福島原発からでた処理水の放出について中国と韓国の一部が文句を言っている。
各国のトリチウムの放出量のデータは環境省のトリチウムの年間処分量、英語版、あるいは世界の主要な原発におけるトリチウムの年間処分量があるが、日本政府がまとめたデータだから、他の国は信用しないのかもしれない。ともかくこの環境省のデータによれば、中国や韓国の処分量に比べ、福島がこれから放出する量が少ないのは明らかである。
論文があって
Bin Feng & Wei-Hai Zhuo, Levels and behavior of environmental tritium in East Asia
Nuclear Science and Techniques Published: 15 July 2022 volume 33, Article number: 86 (2022)
https://link.springer.com/article/10.1007/s41365-022-01073-3
「Naturally occurring tritium is produced primarily by the nuclear reactions of cosmic neutrons with nitrogen-14 in the upper atmosphere; the annual tritium production on the Earth’s atmospheric surface has been estimated to be 7.2 × 10^16 Bq [1]. However, tritium decays during generation and the equilibrium inventory of natural tritium is estimated to be approximately 1.29 × 10^18 Bq (approximately 3.6 kg) at present [2].
天然に存在するトリチウムは、主に宇宙中性子と上層大気中の窒素14との核反応によって生成される。地球の大気表面における年間のトリチウム生成量は、7.2×10^16 Bqと見積もられている[1]。しかし、トリチウムは生成中に崩壊し、天然トリチウムの平衡在庫は現在、約1.29×10^18 Bq(約3.6 kg)と見積もられている[2]。」となっていて福島が放出するのが 22×10^12 Bq だから自然に生産される量の10^-3のオーダーだから地球全体にひろがったら測定誤差の範囲だろう。
同じ論文の表3の各施設近傍の空気中のトリチウム濃度(mBq m^-3)をみると、その中央値は
中国 Qinshan 144 range 6.52~4363
日本 福島 14.8 range 2.59~14.8
京大 96.4 range 9.03~9683.1
韓国 Wolsong 1788 range 6.32~1788
ということで、原発近傍の空気中のトリチウムの量は中国や韓国のほうが日本より多い。中国や韓国の一部が騒いでいるのは根拠のない「いやがらせ」ですな。
福島の場合はホントにトリチウムだけなのか等の問題があるけど、国際原子力機関(IAEA)が認めたこともあるし、問題なさそうだ。福島の魚だからといって忌避することは意味がなさそうですな。