学生のレポートは互いにというか、誰かのをコピーするのがどこの大学でも多い。
コピペを検出/抽出するソフトがある。このソフトを使うためには電子化したファイルが必要だ。こっちの(このサーバのある)大学で、某先生が毎年チェックしている。年に1回だけだ。それを完全にわすれちゃっていて、レポートを投稿するメアドを削除してしまった。あわてて再び作成したわけで、サーバを変えたからパスワードも変更して連絡したのだ。メールの送受信が問題ないかのテストも行ったわけだ。
アカウントを作成した直後から学生がメールを送信してきた。ぎりぎり間に合った訳だ。で添付されているレポート(結果と考察の部分だけ)を読んでしまった。
あまりにも、あっちの学生と違うので、あらためて愕然として、頸をうなだれるだけだ。
こっちの学生だって、教科書のコピペなんだけど、教科書の記述を読み、自分で文章を組み立てている。あっちの学生も同じだけど、教科書の文章を丸々コピーするのだ。つまり理解して書いているのではないのだ。
折角、教科書を読んでいるんだから理解して、わからなければ教員に聞いて、記述すれば頭に入るのに。それが目的のレポートなのに。
どうやったら、考えてレポートを書いてくれるようになるだろうか。来年度の目標だな。今年度は、ようやく最後のほうになって、形だけはなんとかなったのだが。
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全く同一の問題を出してみた
生理学実習は実習なので、実験に参加しレポートを提出することが重視される。しかし、前にも書いたようにレポートは金太郎飴だ。つまり誰かが測定し計算したのをコピペしている者が多いわけだ。データを測定し計算するのは多くても1/4の学生で残りは結果をコピペしていると推定している。実験結果は実習の班内では同一なので、結果自体をコピペするのはかまわないと思っているが、その測定と計算ができないのは困る。
というわけで、実習にも試験を課すことにしたのだ。同僚のN君のアイデアだ。測定と計算ができるか?結果を説明できるか?という記述式の問題だ。
前期(春学期)の試験で唖然とすることが多かったので、後期(秋学期)に全く同一の計算問題を1問出してみた。彼らはきちんと出来なかった問題を復習しているのだろうか?
問題は、「25 mm/s で記録された心電図のR-R間隔が20 mmだった。心拍数を求めよ」というものだ。20 mm が何秒かを計算し、間隔(周期)から頻度を求める計算だ。頻度はさらに毎分当たりに変換する必要がある。医学系なので単位は毎分とか圧力が mmHgで示されるとか、必ずしも物理で使われるCGS単位系が使われるわけではないからだ。前期に出来ない者が多かったので、実習の説明時に周期と頻度は逆数関係にあること、計算方法を解説したのだ。
両方の試験を受けた103名の学生の結果だ。
前期(春学期)の結果だ。
後期(秋学期)の結果だ。
計算だけはできた者というのは正しい数式が書いてあって計算ミスとか最終的な単位が書いてないという学生だ。計算は簡単だから計算ミスは少なく、ほとんどが単位がない/正しくないという答えだ。全くできなかった者とは計算式も立てることができない学生だ。大学生にもなって40%近くが全くできないというのは驚きだが、2年目なので慣れてしまった。当初は。どうやって高校を卒業できたのか/大学に入学できたのかとおったまげたのだが。
さて、この結果の考察だ。
前期の結果から約1/4の学生が自分で計算してレポートを書いたという推定はどうやら正しそうだ。後期、答えに単位がないという学生が減り、正解者が増えたということは、前期の試験の正解(公開している)を見て、改善されたということだ。単位がないから減点されたと理解した学生がいるということだ。まだ成長する余白があるのだ。
問題は約40%の全くできなかった学生だ。後期になってもなんら変わらないというか何故か後期のほうが5%も増えてしまった。つまり前期に出来た学生の中には真に理解して計算したわけではない学生が混ざっていたということだ。
しかも、なんの反省もない。試験結果は得点だけが問題であって、解けなかった問題を再度解いてみるという考えが全くないのだ。
もっと細かく解析してみると;
2回とも完璧にできたのはたった18%。つまり完全に理解してその理解を保持できた学生の割合だ。
2回目の試験で、完璧にできた者、答えに単位がないが式や計算がなんとかできたという者を合わせると、つまり、なんとか答えられそうな学生は55%だ。その割合は1回目が60%だったので減っていることになる。
1回目完全にできたのに、2回目はできなくなってしまったという学生が8%、1回目なんとか式をたて計算できたが単位を付けなかった。それなのに2回目には全くできなくなってしまった学生が10%。1回目の結果を反省することがなかったので2回目も全くできなかった学生が27%もいる。この27%の学生は仮に進級できたとしても、再度解いてみるという意識がないので、一生この問題を解く事ができないのではないだろうか。
泣けるぜ。 [Clint Eastwood風 ]
[追記] 翌年度にも同じ事をした。
生理学講義実習のアンケート
生理学の講義も実習も終了したので。全学生(106名)からアンケート調査を行った。回収率100%だ。そのうちの実習に関してだ。
76%の学生がレポートを作成するのが大変だったと答え、
67%の学生がレポートの書き方がわかったと答え、
59%の学生がレポートを書けるようになったと答えた。
これって、結構良い数字だと思わない?なんせ、最初はレポートの書き方は全くわかっていなかったのだから。
学生自身がレポートを書けるようになったと思っているということと、まともなレポートが提出されているということとは違うけどね。
実習がうるさくて困ったか?という問には、なんとたった17%しか騒がしいと思ってなく、37%がうるさくなかったと答えた。なんてことだ。あんなに騒がしいのに。自分が音というか声を立てているときはうるさくないんだ。これじゃ、もっと静かにしろといっても無駄なわけだ。
講義に関しては、
64%の学生がわかりやすかったと答え(わかりにくいが13%)たが、
47%が情報量が多く(16%がそうは思わない)、53%がノートを取る暇がない(20%がそんなことはない)と答えた。
配布資料は58%の学生が良い(16%が悪い)と評価し(講義のスライドも59%の学生が適切だ(20%が不適切)との評価だった。
2/3近くの学生が講義がわかり易いと答えたのはかなり良い成績だと、自己評価している。
もう少し情報量を減らし、講義のスピードを下げる必要があるようだ。これでもかなり情報量をへらしたつもりなんだけどね。せっかちだから、どんどん先に行っちゃうんだよね。間を置いて話すのは不安なんだよね。落語では評価の良いのは話に間がある落語家なんだよね。意識して間を置いているのか、年寄りだから早くできないのかわからないけど。もっとも立川談志のようなのもいるけどね。管理者も年寄り相応にスピードを落とすか。
プリウスを買ってから、運転がおとなしくなった。燃費のメータがあるからだ。おなじかな?
センター試験
一昨日と昨日はセンター試験だった。久しぶりに監督委員として、動員された。前の大学では、入試関連業務に、正式な入試委員でなかったときでもかり出されていたので、センター試験監督にわりあてられることがなかったのだ。スタッフの数も多いから、割当られなくもなんとかなったのだ。
新規に赴任した大学ではスタッフの数が少ないし、割り当て先はまだやったことがない教員というわけで、順番となったわけだ。
大学の試験会場は目白だ。岩槻ではない。朝8時集合だ。ということは筑波から目白へ行くのに電車の接続がものすごくよくても1.5時間はかかる。朝6時のTXつくば駅に出てなんとか間に合うというところだ。自宅を出るのは5時半ころだろう。結構つらいものがある。岩槻に勤務している教員は結構遠い自宅から通勤している。より東京側に自宅がある場合はいいけど、逆の場合は新宿・目白に行くのが大変だ。ということで昨年の監督になった教員に聞いたら試験会場近くの池袋あたりのビジネスホテルを使ったそうだ。そうすれば楽だ。というわけで、入試担当の事務にホテル使っていい?いいとしたら清算はどうやるの?領収書だけでいい?と聞いたわけだ。OKとの返事なので、ホテルにするかなとおもっていたら、翌日、大学本部から、始発で間に合わない限り大学は宿泊費を持たないという連絡がきたのだ。確認したのがやぶ蛇だったようだ。岩槻の事務が本部にお伺いをたてた/確認したにちがいない。くそ。
というわけで、2日とも朝5時半に自宅をでた。初日は帰宅したのが夜9時だ。風呂に入って、晩酌、夕食でおしまい。新聞もTVもみないで寝た。考えてみると、朝6時前に家を出て帰宅するのが夜9時すぎなんていう会社員は結構いるだろうな。だからそんなにひどいものではないが、管理者が給料をもらう職について以来、通勤に15分以上かかることはなかったので、つらいのだ。
それはさておき、試験監督は試験中はルーチンの仕事が終わると、30分くらいなにもすることがない。試験問題は受験生の数より多く配布されるから、余った試験問題冊子をみることくらいしかないのだ。毎回、受験生からのクレームは試験監督が寝ているというのがある。事実眠いのだ。朝早いし、教室内はあったかいしね。
で理科総合A 第3問 問6 の解答の選択肢にひどいのがあった。
家庭で家電を電源に接続するのは、各家電器具は100Vの電源に並列に接続するのが当たり前だ。
その普通のというか正常の、複数の家電製品が電源に接続されている配線図と、なんと直列に接続してある配線図が提示され、それぞれの特徴の組み合わせを選べという問題だ。
特徴として、すべての電気器具に流れる(キ)電流は同じ、(ク)電圧は同じ、(ケ)電流と電圧が同じ、(コ)一つの電気器具のオン・オフがほかの電気器具に影響しない、(サ)各電気器具に流れる電流が互いに関係するので、節電に役に立つ という項目があげられている。並列接続の場合、この5つの特徴のうちのどれか二つが、直列接続の場合もこの5つの特徴からどれか二つが選ばれており、合計6つの選択肢から1つ選べというわけだ。
どう考えたって、直列接続されている回路図に正解があるわけがない。仮に、仮想の問題であっても、そんな非現実的な回路の中に正解があったら議論の対象にされちゃう。電池と豆電球だったらいいけどね。というわけで並列回路について答えるべきなのがすぐわかる。で電圧が同じーそうでなかったら家電は動かないだろうがーとわかったらすぐ選択肢が1つしかないのがわかる。
こんな問題があっていいのだろうか?(サ)の「節電に役に立つ」というのは物理の問題の選択肢ではなく経済問題の選択肢だ。作問するほうも苦労しているんだろうな。
管理者だったら(サ)は「どの電気器具も電流が流れても正常に動作しない」という特徴にするだろうな。
そうすれば、Dの並列接続については、ク、コが正しく、Eの直列接続については、キ、サが正しいということになる。選択肢の中にキ〜ケは2つ、サとコは3つあるのでいいだろう。
1) D:キ、サ
2) D:ク、コ
3) D:ケ、コ
4) E:キ、コ
5) E:ク、サ
6) E:ケ、サ
にするのだ。正解は2)となる。
ガラ線維
昨日は生理学実習の発表を実施した。各実習ではレポートを出させているのだから必要はないが、レポートには赤字を入れて採点して返却し、なおかつ、学生間で共通の誤りを正すべく、解説ページを公開している。
つまり、学生に、実習の解説を実施しているわけだが、学生はもう終わったことなので読んでいるかどうかわからない。レポートでの指摘が改善されたかどうかわからない。そこで、実習項目について目的・方法・結果・考察を発表させるわけだ。
先日は、この公開解説ページがこっちの大学の学生にまで知れ渡り問題になったのだが…
学生の一人がガラ線維と発言していた。さて、ガラ線維とはなんだろ?聞いた事も無いし、もちろん教えた事も無い。GIa線維のことだ 。I(ローマ数字の一)をアイでもなくエルと読んだ訳だ。Gはグループのことだ。「ジー・ワン線維」「グループ・ワン線維」とか読む。学生は「エル」と理解したので「ガラ」になってしまったのだ。GIb線維はなんと言うんだろうな?ギャブ線維とでもいうんだろうか?GII、GIII、GIV線維というのも説明したんだよね。いち・に・さん・よん と理解してくれなかったんだよね。
質問に「三半規管とはなんですか?」というのがあった。発表者には「そんな質問は授業でやったから知らない方がおかしい」と答えを拒否してもいいといってやった。
軸索で活動電位が両方向から来て衝突すると消失しちゃうのは何故?と聞いたら一人しか答えられなかった。
あれだけ、何回も注意したのにグラフの軸の数値が、例えば心拍数の軸の数値が100.00なんて記載されているのがあった。エクセルのデフォルトのままだ。軸の説明のないのもある。
よくまとめてあった報告もあったことはあったのだが….発表班の構成はくじ引きで、つまりランダムに決めたのだが、どうやらできの良い学生がたまたま集まった班があって、この班の発表は非常によかった、しかし、頭数がそろってもだめなのはだめなんだなぁ。
サイズの原理も誤解しているし….
結果をどのように説明するのかという観点がまだない。学生はあいかわらず答えを探しているんだよね。口を酸っぱくして、答えは教科書にない、教科書の記述を理解して結果を説明するのだと言ったんだけどね。
あれだけ説明・解説しても何も理解してくれていないと思うと、がっかりして、声もでないよ。
9時間!!
雪だ。
朝6時に筑波をでて岩槻についたのが15時30分。途中、トイレでコンビニと昼食に吉野家に寄ったから9時間は車の中にいたことになる。朝6時に出発すると普通は2時間はかからないというのに。
つくばでは国道354にはいったらすぐ渋滞。多分、旧谷田部庁舎あたりの坂を登れない車があるのでは、と思い谷田部の町中の細い道を通って県道3号に入った。最初はよかったがどんどん車がつまってきた。
最悪なのは矢作(やはぎ)の手前から。芽吹大橋がほとんど唯一の利根川を渡る橋だ。車が集中する。ここを通り抜けるのに3時間。
16号にはいったのが5時間後。16号は幹線道路だから雪でうごけない車はないだろう、したがって流れはいいだろうとおもったのが大間違い。10km/hくらいかな。だからといって、幹線道路をはずれると坂道とかで通れない可能性があるのであきらめ。
常磐道も外環も東北道も昼過ぎまでは通行止めだから選択の余地がなかった。
なんのために大学にでてきたのかわからなくなってきた。
しかられた
あっちの大学でもこっちの大学でも生理学実習にはウシガエルの遊離座骨神経標本を使った活動電位の伝導実験をおこなっている。この実習はどこの医学部の生理学実習でもある定番の実習だ。
あっちの大学では9月に実施した。こっちの大学では12月だ。
あっちの大学では実習が終了したとき、なぜ刺激電極の陰極側で興奮が発生するのか、軸索の太さと閾値の関係、などを解説した文書を学生に読ませるためにアップロードした。2つの学科で同じ実習だが、それぞれの学科のサイトが異なるので、全く同じ文書を2カ所にアップしたわけだ。この文書を作っている時点で、正確に説明しても、多分あっちの大学の学生は理解できないだろうなとは思っていた。しかし、解説をしないわけにはいかない。なんせ神経生理学の基本だからだ。
管理者が担当しているサイトはユーザIDとパスワードが必要だ。もう一つの学科はH君が担当している。H君のためにサイトを用意したのだが、H君は使ってくれない。もっぱら管理者がH君担当の学科の学生への資料とかをアップしているだけだ。こっちのサイトには誰でも入れる。
ここまでは問題も何にもない。アップした文書がおかしいわけではない。文書はオリジナルなので著作権も関係ない。
しかし12月にこっちの大学でも同じ実習を実施したとき問題が発生した。こっちの大学では実習ではデータを取り、翌日レポートを実習時間に仕上げることを行っている。レポートを書く時には、教員が付く。その教員は元部下だ。
元部下が、学生を監督するため、レポートを書くために学生が集まっているところに行くと、あちこちの班で「目白大学の….」という言葉が学生から発生するのに気がついた。何だろ?実習と目白大学とは関係ないはず…… このような班が複数あるが、別に系統的ではない。そのうち学生が持っていた文書を読むことになったわけだ。その文書には実習の課題の答えが書いてある。む、まともに書いてある。なんじゃこれは?上級生からの文書か? ん?トップページに目白大学とある。誰だ?む!管理者の名前がかいてあるではないか!!。
班によっては班員の分まで印刷して持っている。これじゃ実習課題を学生が考えることはない。読んで理解したらそのままレポートに書けばいい。
というわけで、管理者は元部下にこんな文書をアップするなと怒られた次第です。
管理者も、何故こっちの大学の学生が管理者が書いた文書を持っているのか不思議になった。Google で「カエル 座骨神経」で検索すると、トップはヤフー知恵袋(当然、答えになってない答えが書いてある)、2番目はどっかの大学の実習書(だから答えはない)、3番目が管理者の書いた文書だ。「カエル 座骨神経 電気刺激」で検索するとトップだ。というわけで、学生は考える努力することなしに、実習のレポートを書くことができるようになってしまったのだ。
生理学実習のレポートの参考文献なんて、普通の教科書にないからな。ほかの同じ実習項目のある大学の生理学教室にも同じように迷惑をかけているんだろかな。Googleでトップに出るということは、多くの方がみているということだからな。
とほほ…..人気がないな
生理学の講義は30回あって、昨日28回目が終了した。講義では、その講義のポイントとなる点を小テストにして実施している。出欠も兼ねている。解答用紙の下に、アンケートもつけている。もう、終わりに近いので、アンケートの項目に、「もう生理学はこりごりだ」—–「はい」「どちらともいえない」「いいえ」 というのを加えてみた。106名の受講者で4欠席だった。回答しない奴もいる。
という結果だ。とほほ。こりごりというのが2割近く、生理学が好きだというのがたった6名。なんてこった。人気がないなぁ。多分、管理者のような じじい でなく、もっと若い教員が教えていたらもっと「いいえ」が増えるんだろうなぁ。と、年齢のせいにしておこう。
「どちらともいえない」というのの中には遠慮して、本当は「こりごりだ」というのが何人もいるんだろうな。
小テストの成績(10点満点に換算)との相関はないけれど……
もう生理学はいやだという学生のほうが成績は悪い傾向にある。
昨日の実習は、酸や塩基を負荷したとき尿のpHがどのように変化するかだった。負荷してから1時間後に再尿するわけだが、その1時間、学生はすることがない。ごくわずかな学生が解剖学の勉強をしていた。のこりのほとんどがおしゃべりだ。そこで、既に実施したAO入試の試験問題を黒板に書いて解かせてみた。興味をもったのは10名くらい。あとは興味も示さない。問題はクイズみたいな算数の問題だ。満点の受験生がいたぞ、解けないと来年は下級生にバカにされるぞといったがほとんどの学生は無視だ。あーあ。ちゃんと試験としてやってみればよかった。生理学は理屈なんだよね。その論理を考えるというのができないんだよね。だから生理学は嫌われるのだ。と、またもや学生のせいにするのだ。
ここは幼稚園か?
今年の生理学実習も残りあとわずかになった。
実習は疲れる。その騒音に疲れるのだ。クラスを実習によって6班〜12班にわけて実施するのだ。メンバーが固定しないように毎回ランダムに学生を配置する。必ず、仕切る奴がいて、固定化すると役目が固定されてしまうからだ。去年は、目立った仕切り屋が何人かいたが、今年は余り目立たない。仕切り屋のペースで終了する時間が決まる。仕切り屋は多くの場合、実習内用を理解している。誤解していることも多々有るけど。実験はヒトを使う事が多い。つまりお互いに被験者/実験者になるのだ。被験者を決めるのは、学年の初めのころは、決まってじゃんけんである。後半の今頃になると、最初から自ら被験者になる学生がでてくる。だいたい、なんだかんだと騒ぐ男の学生が最初に被験者として名乗り出る。こういうのがいる班は実習が終わるのが速い。たまたま遠慮がちな学生ばかり集まるとなかなか終わらない。
しかし、実習はうるさくてかなわない。よその班の学生にちょっかいをすぐ出す。ちょっかいを出す学生は決まっている。こういう学生を所属する班に実力で戻す訳だ。実習室には「ハリセン」とTVでコメディアンが良く使っている「音の出るハンマー」が用意されていて、これを使うことがあるのだ。まるで幼稚園だ。あちこちに散らばった学生を元に戻す作業が、実習教員の役目とは、誰にも信じられないだろうな。学生の保護者は想像すらできないだろうな。一度、保護者に授業/実習参観に来てほしい。幼稚園や小学校並みなんだから。
実習の最初に、実習書をまず10分くらいかけて読ませる。実習書は、ここまで書かなくてもいいだろと思うような懇切丁寧な物だ。2年がかりで作ったからな。学生の理解度を最初の1年で予想して作成し、2年目の今年、昨年の経験を踏まえて改変してきたのだ。欠点は、こんなことまで書かなくても良いだろうということも書いてあるので、どうしても長くなってしまったことだ。学生は長い文章を読めない。ぱらぱらと眺めることしかできない学生がいる。
その後15〜30分かけて(H君はこれが長い、合計1時間もかかると学生の注意力がなくなってH君のしゃべっている事を聞いてない)、口頭で説明するわけだ。一番最初、この大学に非常勤で来たときは、よくわからないので、今まで同様、実習の目的と方法を口頭で説明し、方法は実習書に書いてあるからそれに従え、だけだった。悲惨なことになった。実習書を読ませ、口頭で説明しても、いざ始まると「これはどうするのですか?」という質問が必ずくる。「実習書に書いてあるだろ、さっき説明しただろ」と何回返事したことか。とほほ……
「先生はオレンジ色のセーターは似合わない」 「先生は料理できるんでしょ? ハンバーグが食べたい」 「カレーがいい」 だって。カレーにハンバーグかよ。幼稚園児だな、全く。カレーだってグリコのバーモントカレーみたいな物しか食った事無いんだろうな。
実習の目的を理解できていないので、また、まじめなので、「5分間、xxxという操作をする」と実習書に書いてあると、ストップウオッチできちんと5分、カウントダウンとかして実施している。何故このような操作をするのかがわかっていないのでこういうことになる。ストップウオッチで時間をきちんと測定した割には、実習書に「直後にxxせよ」と書いてあっても、ふらふら遊んで時間を開けて次の操作おこなう。この場合は直後の操作が大事でその前の操作は4分30秒でも5分30秒でもかまわないのだが…..「10秒以内に」とか実習書に書いてないことがいけないんだな。来年も実習書を改訂しないといけない。また長くなるな。
なんせ実習が30回もある。こんな大学は他にないと思う。多くても15回、そのうち始めの一回は実習の総論的な解説、最後の2回は学生に結果発表をさせる(プレゼンテーション能力を養うというのが最近のトレンドだからな)わけで実際の実習は10回ちょっとだろう。この大学は通年で、つまり30回で、文科省の規則を守るので合計45コマを前期、後期で分けるので、前期15コマ15回、後期30コマ15回、合計30回ということになっている。なんとか、このカリキュラムを変更して後期に集めて15回にしたいのだが、できない。その大きな原因は、2部授業体制だからだ。同じ講義、実習を2回/2クラスで実施しないといけないのだ。実習室が狭いし、機材がない。なんとか1〜3限をAクラス、3〜5限をBクラスとして後期だけにしたいのだがなかなかできない。講義だけは2クラスを一同に集めて実施することができたのだが。
実習回数が多いのは、こっちの負担が大きいが、レポートの書き方に関しては回数が多い程良くなるという長所もある。教育が業務なんだから、それで給料をもらっているのだからしょうがないけど。
水曜日に理学療法学科の、木曜日に作業療法学科の実習なので、水曜日と木曜日は「死の二日間」といって、何も出来ない日なのだ。幸いな事に、木曜日は会議の日で途中非常勤のH君とTAにまかせて抜けることができる。会議と実習とがぶつかっているというのはすばらしいスケジュールなのだ。
金太郎飴と赤いボールペン
学生実習のレポートの採点はつらい。一番つらいのは、金太郎飴だからだ。学生同士相談するのはいいが、だれかが間違えた事を、あるいは間違えた測定方法、検定方法を使うと、全員が右へ倣えということになっちゃう。文献引用も同じになっちゃう。
まず、全員のをざっと見て、それから採点というのが本来取るべき姿だが、時間がないので、頭から見て行く。コメントを赤ボールペンで書く訳だが、最初の方でコメントすると、最後まで同じコメントを書かないといけない。不公平になるからな。
ハンコでコメントを伝えたいのだが、実習毎にコメントはちがうので、ハンコを発注するわけにはいかない。したがって、赤いボールペンのインクがどんどんなくなっちゃう。
ブラザーがパソコンでハンコを作るセットを売っている。SC-370pcというやつだ。3万円で、ハンコ自体が千円から千八百円だ。これ買うかな。しかし、ハンコは実習課題毎に幾つか作らないといけないので、実習項目x3ないし4ヶとするとえらい高いものにつく。来年も使えればいいが、毎年、金太郎飴の模様は異なるからやっかいだ。
すでに、レポートの採点結果はスタンプで押している。すばらしい!、やったね!、がんばったね、もっとよく考えて の4パターンだ。最初の3つは、ゾウ、ライオン、ブタのマークもついている。当然、もっとよく考えて というのが一番押されている。こいつが最初に壊れそうだ。
金太郎飴でなく、たとえ間違ったことを書いていても、それなりに、自分で考えた筋の通った文章をかいていたら良い点をあげることにしている。しかし、往々にして、そのような自分で考えた文章は、主語と述語の関係が一致しないとか、用語の使い方が間違えている。筋の通ったわかり易い文章だなと思うと、教科書等からの引用をそのままコピペした結果だ。
100通のレポートを採点するのはつらい。しかし、それが仕事だからな。しょうがない。