アーク溶接

熱電対の温度計が欲しい。
熱電対は異なった二種の金属を接続させることでできるが、この2種の金属は決まっていて alumel と chromelという合金なのだ。別の組み合わせもあるがこれが最も一般的なのだ。この2つの金属をしっかり接触させるのは溶接しかない。撚っておくだけでもいいがそのうち間に酸化膜なんかができたりして接触不良になる。ハンダ付けは論外だ。2種の金属というのに異種のハンダという金属が変にからんでしまうからだ。第3の金属が間にあっても理論的には問題ないが3種の金属が変な組み合わせで接触してはいけないのだ。
溶接する装置なんかない。工作室にあるのはもっと規模の大きなアセチレントーチだ。というわけで熱電対をつくるためには溶接装置をなんとかしないといけない。熱電対の線は細いので溶接するための火力というか熱は小規模である。大規模だと解け過ぎちゃって逆に作れない。そこで、誤摩化して作った。
熱電対のワイヤーの溶接部分をしっかりよじってじって、反対側は軽くよじり、みの虫クリップでこのよじった反対側をつかむ。鉛筆を片側は鉛筆削りで尖らし、反対側はみの虫クリップでつかみ易く削る。スライダックの2次側に10Ωくらいの抵抗―こいつはニクロム線を巻いたものだ―を介して接続する。鉛筆の先端を溶接したいところに近づけるとスパークがでて熱電対の金属が溶けて球状になる。これでいい。スライダックの電圧を調整して、何回かやってみると巧く溶けるようになる。ちなみに、今回の熱電対のワイヤの径は300μmであったが、50Vではちと弱く、100Vで巧く溶けた。もう少し低くてもいい。ただし10Ωのニクロム線が発熱する。指なんかで触っていてニクロム線にゴミがついているから、そのゴミが燃えて煙がでる。計算では10Aも電流が流れるわけで、電流を流し続けるとニクロム線が切れるかスライダックの巻き線が焼けてきれちゃう。連続して電流を流さないこと。今回使ったスライダックは3.8Aの規格だ。流す時間はほんのちょっとだから大丈夫であった。ビノキュラの下でやらないと小さすぎて見えない。テスターで巧く溶接できたことは確認できる。線の長さによるが数十Ωになる。抵抗を測定しつつ先端をさわったりして、抵抗値が変わらなければ巧く溶接できていることになる。
当然のことながら溶接棒とかで金属を供給するわけではないので、ワイヤーは溶けて短くなる。
装置というほどのものではなく、むき出しの部品だらけだから、確実に誤ってどっかに触って感電するからね。良い子はまねしないように。
本来はalumel とchromel2種の金属を長さにわたって撚ってはいけないのだ。一番根元に近いところの接触部分の温度が最終的に反映するから、先端だけが接触している状況でないと、どこの温度を測定しているのかわからなくなっちゃう。絶縁されている必要がある。先端部だけをしっかり撚らないと、溶けるのは一方のワイヤーだけだったりして巧くくっつかない。
しかし、何のために熱電対で温度計を作るのか? それはできてからのお楽しみ。
追記
50μmのalumel とchromel線の溶接の場合は、線が細すぎてみの虫クリップでつかめない。そこでアークを発生させるために電流は2本の鉛筆を使った。2本の鉛筆を鉛筆削りで先端を尖らし、その間でアーク放電を行う。鉛筆先端の間に、先端だけ撚ったワイヤーを入れアーク放電させた。条件は30Vで10オームの抵抗を上記のように挟んである。これで溶着できた。ワイヤーは被覆されていたからカミソリで被覆をあらかじめはがす。ざっとはがすだけで、溶着のとき被覆は溶けて飛んじゃうから問題ないだろ。ワイヤーの長さはそれぞれ10cmで溶着後の抵抗値は50Ω程度であった。

「アーク溶接」への2件のフィードバック

  1. すごく細い熱電対を溶接するのに普通の小型インバータ式アーク溶接機しかなく、配線が燃えてしまい困り果てていたところ、こちらのサイトの記事が大変参考になりました。溶接棒の代わりにワニグチクリップでHBの鉛筆を咥えてみたところ、うまく熱電対を溶接することができました。専用の溶接機を使わなくてもなんとかなるもんですね。本当に助かりました。

  2. へ、良くこのページを見つけたね。スポット溶接機なんて購入できない貧乏人のページです。アイデアを出すのには金がかからない。

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