もう過去になったかもしれないが、いやまだ早稲田の判定が出ていないから現在もか、コピペの問題である。小保方の博士論文じゃないけど、実習のレポートは放っておくとコピペが蔓延する。そこで、最初の実習のときから、「レポートはコピペするな、コピペしてもこういう道具があるからばれるのだ」とコピペした実際の学生のレポートを提示している。
機械的なコピペ判定は電子化した文書でないとできない。そこで、学生には紙媒体のレポートと、そのレポートの考察以降の部分をメールに添付して送付させている。コピペ判定ソフトはひたすら類似点を探すわけで、多くの実習は班を作って行うので、同一班なら結果が同一になるのが当然だ。したがって、目的、方法、結果は類似するにきまっているので、考察の部分だけをコピペ判定ソフトを使って類似度を算出するのだ。メール添付書類は紙媒体でのレポートを作成してしまえば、簡単なので学生に負担がないから、学生からの苦情があるわけがない。
レポートの評価は、紙媒体で提出された方で行う。メール添付と紙媒体の内容が一致しているかどうかを比較できるが、そんなことはしていない。紙媒体のレポートの締め切りのほうが早いので、紙媒体のレポートを仕上げてからメール送付するのが普通の手順だ。なにもメールのために新たに考察を書き加える理由がない。
しかし、そこに穴があった。中年H担当のクラスでは、コピペ判定で類似度が高くならないように、そして中年Hはメール添付書類と紙媒体のレポートを照合するわけがないと判断して、メール添付のほうは、昔のレポートの考察とか関係ない文書をコピペした奴がいる。紙媒体のほうは該当の実習の考察をコピペして書くのだ。そのような奴はクラスに数人しかいないから、コピペ判定ソフトで類似していると判定されるわけがない。むしろユニークであると判定されるに決まっている。レポート評価は紙媒体のほうで行うのでコピペがばれなければいいというわけだ。
紙媒体でコピペを判断するのは難しい。100通近いレポートを読み、誰かのレポートと同じだなと思ってもどれと一致しているかを探すのは大変だ。学生は同じ教科書を参考にしてレポートを書くから、似たり寄ったりになるからますます大変だ。だからコピペ判定ソフトを使うのだ。
一回これで成功したら、紙媒体とメール添付書類を照合していないということがわかり、紙媒体のほうはコピペでメール添付は昔の考察とか関係ない文書を貼付けることを続けるのだ。
一昨年度の中年H担当クラスのメール添付書類を調べたら、いるいる。あー。中年Hは学生におちょくられているのだ。後期の実習の後半のメール添付書類を調べたら常習者がいた。紙媒体のレポートは誰かのレポートと同じだったにちがいない。すでに返却したからわからないが。
圧倒的多くの学生はこのようなことをしないが、同じような教科書を参考に書くから、レポートが何らかの格好で似てくる。これに対して、全く違う実習の考察とか全く関係ない文書のコピーをメールに添付すると、類似度がものすごく低い。あたりまえだな。だから類似度の高いものだけをチェックするのではなく、極端に低いものも見れば良いのだ。
中年Hが「類似度がxx%以上は、機械的にコピペと判断する」なんて学生に宣言するからこういうことになる。同級生と相談して、同じ教科書を参考にしてコピペに近いレポートを書くので類似度がどのくらいになるのか分からず心配である。だから本来の考察の後に関係ない文書を加えたりする。絶対ひっかからないように工夫するのだが、この程度しかできないのだ。
管理者は類似度が高ければ、両方を実際に比べコピペの判定することにしている。なんていったって、機械的な処理をするとエラーが必ず混入するからな。「xx%以上をコピペとする」などと決めつけたら、私は機械任せですよといっているのに等しいからな。学生に馬鹿にされる可能性が高い。
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あぢ あぢ
座って新聞あるいは雑誌を読みながら用を済ますというのは至上の喜びである。
あっちの大学では、この冬に温水洗浄タイプに更新された。素晴らしい事だ。乗る面には当然ヒーターが付いていて、冬場に腰掛けたときに冷やっとするいやな感覚がなくなり、ますます新聞や雑誌を読むのに快適になった。
だが、もう初夏だ。気温が高い。今度は熱く感じるのだ。温度設定は管理者モードでないとできない。大抵、管理者モードへの変更は複数のボタンの同時長押しだ。幾つかのボタンの組み合わせで試してみた。できない。
くそ(駄洒落じゃない)!。というわけで、先週管理部門に温度を下げろと申し入れしたのだが、今日現在、まだ設定されていない。あぢ、あぢなのだ。
こんなところに長居せず、仕事をしろということだろうな。
中年Hの近況
こっちの大学に週1日勤務しているわけだが、中年Hをよく知る人から、「どお?最近中年Hがらみの何か面白いことないの?」と聞かれた。やっぱり近況報告をせねばならない。
中年Hは本年度はまともなのか、まだ2ヶ月なのでなんとも言えないが、少なくとも学生からの苦情は来ていないようだ。このままだといいのだが…
4年目になるわけだが、過去3年間は苦情があったからな。苦情はもっともというのからそりゃ学生の問題だというものまでいろいろあったけど。苦情を言い易いのかもしれない。
少なくとも外観は変化がない。スパイダーマンの靴はさすがに壊れちゃったらしいけど、同じような趣味の靴だし、先日は通学バスの便が、バス会社のチョンボでうまくアレンジされず、タクシーに乗ったといってタクシー代を請求したのも変わりがない。
朝5時に起きて、ひと風呂浴びてから登校するのも変化がないようだ。大学の経費を立て替えたのに大学がなかなか支払ってくれないので預金がないとわめくけど、別の銀行にちゃんと預金があるし….
どうやら、本来の大学で、学科が増設されたので、講義が増えたらしく、本年度からは非常勤の仕事が終わったらすぐ帰るようだ。これまではぐずぐず夜9時ころまでは居残っていたのだが。
講義が増えて、負担が増えたらやって行けないと大学に申し入れしたの?と聞いたら言葉を濁して語らない。どうやら、採用の条件に、「これから学科が増える予定がありそっちも受け持ってもらう」というのがあったらしい。
こっちの大学の中年Hを知る教員の一人が非常勤講師として本年度から来ている。その教員に、中年Hも非常勤講師として来ているよと言ったら、大丈夫かよとの答えだ。どういう意味かな?
学生言葉
時代によって新しい言葉・単語が出てくるのは当然だが、既にある単語を使ってくれないと、管理者のような じじい はついていけない。
実習では説明を白板を使って行う。学生はレポートを書くのに必要なので、ノートに書き写すのではなくスマホで撮影するのが当たり前になっている。学生は管理者に一応許可を得るのだが、「先生、しゃめ していい?」だ。 は?「撮影していいですか?」と聞けよな。「写メ」は「写メール」をさらに略した言葉で、撮影した画像をメール添付で送付することだ。誰にも送らないので「写メ」じゃないだろうが。文字にすれば「写メ」はわかるが、音で聞くとわからない。
講義の出欠は、教室にあるFeliCaカードセンサー(端末)に学生証をかざすことによって行われる。中には学生証を忘れる学生がいる。こういう学生はメモを書いて教員に手渡すわけだが、「学生カードわすれました、」だと。「学生証忘れました」だろ?まぁカードであることは間違いないけどね。
前の週の実習に欠席した学生が、管理者のオフィスに来て「先生、先週の実習のあれ、出られなかったのでください。」だと。年寄りが、物の名前が口にでてこなくなって「あれどこいった?」と発言して家族に馬鹿にされるわけだが、まだ二十歳前の学生が「あれ」とはなんだよ。「実習書」だろ?
中年Hのしでかした「マッチョな女子大生」の原因の一つに、学生が「被験者」という言葉を理解できてなかったことが挙げられる。多分、これまで「被験者」という単語を聞いた事がなかったのではないか。実験者と被験者の区別ができていなかったと思われる。高校までは友人を被験者にして測定することがあっても、被験者という言葉を使っていないのでは?中年Hはすでに中年だから若年とはもはや遠い世代にあるのだ。これだけが原因じゃないけどね。ある学生は不審に思って3回も中年Hに確認したという証言もあるからな。管理者の担当したクラスでは被験者という言葉で説明したが、トラブルはなかった。きちんと患者さんの測定を友人を患者さんの代わりにする=被験者と説明したからな。
音が聞こえるのに認識できないのは、頭が悪いからだな。音を聞いて単語を認識するのは、背景が前提にあるからで、学生の背景と管理者の背景が一致しないので、学生が何を言っているのかわからないのだ。だから聞き返すのだが、背景が一致していないと何回聞いてもわからない。
マッチョな女子大生
昨日と本日の実習では実習でしばしば使う測定機器(PowerLab)の取り扱いを主に、学生の握力測定を行わせた。
全員が測定者に、全員が被験者になるような実習である。測定する側が本来の実習であるが、被験者が必要なので役割を交代して実施する。そして、全員の握力等の測定値を集め、平均値等を計算し、男女の握力のちがい。クラス別の握力の違い、文科省の大学1年生の平均握力との違いをStudentのt 検定を行い差の有無をレポートさせるのである。
空間の制限と実習機器数の制限、スタッフ数の制限から2学科の実習はそれぞれ2クラス実施することになる。二部授業だな。
毎回、1つの学科の最初のクラスへの実習の説明は管理者が行い、次のクラスは中年Hが行う。中年Hは非常勤講師なので、実習内容と説明の方法がわからない場合があるからである。最初は中年Hがわからないからこのスタイルで行って来たが、もう4年目になり、実習内用に大きな変更はない、だから両クラスとも中年Hが説明をおこなってもいいのだ。しかし….
中年Hが説明を担当したクラスで握力が68kgというマッチョな女子学生が現れた。実習が終わって、管理者のところに学生が来た。測定結果がおかしい、68kgなんてありえないというわけだ。で問い正すと中年Hが表の名前は測定者の名前である。測定者名前の欄にその測定した値を入力せよと言ったというのだ。複数の学生に確認したら中年Hの指示がホントにその学生の言う通りであった。なんてこった。被験者の測定値を記入しなかったら男女の比較ができないではないか。ある女子学生は被験者が男子学生であったので、その男子学生のデータを自分の名前の欄に記入してしまったのだ。だから握力68kgというマッチョな女子学生が出てしまったのだ。
あーあ。最初のクラスは管理者が説明したのだが、そのとき、これから卒業してxx療法士として活動するときは、あなたが患者さんのデータを測定するわけなので、患者さんのデータを記述しないといけない。だからこれからの実習では、自分が患者さんの側=被験者になることもあるが、あくまでも自分が測定した値は被験者の値なので、今日の測定結果の表への入力は被験者名のところに被験者のデータを入力しなさいと伝えた。それを中年Hが聞いているはず。
そんなことを聞いてなくたって、実習の目的の一つが男女の比較なんだから、表の名前は被験者名なるに決まっているだろうが。昨年だって、一昨年だって同じだったぞ。
おかげで、全員にメーリスで連絡して、翌日修正させることになってしまった。もう、余計な仕事を作りやがって。
Lateral inhibition 側方抑制
あるニューロンが隣のニューロンの活動を抑制するようになっていて、このようなニューロン群が平面に並んでいると(2次元でなく1次元でもいいけど)、ニューロンは互いに抑制し合うが、その中で最も興奮したニューロンが隣をより多く抑制することになり、その結果周囲のニューロンの活動が減少する。したがって、そのニューロンの興奮が際立つことになり、これはコントラストを付けることになる。このようにアレンジされた神経回路を lateral inhibition (側方抑制)という。
これを視覚的にわかり易く示した錯視の例を挙げた。
この絵を見ると白い格子の交点が灰色になる。交点のところは左右の白と上下の白から抑制をほかの白い部分に比べより多く受けるので黒に近く=灰色に見えるという錯視が生じる。注目する交点にはなく、その周辺の交点が灰色になる。これが側抑制の効果だ。視野の中心部は網膜の中心窩になるが、この中心窩には即抑制回路がないから白いままで、網膜の周辺部に即抑制回路があるからだと説明した。側抑制がホントに網膜だけで生じているわけではないだろうけどわかりやすい例なので、側抑制という神経回路の説明として学生に提示したのだ。
学生の反応として、「なるほど」 というのを期待したのだが、「灰色に見える、見える」と喜ぶだけで終わってしまった。何故灰色に見えたかわかった?と講義のあとで学生にきいたらわかっていない。あー、どうやって説明したらいいんだろ?
なぜだろ?というステップに進まないのだ。幼児は一時期、親に「How come? どうして?」となんでも聞くことがある。親が答えに困ることがある。子供は単にどうして?と聞くことで学習しているので、ホントの理由かどうかは気にしなくていいのだ。親の説明を聞いて「だったら、xxはどうなるの?」と問い返す子供は素晴らしいけど、そんな子供はめったにいない。
「わーすごい!」から次のステップの「何故?」に一段上がれるかどうかが分かれ目になるんだよね。]]>
あーあ、学生さんも慎重にやらないと
2つの学科の2〜4年生、3学年のメーリングリストを管理している。このメーリングリストに国試の過去問とその正解と解説を投稿するプロジェクトを他の教員とともに実施しているのだ。つまり毎週、過去問を学生のスマホに強引に送付し、学生の国試に対する意識を持ってもらうのが目的なのだ。2年生のほとんど、3年生は一部を除き、4年生は極わずかの学生がこのメールを無視しているだろう。それでもいいのだ。国試対策=(過去問を解く/選択肢のどれが正解でどれが間違えかを理解する)ことなのだから。ともかく数多く、繰り返し曝露するのに意味があるのだ(と管理者は勝手に思っている)。
ある学生が、個人的な悩みを、多分、管理者宛に送るつもりで、このメーリングリストに投稿してしまった。メーリングリストの機能はちゃんと説明してあるのにだ。管理者個人のメアドに送付すればよかったのに、管理者から来たメーリングリスト経由のメールに返信してしまったのだ。
メーリングリスト本文のフッターに「単純に返信すると送信者へ配信されます。全員に配信するためには [リスト名]@example.com へ送信してください。」と書き加えてある。パソコンのメールソフトでは、「返信」とか「リストへ返信」というボタンがあるのでこれを意識して注意書きを書いたのだ。スマホ向けではない。
スマホで「返信」を選択するには、いくつかのステップを踏む必要がある。そのとき間違えちゃったようだ。
メーリングリストは、学科別、学年別、クラス別になっていて、そのすべてのメーリングリストに国試の過去問は送付される。学生は自分の所属するメーリングリストから受け取るわけだが、Cc に他のメーリングリストも表示される。このCcにあるすべてのメーリングリストに送信してしまったようだ。しかし、自分の所属するメーリングリストには送信できるが、ほかのメーリングリストへの投稿は、登録者ではないので、保留され、管理者が操作しないと配信されない。だから、個人的な悩みは自分のクラスの学友全員に伝わったけれど、他のクラス、学科、学年には伝わらなかった。ちょっと被害は少なかった。保留されたメールはさっさと削除した。なにかの間違えで送信されてしまったら大変だからな。
さって、基本的には送信者の粗忽さ・理解していないことに原因があるのだが、このようなトラブルにならないようにするためにはどうしたらいいだろうか?管理者はスマホのメールほとんど使わないから、どうしたらいいか良いアイデアがない。
学生は届いたメールが送信者個人から私だけに来たメールと誤解するのは無理ないしね。見かけ変わらないから。
実験は、だからやってみないとわからない。
浸透圧観察装置を使って実習を行った。1M、0.5M 蔗糖液そして水 の3つの液体を卵殻膜で仕切って水に浸けたわけだ。
蔗糖液は無職透明だ。提供する溶液の容器にラベルを付けて学生に供与するのが本来だが、彼等は間違える。そこで0.5 M蔗糖液は緑、1 M 蔗糖液には赤になるように色素を加えておいた。結果は;
である。左の写真のようになるのが予想で、ほとんどの実習班ではそうだったが、1つの班では右写真のようになってしまった。つまり、0.5 M の液体のほうが液面の移動量が大きい。決して初期値(最初の液面の高さ)が異なったからではない。漏れがないことは学生は確認している。さて、どうしてだろ?これを議論するのが考察だ。結果が教科書通りにいかなかった班はラッキーだ。考えることが一杯あるからな。色がついているので液体を取り違えたという言い訳はできないのだ。
だから、やってみないとわからないのだ。
原因は、次のクラスでも同様な事象がみられたので、注意深く観察したらわかった。
左が予想通りだった例、右が 1M 溶液の液面の高さがほとんど移動しなかった例
糸で卵殻膜をガラス管に縛って取り付けると、かならず卵殻膜にはしわー折り目ができる。その折り目=卵殻膜が重なった部分が赤あるいは緑の色が濃くなっている場合がある。これは縛り方が緩く、あるいはきちんと縛っていないので糸の上のほうから液体がもれ、その液体が毛管現象で折り目に集まっているからだ。つまり折り目が色濃くなっていることは液体が上の方から少しずつ漏れていることになる。卵殻膜が破れているときは液体がぽたぽた垂れるのですぐわかるが、隙間から少し漏れるのはよくわからない。液体に色を付ける意義がまた別にあったことになる。
液体の移動量は圧と膜の抵抗に依存する。オームの法則だ。移動量を浸透圧の関数にするためには膜抵抗を一定にする必要がある。膜抵抗は卵殻膜の取り付け方に依存する。たっぷり余らせて取り付けると水との接触面積が大きく、すなわち抵抗が少なくなる。ガラス管の径にあわせてぴったり取り付けると抵抗は高くなる。この実験では膜抵抗を一定にしたわけではないので、移動量は濃度から一義的に決まらない。しかし 1 M と 0.5 M では濃度が大きく異なり、卵殻膜のたるませ方は調整できないが大きな差がないとおもわれるから、移動量は濃度が高いほうが大きくなるだろう。時間が十分、例えば丸2日とかだったら移動量は関係なくなってくる。液面はある高さに限りなく近づくだろう。
[ 追記 ]
4つのクラスで実施したが、何故か赤い液(1M)の液面がそれほど上昇しない班が頻発した。硬いガラス管に糸を巻き付けて縛るのがうまくいかないようだ。しっかり縛ったように見えるが実は緩い。実験が終わって卵殻膜と縛った糸を取り除くとき、卵殻膜を引っ張ると糸ごとつるりと取れてしまう。管理者が予備実習で行った時はなかなか取れないのでナイフで糸を切る必要があった。どうやら学生はしっかり縛ることができないようだ。硬いガラス管に縛るのでしっかり外科結びをしろと、実習書に書いてあるのに….口頭でも説明したのに….
昨年度はプラスチックのシュリンジだったので弾力がガラスに比べあるので、しっかり縛る事ができたのかもしれない。やってみないとわからないもんだな。
体調不良
先週は勤務時間6時−20時が続いた。昼食の休み時間だけだから13時間働いたわけだ。これが5日だから、一般の会社でいうと残業25時間/週ということだな。ちときつい。じじいだからこたえる。前は帰宅するのが24時頃なんてのはざらだったから、それに比べたら楽なはずだか、この3年間はそんなに働いていないから、ちとしんどい。 金曜日の午後から、のどが、現在は咽頭部に炎症がある。両手の肘関節に違和感がある。発熱しているときの症状だ。口腔内が36.8℃だからそれほどではない。 体調不良という言葉で説明できる状況だが、体調不良というのも便利な言葉でこれを言われるとその詳細を聞くのがはばかれるというのが最近だ。風邪引いて熱があるというふうに言ってくれないと対応できない。脳機能不良と言えばもっといのだけど。
浸透圧観察装置
細胞生物学のごく始めに出てくる項目の一つに浸透圧がある。中学の理科で現象を観察させるところもあるだろう。高校の生物では必須項目の一つだ。しかし、あっちの大学1年生にはこの概念がわかっていない。生理学では浸透圧が消化吸収や腎機能で必ず出てくるわけなので実習を行うことにしている。大学なんだから浸透圧の計測を実施したいところだが、そのような機材もない。氷点降下で測定するのは機材も少なくていいが、時間がかかって無理だし、氷点降下と浸透圧の関係を説明したくない。熱力学だからな。浸透圧測定器を購入しちゃう手もあるが、浸透現象を理解するにはほど遠い。理解してから、色々な濃度の液体の浸透圧を測定するのだったらいいが、機械を使うと単なる数字の大小で終わってしまう。実習キットもあるがこれだと非生物学的だ。1セット5万円で最低の12セットとすると60万円も必要だ。そんな経費はない。
やっぱり、生物の資料を使って観察させる方がいい。タマネギの細胞を顕微鏡で観察させて高張液、低張液に曝すのもあるけど、顕微鏡がない。組織学・病理学実習という科目がないから顕微鏡がないのだ。
というわけで、ウズラの卵の卵殻膜が半透性膜なのでこれを使う実習を過去3年間やってきた。最初の1年は実習機材の関係から前任者が行ってきた実習をそのままやったが悲惨だった。実習書の記載が不十分でなんだかわからないうちに時間切れになっちゃう。実習書には溶かす液体が蔗糖となっているが粉のスキムミルクを溶かしていた。なぜスキムミルク?1 ml のディスポのシュリンジに卵殻膜をとりつけて、水の入ったビーカーに割り箸2本を横に渡しその間にぶら下げるという代物だ。管から溶液が溢れ出したらおしまいという実習だ。
こんな風だ。これはキッズサイエンスという小学生対象の実験紹介サイトの写真だ。大学の実習としては、なさけない。唯一、良い点は水が移動するということを視認できることだ。
2回目はディスポのシュリンジは2.5 ml に替え蔗糖を使った。装置も工夫して、といっても装置を作成することができないが、割り箸はあんまりなのでステンレス針金でシュリンジを吊るす装置を作った。しかし、学生は針金を都合のいいように曲げてしまい、いまいちだった。シュリンジには容量の目盛があるので、学生はこの目盛の値を読むことになってしまう。液面の高さの変化を読むべきなのだが。シュリンジの長さが足りないので、オーバーフローしたら実験おしまいというなさけないものだった。3回目は針金で吊るすのではない方法を考えたのだが、制作する機器がないのであきらめて2回目を踏襲した。
ディスポのシュリンジをカッターで切って使うのだが、そのままでは切り口が鋭いので卵殻膜に傷を付ける。これを防ぐために切り口を加熱して角を丸くするのだが、中年Hはそのアイデアを出したのは俺だと主張する。管理者にはそのような記憶がない。管理者自身が、誰に聞く訳でもなく実施することだからだ。中年Hがアイデアを出すとすると、実習に参加してからであるはずで、管理者には切りっぱなしで実習のために用意した記憶はない。最初っからかヒートガンで丸めていたはずだ。予備実習のとき中年Hがコメントしたかもしれないが、そのようなアイデアは中年Hが言わなくても管理者にはある。
本年度は、3年かかってフライス盤と旋盤を導入したので、もうちょっとましなものを作成した。
構想は単純で簡単だが、これを15セット作成するのはしんどい。ようやく昨日15セットを完成させた。
これが寸法図。物差しとアルミアングルの寸法だ。スタンドに取り付ける為のステンレス丸棒はφ8 mm でφ4 mm のネジ穴をあけてアングルにはねじ止めした。物差しにガラス管を取り付けるために、パイプ取り付け金具というのを仕入れてきた。φ13 mm のパイプを固定する金具だ。ガラス管は外径10 mm、内径7.5mmの並ガラスを90 mmに切断したものである。ガラス管の方が細いので間に厚みのある両面テープをはさんである。並ガラスだとトーチで切り口を炙って角をなくし、切り口で怪我をしないように簡単にできる。パイレックスのガラス管のほうが割れにくくいいのだが、トーチの加熱ではなかなか溶けない。今回は急いでいたので自分で切って加工する必要があったので並ガラスにした。15セット総額8万円というところだ。
上からガラス管内の液体を注入・除去するためにカテラン針を使う。この針の長さが70 mm だ。物差しから15 mm ほどガラス管を突出させて卵殻膜を縛る部分を作ると、ルアーの部分をふくめると、ガラス管内で針の先端が物差しの0 cm に届く長さを考慮するとガラス管の長さは90 mmになる。液体の出し入れを注射器で行うとするとカテラン針になるのだ.ポリエチレンチューブを注射針に刺したものを作れば長さに制限がなくなる。しかし、ポリエチレンチューブが10 cm にもなると曲がっていて片手での操作がやりにくい。だからストレートな細い管がいいというわけでカテラン針を採用した。カテラン針の先端は切って鈍にする。必ず学生は指に刺すからな。
何か溶けていると水面が上昇する、異なった濃度の液体で液面の上昇スピードが異なるくらいを見てくれればいいという安易な実習だ。1年生の最初の実習はこんなもんでいいだろ。折れ線グラフ・散布図を描かせることも目的だ。指数(対数)関数の回帰曲線を描く学生などでてこないだろうな。折れ線グラフでよしとする。30分の測定時間だけなので仮に指数関数で近似しても誤差はものすごく大きなことになるからだ。
これで、実習がうまくいくようだったら、パイレックスのガラス管を注文して交換することにする。
ガラス管の物差しへの固定が、ガラス管上部のパイプ固定金具だけだ。1点だけなので回転してしまう。とりあえず透明なテープてとめてあるが、これをどうすかが問題だ。ガラス管と物差しは密着させる必要があり、ガラス管下部を固定したとき物差しの目盛が見えなければいけない。今回はガラス管の長さが最適かどうか分からないので調節が可能な状態であるが来年度は何らかの方法でしっかり固定する必要がある。
加工しやすい、透明なので両面使えることからプラスチック物差しを使ったが、耐久性がない。ステンレス物差しに変更したほうがいい。2枚のステンレス物差しを、背面が向き合うように隙間をあけて固定する。この隙間にガラス管の径が半分くらい入るというのをつくったらいいのではないかとも思っている。
あるいはデイスポーザブルのメスピペット(10 ml)の両端を切断して、目盛のある所を使う。目盛は容量 ml だが等間隔に切ってあるので、長さ mm に換算する式を与えれば高さとして読める。固定する方法は別途考える。硬いバネでプラスチック管をはめ込むような形にすればいい。管を完全に覆うようなパイプフォルダは、液面が隠れちゃうからまずい。プラスチックの材質にもよるが接着剤で付けちゃう手もあるな。
ともかくこの装置を使う実験は、学生にとって、これまでやったことのない定量的実験の第一歩なんだけど、定量的に取り扱うのは無理だろうな。