学内定期試験に昨年度の問題を一部使ったところ、一部の学生からクレームがきた。「過去問を知らない人は不利になる。けしからん。」というわけだ。
そんな、クレームは初めてだ。
15回の講義分、合計100問を作ることにしている。マークシートで選択問題だから問題数を多くする必要がある。センター試験で記述式を取り入れるなんて話がでてきたが、人数が多い(今回は99名)ので記述式問題を公平に採点するのは難しい。記述式問題は問題作成が容易だけど採点が大変、逆にマークシートは問題作成が大変だけど採点は30分で客観的にできる。
選択問題とはいえ、一人で100問作成するのは大変で、問題は枝葉末節なものであってはならないとすると、過去問と似たり寄ったりになってしまう。だから、過去問を見つつ、正解率の低かった問題をそのままとか、穴埋め問題の空欄の順番を変える、選択肢の順番を変える、選択肢を増やすなど改変して出すわけだ。我らが学生さんは過去問を「勉強」するというのは、ここで挙げたた例のように答えの順番を覚えるということで、理解するわけではない。だから、普通に講義で配布されたプリントとか教科書を勉強したのなら、過去問を「勉強」しないほうが正解にたどりつく可能性が高い。覚えてきた回答順番と新たに考えた答えに矛盾があるわけで、悩むことになる。回答順番を覚えるような「勉強」なら、過去問を見ないほうがいいのだ。
過去問を手に入れて試験に望むのは、学生として当たり前でしょ。その科目担当者が前年度と同じ教員だったら傾向と対策を練るのが当たり前だ。だから新歓のゲームの賞品は、過去問とか先輩のレポートだったりするわけだし、学内売店のコピー機は試験前だけ長蛇の列になるのだ。過去問を勉強するのはいいことだが、その勉強とは答えを覚えるのではないということがわかっていないとね。
管理者の学生時代は試験勉強なんかしないでぶっつけ本番で試験に臨んだから成績表はカフカ全集だったわけだ。時代がちがうね。
教員の方も手抜きで過去問そのものを出すのがいる。これはまずいよね。そういう教員は試験のとき問題用紙を回収するのね。でも、試験終了時に回収した問題の部数を確認しないので、1部や2部を回収し損ねるから、次の学年には問題と正解のコピーが出回っちゃうのさ。学生を評価できないことになる。
実習の評価は実習に参加したか、レポートを出したかが要で、さらにレポートの内容で行う。普通は、それだけでいいと思うのだが、我ら学生さんには、日本語に不自由、四則演算ができないという方々もいるので、筆記試験を行うことにしている。こっちは問題数が少なく、記述式だが、採点は4名で170名(2学科同じ実習なので)分を手分けして行うので、2,3時間で終わる。一人が1問の全回答を採点するので公平性は保たれる。
神経伝導速度の測定を実習でやるわけで、レポートではほとんど計算間違いはない(できる奴のをコピペだからね、そして同一班では結果が同じになるから、誰のがコピー元だかは判断できない)。しかし筆記試験に出すと、半分もできない。6.8-2.3 の引き算ができない、260÷4.5 の割り算ができない、答えの単位がm/s ではなくmsec とかデタラメだったりするからね。筆記試験を行う意味があるのだ。学生にとってではなく、教員にとってだ。学生の理解度を知らないと次の講義・実習ができないからね。