熱中症対策の飲料

9名しか部員がいない野球部で、公式試合中、一人が熱中症で倒れちゃうと9対0で没収試合となり負けになっちゃうらしい。で、そのような試合が毎年甲子園夏の予選で結構あるらしい。
熱中症になるような場合は、発汗が多く、水分と塩分が汗として体外に出てしまうので、塩分を含んだ水を摂取すべきだというのが一般的な解説だ。
しかし、これは違うと思う。飲んだ水分は胃では吸収されず、小腸に送り込まれてから吸収される。ここでの吸収は共役輸送タンパク SGLT(sodium-dependent glucose transporter)が重要なのだ。ナトリウムイオンとグルコースの両方が消化管内(体外になる)にあると、小腸上皮細胞膜に発現しているこのトランスポーターが細胞内にナトリウムイオンとグルコースを取り込むわけだ。細胞内に取り込まれたナトリウムイオンはナトリウム―カリウムーポンプで細胞外に、グルコースはGLUT(glucose transporter)ファミリーのGLUT2という別のトランスポータで細胞外へ送りだされる。この細胞外とは組織側・血管側なのだ。その結果、組織側にナトリウムとグルコースが蓄積し浸透圧が高くなり、この浸透圧で水が消化管内から組織側へ移動するのだ。
水とナトリウムが汗となって喪失するから、水とナトリウムを飲料とするという説明が間違いというわけではないだろうが、ナトリウムとグルコースを含む水溶液を飲むと、水とナトリウムの補給になるという説明のほうが正しいのではないだろうか。
スポーツドリンクには必ず糖分を含んでいるからいいのだ。
熱中症対策のページは一杯あるけど、こういう説明のあるページはないな。
20160719heatstroke
漫画が正しいと思うところです。