみにVf = 6.38 V、電流量は2.82 A つまり18 Wであった。スペックでは最大19 W だから問題ない。
今回は、Dimmer の上に小さなファン(12V30mm角 DCファン)を付けてみた。室温23度で、ケースの底にあるオリジナルのファンなしでこの小さなファンだけで上から送風したら基板の温度は55 度、両方のファンを使ったら 50 度。70度を超えないから小さいファンだけでも十分かも。放熱器の計算とか昔やったけど、今回は発熱するICのデータもないし、面倒だから、作ってみて、触って熱くなければOKだからね。
前回、前々回も、今回も、レギュレータが定電流モードで動作しており、最大出力電圧は12 V位あるから、LED の電圧降下 Vf が XP-L のとき約 3 V だったのが、XHP50 の 約6 V に変わっても問題ない。大きさが同じだから入れ替えるのが可能だ。W数が倍位になるが、明るさが倍になるかは、入れ替えて調べてみることにするが、倍にはならないだろうな。より明るくなることは間違いないだろう。

ハロゲンランプのときの輝度調整ポテンシオメータは20 kΩ、電源スイッチ付きだ。今度のDimmer のポテンシオメータは 1 kΩだった。だからそのまま使えない。手元に 1 kΩのポテンシオメータがない。500 Ωで代用した。500 Ωだと抵抗値を最大の500 Ωにしても完全に OFF にならない。暗くなるだけだ。実際には最も明るくなるポジションでしか使わず、電源スイッチの ON-OFF だけだからかまわないだろう。1 kΩに変更する予定だした。スイッチは流用できなかったので、新たにLED 付きシーソースイッチをパネルを加工して取り付けた。]]>

光ファイバー光源その4

4種類目(6台目)の光ファイバー光源だ。

という年代物で

ホコリをかぶっている。

ハロゲンランプは 15V 4A のものだ。すぐ切れるので底蓋を開けると交換が簡単にできるようになっている。

ファイバーの先端から 15 cm のところに置いた照度計で170×10 Lx といままでのものよりちと暗い。
今回はLEDは同じCree XLamp XP-L 20mm基板付き V51A 白色 を使いLEDドイバーには POWER LED DRIVER 150306B というのを使ってみた。出力は 2.9-7V 3 A のものだ。調節するところは何もない。

添付された取扱説明書です。
Dimmerを介して最大の輝度にしたとき LED の電圧降下(Vf)は 3.64 V で電流は 2.86 A で10.4 W となり LED の定格をオーバーする。ファンでガンガンに冷やすからいいやということで、そのままだ。電流量を減らすためには、Dimmer の輝度調節ポテンシオメータが右いっぱいに回した時(2−3pの間)の抵抗が0 Ωにならないように半固定のポテンシオメータを直列に3pinにつければいい。100 Ω位の半固定でいいだろう。輝度調節ポテンシオメータを右いっぱいにしたとき、電流量をこの半固定抵抗で減らして 10 W に収まるようにすればいい。めんどうだからやらなかった。様子みてLED が焼けちゃったら交換だ。今回のDimmer についていたポテンシオメータは0.9 kΩで前回が 0.8 kΩと、133円だから部品の規格が1 kΩ±20% なんて酷いものなのではないだろうか。ポテンシオメータはあまりにもちゃっちいので、まともな 1 kΩのものに交換した。
Dimmer に添付された説明書です。大した情報はない。


回路図は極めて簡単だ。オリジナルは電源スイッチ(トグル)が ON – FAN – Off になっていてファンだけを動かすポジションがあった。ファンだけを回すのは意味がないので、LED内蔵のシーソー型スイッチに交換した。

中身はこんなもんで、こっちは光ファイバー部分がそれほど重くないので、箱の中に鉛の重りなどがなくても大丈夫だ。トランスがなくなって軽くなったけど問題なさそうだ。

ハロゲンランプのハウジングの天井にファンがあるので、このハウジングをそのまま利用した。ファンを取り除いたときの写真である。Dimmerの基板をアルミ板に発熱するICにシリコングリースを塗って接触させた。このアルミ板と基板が上に見えている。右はファン付きヒートシンクで、これはこれまでのと同様にLEDを取り付けたものである。今回はこのLEDを載せたヒートシンクをケースに直接、スペーサーを介さないで取り付けた。LEDの部分が突出するのだが、ちょうど光ファイバーを差し込む取り付け金具の穴の中に収まって、加工が楽だった。ドライバーが図の下に見える。Dimmerの結線がコネクタになっていて、将来、接触不良になる可能性がある。直接はんだ付けした方が多分いいだろう。でも、怠け者である管理者はそのままだ。
明るさは 450X10 Lx となったので2倍強近く明るくなったことになる。
ここまで作ってきたが、もっと明るい LED が発売されている。Cree XLamp XHP50 LED 20mmアルミ基板付き というやつで、どうやら Vf が 6 V 位あるのでLEDを直列に接続しているのだろう。19 W と、単純にほぼ倍になっているので、Cree XLamp XP-L 20mm基板付き V51A 白色をそのまま置換して、より明るくすることが期待できそうだ。

光ファイバー光源その3

2018.10.18 に加筆しています。
2018.10.29 に完成・加筆しています。
3種類目の改造だ。2台ある。今度のは

というオリンパスの光源だ。ファイバーは二股にわかれ2本ある。中身は

で、写真の左はでかいトランスの上に調光用の回路基板があって、右がハロゲンランプのハウジング、向こう側にファンがある。ハロゲンランプはフィリップス ハロゲンランプ 15V-150W 6423 で 2,160 円で1年に2回くらい切れちゃうからランニングコストは馬鹿にならない。
ファイバーの差込口は上から見ると

となっていて、フィルターが差し込めるような形になっている。LEDをこのファイバーに近接させるのが難しいかも。
今度は。LED基板の位置がどうなるかわからないので、元に戻すことができるように解体する必要があるかも。
バラバラに分解したあと、気がついたのだが、グラスファイバーの口径が「前回作ったFiber Optic Illuminator」のファイバーと同じだ。だから前回作ったLED光源に挿してみた。

ぴったりじゃん。光源の上には今分解したトランスを重しとしてのせてある。そうしないとファバーのほうがフレキのような金属管で重たいから、本体が浮いてしまう。
明るさを比較してみたら、左がハロゲンランプ、右が 5 W のLED、3倍位ちがう。10 W のLEDにしたら同等になるかな?。
ファイバーの先端を机から15 cm の位置にして机の上に照度計を起き、垂直に光があたるようにして計測した(後から考えたのだが、実は室内の天井の明かりがついていたかも、だから怪しい値だ。LED のときは天井のライトは消してある)。
ファイバーを挿入する金具は水道の金具でホームセンターで探して、これを使えばいいのがわかっている。
133円の調光器(dimmer)がシンガポールから来た。799円との違いはわからん。同じ金型で作ったみたい。

左が799円、右が133円

使っているICだって同じだ。

添付のマニュアルだ。放熱についての情報は全くない。
こんなに価格が違うのは、例えば検査工程を通っていないから何%かは不良品とかなんだろうか?中国製だから品質保証はないな。
昔は、日本製品が安かろう悪かろうだった。 Back to the Futuer でドクが車-デロリアン-の修理のとき、ICが日本製であることを知り、「日本製だから故障なんだ」と決めつけたらマーティが「今はそんなことはない、日本製だから信頼できる」なんていうセリフがあったね。
今は安かろう悪かろうは中国製品だな。日本と同じに品質は良くなって行くのだろうか?スマホなんかは中国製でも壊れないから良い品質のものはもちろん現在でもある。
2018.10.18
光ファイバーを取り付ける金具は、ホームセンターの水道の金具のあたりで、前回のような物をさがしたのだが、なかった。金具の名前を記録しておかなかったからネットで探すのも難しい。
光源の全面パネルの光フィバー取り付け金具は、6箇所にあるネジ付き穴の3つを使う。残り3つは内側からフィルターのガラス板を取り付ける金具を取り付けるのに使っている。

そこで、面倒だけど、60 mm角の真鍮棒から厚さ20 mm の板を切り出した。

そこで、切り出した20 mm の真鍮板の中央にφ15 mm の光ファイバーを差し込む穴を開け、3箇所にネジ止めの穴を開け、パネルに取り付けた。上にある黒いネジは光ファイバー固定用ネジだ。
LEDを取り付けたファン付き放熱フィンは

のような金具を作り、放熱フィンを取り付け、ケース内側から3箇所のネジでパネルに固定した。
中心のφ15 mmの穴から覗くと中心に黄色のLEDが見える。

133円の調光器(Dimmer)だが、LEDのVfを測定しつつ電流を増やしていき、10W をこえない電流量を決めているときに、この調光器を使ってみた。最大輝度になるようにポテンシオメータの位置を決めて電流量を次第に増やしていたら、調光器から煙があがった。

すぐさま中止して中を開けたら、基板が焦げている。規格は12V 8A なのに3 A 弱で火を吹いた。実はこれは799円のときも同じだ。というわけで、不可逆的に壊れていないのでそのまま使うこととし、発熱したICには放熱用のシリコングリースを塗ってアルミ板に固定し、このアルミ板をケースに固定することとした。

多分大丈夫でしょ。
ちなみに、この調光器の調節ポテンシオメータは1 kΩであった。オリンパスのハロゲンランプの光量調節ポテンシオメータは 8 kΩだからそのまま使えない。しかしオリンパスのポテンシオメータは電源スイッチ付きで、これを使わないとすると、電源スイッチを別途設けないと行けない。8 kΩでもかまわないのだが、光量を調節する範囲が、当然ながら回転角度の1/3くらいになっちゃう。残り2/3 の回転角は真っ暗である。そこで、電源スイッチも使うために、この8 kΩのポテンシオメータを使うこととし、ポテンシオメータの1, 3 ピンに1 kΩの抵抗を並列になるよう繋げた。これで調光できる範囲が広がったが、回転角と発光量の関係が直線的でない。もともとハロゲンランプのときだって、直線関係にあるのか、怪しいし、ほとんどの場合、最大輝度で使うのだからこれでいいことにする。
次に、スイッチング電源とLEDドライバーをケース内に固定する金具をつくらねばならぬ。金属板を折り曲げる機械がある。

こいつで、このような金具を作成することにした。

折り曲げる部分はこんな風になっている。

折り曲げる順番を予め決めないと、折り曲げた部分が引っかかって、新たに折り曲げることができなくなる。アルミ板を逆L字型の金具で上からおさえ、左に少しでているアルミ板を下から持ち上げるして曲げるわけだ。順番を間違えると悲惨なことになる。ま、なんとかできた。
これで、だいたいのパーツがそろった。あとは、配線様の中継端子と、部品をケースに固定するためのネジ穴開けだ。
もうひとつ、重大な問題があって、ハロゲンランプのときは重たい電源トランス(二次側が15 V 10 A なんだから重たくでかくなる)があったので、光ファイバー部分がフレキパイプのようなパイプでできていても、その重さでケースが傾いたりしない。しかし、今度はそんなでかいトランスなんかつかわないから、ケースの中身が軽く、ケースがすぐコケちゃう。
1 kg 鉛インゴットを重りにするために発注した。それが来ないと、ケースの中の部品の配置が決まらない。テスト動作では今の所全く問題く、順調だ。
鉛インゴット 2 kg が来た。半分に切って、2台に付けることにする。2018.10.
29
Dimmer が発熱する。小さなアルミ板を、発熱するICにシリコングリースを介して接触させ、ケースの底に密着させたが、ファンの風が直接当たらない位置で、表面温度を測定したら80度にもなってしまった。

中央の縦の細長い基板をねじで止めているアルミ板だ。これではだめなので、これをさらにアルミ板に取り付けて、ファンの風が直接当たるようにしたら、温度は35度前後だ。
組み立てた。

写真の左上隅に、背面パネルに固定した鉛 1 kg インゴットが見える。中央下がレギュレータだ。中央上がDimmer zのコネクタ。
左端にあるのがスイッチング電源。中央がアルミ板にとりつけたDimmerの基板。
無負荷で8.0 Vに調節すると最大負荷があって 6.0 Vの出力になる。1台目が Vf (LED の電圧降下)が 3.27 V で 電流量は 2.75 A で 9 W にしておいた。2台目も無負荷で 8.0 V にして、電流量は2.85 A にした。このときの Vf は 3.35 V で 9.5 W だ。写真の中央上のアルミ板がDimmer を固定したアルミ板で、向こう側のファンの風が直接あたるようにした。右手前のアルミフィンがLEDを取り付けたファン付き放熱器だ。レギュレータは Dimmer の基盤の下にある。
明るさは

針が2本あるけど左側は影だ。ハロゲンは1000×10 Lx だったがLEDにしたら650 10 Lx だ、しかし印象はLEDのほうが明るい。色温度がちがうからか?
新製品 Cree XLamp XHP50 LED 20mmアルミ基板付き があってこっちはLED2ケが直列につながっているような形で19 W が最大で、そっくり置換して問題なく、より明るくなる。このときのLEDの電圧降下Vf は6.64V 電流値は 2.85 A で 18.9 W となる。
こっちにしてもハロゲンに及ばない。しかし、より明るく感じる。色温度のせいだろう。照度計の感ずる光の波長と人間の目とはちがうからかもしれない。これで出来上がりとする。
133円の Dimmer の結論。12 V 8A と表示しているが何の値かわからん。流す電流をパルスにし、パルスの幅を変化させて明るさ調節するわけだ。動作は6 Vでも動くが、3 A も電流を流すと焼けちゃう。放熱器が必要だが、プラスチックケースの中にはなにもない。放熱が十分なら 8 A 流せるのだろうか?
同じ機種のもう一台のLEDをCree XLamp XP-L  (10 W)クラスから Cree XLamp XHP50 LE(19 W)クラスに変更した。LEDをそのまま置換するだけでその他の調節等は必要ない。LEDを乗っけているアルミ基板も同じサイズの20 mm にしたので取り付けもネジを緩めて入れ替えるだけ。

左が XP-L 右が XHP50LE。LED の電圧降下 Vf は6.65 V、電流は 2.75 A、したがって 18.3 W で消費電力が倍近いが明るさは1.3 倍程度だ。

Micro Injection of Drugs into the Brain

神経伝達物質、その拮抗薬等々の薬物を中枢神経系内に投与し、投与した場所と効果を調べ、投与部位にあるニューロンの機能を調べるという方法は神経生理学実験の定番である。
脳内の1ケの神経細胞(ニューロン)の活動が変化しても、運動とかの反応として出てくることは殆ど無い。同じような性質の複数のニューロンの活動が同時に変化して、初めて、例えば心拍数とか血圧、瞳孔の径等に変化が現れる。
投与の量(容量)が大きければ、薬物は拡散して、投与部位だけに影響したのかわからない。かといって、量が少なければ、影響を受けたニューロンの数が少ないので効果がわからない。ラットの脳だったら、目的とする部位に該当ニューロンがどのくらいコンパクトに集まっているかなどで様々な投与量になるだろう。どんなに多量でも200 nl 程度が最大で、100 nl がいいところだろう。どのくらい投与した薬物が拡散したかは、放射性物質を使わないとわからないし、時間が経過すればどんどん拡散してしまうから、何時脳を固定(凍結)するかで違ってくる。さらに拡散すれば濃度が低くなるわけで、どの部位まで効果があったかはわからない。だからdose-response関係や、目的としている脳内部位の近隣に投与した実験を加えないと意味がない。
電気泳動的に薬物を微量投与する(目的の薬物が水溶液でどちらに荷電しているかで溶液を満たしたガラス管に直流電流を流す、あるいは2本のガス管で作った電極で2本のガラス管内に直流電流を流す)場合もあるが、これは単一ニューロンの活動を記録しつつ行い、その薬物の特定のニューロンへの影響を調べたりするときである。複数のニューロンの活動が変化して初めて効果がでるような実験では使えない。
ピコポンプとかいう機械が市販されているが、注入するときの圧力と加圧時間を調節するだけで、投与量は測定できない。投与は、ガラス管を熱して引きちぎって先端をμm 単位まで細くした物で行われる。金属チューブではここまで細くするとグニャグニャで使えないから硬度があるガラス管にするわけだ。
たしか、ピコリッツアー(?)とかいう機械があって、ガラス管先端を水に没しておいて加圧しでてきた泡の大きさから投与量を推定するというのが販売されていた。今もあるのかな?この投与量を推定する方法は現実的ではない。ガラス管先端は脳に刺すと詰まるし、空気と液体では、同じ先端を細くしたガラス管を使って、圧力、時間を同じにしても、吐出する量が異なるだろう。
実際に投与された量がわからないとまずいのだが、圧力と加圧時間では決まらない。ガラス管を脳の中に刺すわけだが、必ず詰まる。だからやってみないと、圧力の大小や加圧時間から、どのくらいガラス管から溶液が出たのかはわからないのだ。
細いガラス管内の液面の移動距離から投与された液体の量を測定する。微量を測定できてガラス管の内径が一定である必要がある。採血用の毛細管がこれにピッタリである。

HIRSCHMAN ringcaps 1.2.3.4.5μl
http://www.hirschmann-laborgeraete.de/en/artikelgruppe/96001?parent={C091CA7D-7752-4E45-B75F-1492221268EC}
肉厚のガラス管で、1 μl 毎に目盛りがあり、液面の移動量で投与量が測定できる。液面の移動を手術用顕微鏡で、マイクロメータを接眼部につけて測定する。10 nl の精度で投与できる。
このガラス管を3本束ね、エナメル線で3箇所縛り、ガラス電極作成用のプーラーで溶かして引っ張るわけだ。ただ束ねたものを引っ張ると先端がまとまらないので、まず、加熱して、270度ひねる。その後同じ部位を加熱して引っ張ると、細くなって、ブチ切れる。先端をハサミで切って(折って)適当な太さにする。適当とは、やってみて経験的に決める。細ければ薬物はなかなか出ないし、太ければ漏れでるし加圧すると大量に出てしまう。

先端でない方は、使い捨てライターで炙ると、すぐ柔らかくなるから、3本を曲げてばらけさせる。ここにチューブを接続し加圧するためである。ガラス管に接続するシリコンチューブは静脈に刺す翼状針の針を切り取ったものがちょうど合う。

図はテルモ翼付静注針から

注射器に取り付けるためのコネクタが付いているから便利である。何回も使える。実験時には3本のチューブを付けて設定する。液を切り替えるのにガラス管にチューブを差し替えるなんてことはできない。チューブのコネクタ側で圧力源との接続を変えるのだ。

この3連のガラス管に投与する液体を吸込む。マイクロチューブに溶かした薬物を用意し、写真のようなマイクロチューブを立てるスタンド(リボルバー)を作って固定しておけば吸い込むのに効率がいい。

用意する液体は、問題となる薬物溶液、溶媒でコントロールにする人工脳脊髄液あるいは生理食塩水、投与部位を実験終了後、脳をホルマリンで固定し凍結切片を作成して確認するので色素(ポンタミンスカイブルー)が溶けている色素液の3種類が必要である。3本のガラス管は、1本は色が付いた液体なので液面がすぐわかるが、他の2本の液面がわかりにくいし、どちらの液かわからないので、この薬物溶液と溶媒の2種の液を吸引してガラス管に充填するときは粘度の低い油を用意しておく。色素の液をちょっぴりすいこみ、色素液と薬物等の液が混ざらないように油をちょっぴり吸い込み、そして薬物の液あるは溶媒を吸い込む。最初の吸い込む色素の液量を同じにしなければ、どちらの液体の液面かがわかる。この油と溶液の間に空気の層(泡)があってはならない。加圧したときこの泡が小さくなって液面が激しく動き、移動量をすぐ読めないし、液面が元に戻らない場合があるからである。

液面移動を測定するための手術用顕微鏡を用意し、接眼部にマイクロメータを取り付け、ガラス管は 1 μl 毎に目盛りがあるから、マイクロメータの目盛り1コマが何 nl なのかを予め計測しておけばいい。最小値 5 nl 位を読むことができるだろう。
加圧するときの圧力源には窒素などが詰まったガスボンベを使う。レギュレーターを付け、二次圧は最大でも3気圧(3 kg/cm2)にする。普通は1気圧でいいだろう。この圧を上げると、吐出量が当然増えるが、ガラス管までのチューブのコネクタが圧に耐えられずぶっ飛んじゃう。金属部分がないから怪我することはないだろうけど、眼などにコネクタの三方活栓などがぶつかったら痛いし、危険だ。ガス自体の使用量はごく少量なのでフルサイズのボンベである必要はない。一次圧がそこそこあるのなら、使い切っていないボンベでいい。
加圧の時間は電磁弁で調節する。加圧時間は50 ms 〜位だから電磁弁で弁の開放時間を調節することになる。電磁弁(ソレノイド)の駆動回路が必要になる。
直流で駆動する電磁弁(ソレノイド)でいいのだが、経験上、弁の開放時間の調節は50 ms 単位でいい。1発のパルスの幅で投与量を調節するより、50 ms 位のパルスでバルブを開き、これを短時間(10秒以内)で複数回行い、移動する液面を見ながら投与量を調節するほうが現実的である。ガラス管は毎回作成することになり、先端を切る(折る)のだがその径は一定ではないし、脳に刺せば先端が詰まるから、同じ圧力、時間でもガラス管から吐出される液体量は一定にならない。短い時間(50 ms程度)の開放を繰り返すほうが投与量を調節できる。
ソレノイドの駆動回路はどこかにあるでしょ。今回は、 100V AC でソレノイドを駆動する電磁弁にした。交流で、0 V 付近でON-OFFを行う(zero cross; ノイズが少ない)ソリッドステーリレー(SSR)を使うことにした。0 V 付近でしかON-OFFにならないので、最小間隔は10 ms である。上記のように現実には 50 ms 以上の開放時間を繰り返すことになるので、最小開閉時間が10 ms で構わない。
このSSRを使った電磁弁駆動回路が下図だ。

qtbsh3V (水魚堂の回路図エディタ)の回路図。Mac で作成したけどWindowsでも読めるでしょ。
[wpdm_package id=’12300′]
(1)外部のパルスジェネレータ(gate となる)で弁の開閉時間を調節できる、(2)キースイッチを押すと内部のタイマー(モノステーブル・マルチバイブレータ)で、20, 50, 100, 200 ms の開放時間を選択できる、(3)Test としてボタンを押している間電磁弁が動作する(4)弁が開放しているときを記録するための+5 VのMark出力がある というだけの構成だ。内部のタイマーの精度は抵抗とコンデンサで決まる値だが、上記のように精度を必要としないので10% 位のエラーが有っても問題ない。
key の押釦スイッチはチャタリングがあるのを承知で設計したけど、実際に使ったジャンクの押し釦スイッチ(momentary)のチャタリングが大きく、スイッチを離すときパルスがでてしまうのでスイッチの両端に 0.1 μFのコンデンサを入れてごまかした。
出来上がった装置が下図だ。

右にあるのが電磁弁。電磁弁は3方活栓でなければならない。Normally Close に圧力源(ガスボンベ)、Normally Open は開放、Common にガラス管へのチューブを接続する。2方向しかない電磁弁では、Off にしたときガラス管にかかった圧が加わったままなので溶液がどんどん出てしまう。OFF のときガラス管内部の圧は0(大気圧)にする必要があるのだ。
内部を拡大すると
きちゃない配線ですね。それでも回路基板と前面・背面パネルのスイッチ等との配線がコネクタをつかっているだけましでしょ。メンテナンスのための工夫なんかない。
前面パネル

背面パネル

ちと長くなった。Journal of Neuroscience Methods に投稿したら受理してくれるかな?内容がちと古いからだめか。何年も前に同じものを作成し実験し論文にしたのだが、最近、もう一台欲しいというので依頼に応じて作成してみました。

鉛筆溶接器と熱電対プローブ

熱電対の温度計とは、2種の金属線(普通よくあるのはKタイプでAlumel線と Chromel 線)が接触すると温度に依存した起電力が生じることを利用した温度計である。
熱電対温度計は自作するのが簡単なのだが。問題はセンサーの形状である。2種の金属が接する部分をどうやって作るかである。センサーは様々なものが市販されているが、オーブンに入れたまま使えるローストビーフ用の温度計がなかなかない。多くは肉に刺すパイプが太く、なおかつオーブンの中に入れておけない。肉に刺すので細いパイプ状のセンサーがいいが、細いとすぐ曲げちゃう。外径 2 mm 以上あるとこんな太いの肉にさしていいのかよ(いいのだけど)とつい思っちゃう。
すでに完璧なローストビーフを作るための方法は確立している。ローストビーフのレシピはあちこちにあって、肉の温度を何度にしたらレアとかウエルダンとか書いてあるが、曖昧だ。オーブンを開けて温度計を刺すのはいいが、温度計を刺して抜いてオーブンに再び入れるなんてことはしたくない。温度が高くなりすぎたらコチコチになっちゃったりするからね。肉の大きさにかかわらずきれいに作る方法を確立したのだ。そのためにはオーブンの蓋を閉じて肉の中心部の温度変化を連続的に知る必要があるのだ。
これまで使っていたステンレスチューブで作ったプローブは、中にしこんだ熱電対線がステンレスパイプに接触したりするらしく、時々誤動作するので、新規に作成することにした。
外径 1.4 mm のステンレスパイプのプローブを作ることにした。この中に入れる細い熱電対ワイヤーがあるからでもある。
2種類の金属線を接触というが、単に撚っただけでは接触不良になるからだめで、ハンダ付けでも二種の金属が直接触れることなく間にハンダがあるのなら原理的には問題ないが、現実に作れない。溶接が一番である。しかし、市販の溶接機はそもそも極細ワイヤーを溶接するようにはできていない。極細ワイヤーなんだから溶接するのに電力は必要としないのだ。そこで、かつてはその辺にころがっていた抵抗等で作ったのだが、配線は空中にあり、

極めて不安定ということで、あらためて鉛筆溶接機を作成した。全く同じ回路だが 10 Ωの抵抗部分を複数の抵抗にしてしっかり固定したのだ。
危険だから、良い子はまねしないように。

3.4 A のスライダックと抵抗を直列に並べたものだけだ。10 Ω 2 ケ、5 Ω 1 ケ、1 Ω 2 ケの抵抗を直列に並べ、接続部分にコネクタ付けただけで、抵抗値をバナナチップをコネクタ(写真の赤丸)に刺すことで選ぶことができるだけだ。抵抗は発熱するからワット数の大きなもの(少なくとも10 W位)が必要だ。そのへんにころがっていたのを適当に使ってみた。
スライダックの2次電圧と抵抗の大きさだけで流れる電流を調節する。抵抗値が低いから連続して電流を流してはいけない。鉛筆の芯を尖らせて、この鉛筆の芯を金属に接触させたときに発生する熱で溶接するわけだ。
緑のミノムシクリップで溶接する線の溶接する端とは反対側の端を掴み、黄色線ー赤ミノムシクリップで鉛筆の芯を掴み、反対側の芯は鉛筆削りで尖らせてここでアーク放電ー発熱させて使う。
コネクタ付き熱電対500円を手に入れた。以下2枚の写真は秋月電子のページから。

この線の太さは0.3 mm で、先端が溶接されている。

この溶接部分を切り離し、長さを変えて段違いにしておいて、0.075 mm 径のAlumel, Chromel テフロンコーティング線を溶接するわけだ。テフロンコーティングの0.075 mm 径のAlumel, Chromelのペアの線は腰が弱いから、ステンレスチューブに入れにくい。そこで内径0.5 mm、外径 0.8 mm のポリエチレンチューブ(SP31)があったのでこの中に2本の線を通し、ステンレスチューブ(外径1.4 mm、内径 1.0 mm)に通すことにする。このポリエチレンチューブに2本の線を通すコツは、2本の線の被覆を剥がし、撚って、配線用の撚り線をばらして1本だけ取り出した銅線にはんだ付けする。ばらした撚り線の1本は十分細いからポリエチレンチューブに簡単に通すことができ、通して引っ張れば2本のテフロンコーティング線をポリエチレンチューブに通すことができる。はんだ付けした部分はとりあえず引っ張るための線を取り除き、はんだ付けしたままにしておく。
ポリエチレンチューブがステンレスチューブの中にあることになる・ポリエチレンチューブだから熱に弱い。熱で溶けても、中の線はテフロンでコーティングされているから問題ないはず。もっと高温になって燃えちゃったらこまるけど、ローストビーフのオーブンの温度ではどうなるかわからない。

パソコンのUSBに接続する顕微鏡と称するおもちゃで撮影したのが下の図で

右下から出てきたのが鉛筆の芯の先端だ。この写真では細い線を巻きつけてあるが、結局、あまり意味がない。鉛筆の先端を太い方の線に近づけアーク放電が生じるようにすると太い線が溶けるからその溶けたときに細い方の線をくっ付けるのがいい。
このように径の異なるワイヤーを溶接するのは難しい。細い方が容易に溶けて溶断してしまうからだ。細い方も太い方も溶けてほしいわけだ。何回か練習すればできるだろう。溶接されたところは極わずかな部分になるので、この溶接部分に力が加わるとすぐきれてしまう。両方のケーブルをテープ等で止めてうごかないようにしておいてから溶接する。太い線のコネクタ部分をミノムシクリップで掴み、太い線と鉛筆芯の間で電流を流して溶接する。
2本の細い方のワイヤーの逆側はハンダ付けしてあるから、ミノムシクリップで掴み、テスターで抵抗を測定する。線が細いとテスターのミノムシクリップで掴めないからだ。溶接できたようだったら、すこし細い線を動かして、テスターで抵抗値が変わらないことを確認し、硬化の早い接着剤ですぐ固定するのがいいだろう。
この場合は30Vで 10 Ωの抵抗を介して溶接した。ビノキュラの下で行わないと小さずぎて見えない。
下図のは上が 0.3 mm と 0.075 mm の線(赤と黄色)を溶接しエポキシ接着剤で固定したところだ(下写真の上)。

細い線の反対側は撚って銅線にはんだ付けしてあるから、これを切り取り、被覆を剥き、線を撚って短く切って、鉛筆の芯の先端を撚った部分に接触させ溶接した。太い線のコネクタをミノムシクリップでつかんで電流を流す。この場合20Vで20 Ωの抵抗を介した。こっちのほうは簡単にできる。上の図の下の部分だ。
 
外径1.4 mm 、長さ100 mmのステンレスチューブの中に挿入して使うわけだ。チューブの先端は注射針のように削って、鉛フリーのハンダで先端を塞ぐ。根本は外径 2.0 mm、内径 1.5 mmのステンレスパイプをはんだ付けし、6 mm のステンレス棒を旋盤で中が空洞になるようにし、さらに外径 2.0 mm、内径 1.5 mmのステンレスパイプが通るように穴あけ加工して、細い線と太い線の接続部がこの中にはいるようにした。中にはセラミック接着剤を充填した。また抵抗のリード線を6 mmのステンレスチューブにはんだ付けしてこの線を曲げて太い方の線を固定し、ひっぱったとき抜けないようにした。

太い方の青い線の被覆は熱に弱そうなのでガラス線維を織り込んで作ったチューブ(ガラスチューブ内径 2mm)を被せた。

市販製品 のK熱電対(シース型・コネクタ付き)に相当する。4千円だ。買ったほうが安い。
ThermoProデジタルオーブン調理用温度計 バーベキューコンロサーモメーター 肉 天ぷら 揚げ物 食品用 塩麹 燻製など温度のチェックのため キッチン料理用のタイマー アラーム機能があり 耐熱TP-06 はプローブをオーブンの中にいれて温度を測定できる。2000円位だ。安くていいだろう。ただし、プローブの太さがわからない。外径 2 mm 以上あるのでは?このプローブが太いと、肉に刺すときためらっちゃう。細いほうが精神衛生上好ましいが、耐久性がなくなっちゃう。しかし、安いからいいのでは?いろいろ機能があるようだが、その機能は使わない。温度がわかればいい。

Fiber Optic Illuminator

実体顕微鏡、外科用の手術顕微鏡の下で細かい作業を行うとき、顕微鏡の拡大倍率を上げると、暗くなってよく見えない。別途、照明装置が必要である。普通の照明装置は熱も発生するので、照明装置が近いと対象の生体標本が痛む。そこでグラスファイバーを束ねた光のガイドを作り、熱源である光源そのものは対象から遠ざけるということになったのが、ん十年も前のことだ。この光源は普通の電球ではなくハロゲンランプが使われていた。このハロゲンランプは低電圧高電流で動作する(例えば21 V、7 Aとかだ)ため、光源の電源は100 Vから電圧を落としさらに太い配線が必要なので、でかい重たいトランスがあるのが普通だ。さらにこのハロゲンランプの寿命は短く、すぐきれちゃうのだ。高価でもあるのだ。当時はこれしかないからしょうがなかったわけだが、最近は明るい LED が普及してきたので、光源は LED になっている。
研究室が耐震工事のため引っ越しを繰り返したり、退職した研究者の物品が余ったりして、この光ファイバーを使った光源が余ったのだが、引っ越しのどさくさで光源が見当たらない。光ファイバー部分だけがある。

細かい工作の必要があって、顕微鏡下で行うので、このファイバーを利用することにし、 LED を使った光源を作ることにした。
材料はいずれも秋月電子通商からだ。
1.【I-06966】放熱基板付クールホワイトLED XPGWHT 5Wクラス 価格:¥200
2.【P-06719】CREEチップLED用レンズ LL01CR-DF40L06-M2-T 価格:¥100
3.【K-06300】1000mA 可変定電流パワーLEDドライバーキット 価格:¥840
4.【M-01804】超小型スイッチングACアダプター12V1A 100V~240V GF12-US1210 価格:¥650
5.【P-05051】放熱器(ヒートシンク)54x50x15mm 価格:¥110
6.【P-10211】金属ケース MB-4 (アルミ製) 価格:¥780
他には、電源のコネクタ、電源スイッチ、パイロットランプとなる青色LEDとこれに直列につなぐ抵抗 (1KΩ)、基板、スペーサ等である。主要な部品その他をあわせても5千円/台にもならない。
光ファイバーを固定するための金具は、ホームセンターで水道の配管部品と思われる真鍮の部材(500円位)を見つけた。穴の径が光ファイバーの根本の外径(15 mm)よりちと大きな(16 mm)ナット様のパーツだ、中にネジが切ってあって径が大きくなっているのでアクリル・パイプをいれて光ファイバーがぐらつかないようにした。フライス盤で削ってケースにとりつけるためのネジ穴を作った。6個もあるけど、全部は使わない。3ヶ所だけだ。大体6ケの穴の位置は、型紙をつくって、センターポンチでアルミ箱と同じ位置にマークするのだが、管理者が実施すると一致しないのが普通だ。その程度の精度でしか工作できない。6ケのうち3ケが合えばいいのだ。右のネジは突っ込んだ光ファイバーの根本を固定するためのネジだ。

LED は配線をはんだ付けし、レンズを取り付け(両面テープの・ようなものが付いていたが接着剤で止めた)、放熱器に取り付けた。LED はアルミの放熱板の上にあるわけだが、このアルミの板を放熱器に、LED の載っているアルミ板と放熱器の間にシリコン放熱グリースを塗布して3ミリのネジ2本で取り付けた、ネジは配線に直接接触してもかまわないように、プラスチックネジを使えばいいのだが、プラスチックネジは耐久性がなく経年変化で必ず折れる。そこで金属ネジにテフロンのチューブをかぶせ、テフロンチューブが押し付けるようにして、ネジの金属部部分が接触しないように取り付けた。

アルミ箱のなかに基板等はスペーサで適当に配置・固定した。可変定電流パワーLEDドライバーキットには電流調節用の半固定抵抗10KΩがあるので、これを使わずパネルに10kΩのポテンシオメータをつけてこれに配線した。電流調節=明るさ調節となる。箱の中がすかすかなのは、AC 電源アダプタを内蔵することを考えているからだ。 AC 電源アダ。電流調節=明るさ調節となる。箱の中がすかすかなのは、AC 電源アダプタを内蔵することを考えているからだ。 AC 電源アダプタはスイッチング電源なので変なノイズを出す。したがってシールドした金属箱内に納めたほうが、生体の電気現象を記録するときに使うのには良い場合がある。光ファイバーで光源と標本の間は距離を置くから必要ないかもしれない。必要があったら内蔵させることにする。
放熱器にはファンが必要になるかもということで、電源が15Vになるかも、そして用意したのが12V用のファンなので100Ωの直列に入れる抵抗も用意しておいたが、結果として使わないことになった。

前面パネルだ。穴の中心とLED の中心が一致していない...ま気にしない。ように見えるがカメラの軸と一致していないからで、ほぼ中央にある。
とりあえず、最大の出力で1時間駆動し、放熱器のフィンにさわったが、ほのかに温かいくらいなので、ファンは取り付けないことにした。静音ですな。

出来上がったが、従来と異なり光源部分が軽く、ファイバーのほうが重たいのでファイバーを動かすと光源の箱の位置がすぐ動いちゃう。別に問題になるわけではないけどね。

というわけです。
電源にスイッチングACアダプタ12 V 1A を使ったら、LED に流れる電流の最大は300 mA、ところが15 V 1.2 A というのを使ったら275 mA と何故か逆だ。LEDでの電圧降下は3.0 V と同じだ(当然だけど)。この1000 mA 可変定電流パワーLEDドライバーキットの動作は;

R4 の 0.1 Ωの電圧降下とADJ 入力の電圧で電流値を決めている。LX 端子が中のFETのソースに、ドレインがGND に接続してあってこのFETを制御することによりLX から GND に流れる電流値を決めている。(0.1 X ADJ[V])/(2.5 X RS) {Ω]mA だそうで、5.1 V のツェナーダイオードでクランプしてあるから、電源電圧に関係なくADJは0.55 V〜2.62 Vの範囲で変化する。 RS が 0.1 Ωだから計算では出力電流は 0.22 〜 1.05 Aの範囲で変化することになる。しかし300mAしか流れない。電源電圧が高いとR1とD1 のツェナーダイオードに流れる電流が大きくなりR1 での電圧降下が大きくなるのでADJの最大電圧が逆に小さくなってしまうからかもね。もうちと高い電圧の電源を用意して試してみるかも。
もっと電源電圧を高くしないと電流は流れない。というのが、作り上げてから回路や部品のスペックを読んで気がついたわけです。この LED は 300 mA より 1000 mA のほうが2.5倍も明るい
何も考えず、電流流せば光るだろとやるからこんなことになる。試作品なんてこんなものさ。
そこそこ明るいのでいいやと、いつものように妥協するのです。
[ 追記 ] 208.5.14
電流測定する場所をまちがえていた。senjyuさんの指摘が正しかった。この電流制御キット、入力と出力のコネクタが同じで(という言い訳で)、誤って電流制御キットの入力電流を測定していた。電源電圧が 12 V 時でLED に流れる電流を104 mAから 945 mA に調整できていた。15 V 時で 110 mA 〜 956 mAでした。ま、管理人のやることは粗忽であるTypical Results ですね。
1000 mA 近く流して、つまり最大の輝度で室温25度で1時間放置したが、放熱器のフィンの温度は40度位なので、箱の空気の流れを良くするための穴を空けることや、ファンの取り付けは行わないとした。