入り口で詰まって先にいかない

あっちもこっちも大学では学生の講義の出欠をフェリカなどでできた学生証をカードリーダーにかざしてとるようになっている。これは文科省から、これまで大学は学生の出欠をきちんと取っていない、講義を設定通り実施していないから、これを規則通り行うべしとのお達しがあったからである。こっちのような大学では、学生の出欠を記録しても、それを成績に反映させたりしない。管理しない。問題児がでてきたとき始めてあの学生の講義の出欠状況は?と調べるだけだ。教員が管理するわけじゃないし、管理する事務だって暇じゃないし、人件費が無駄だからだ。
しかし、あっちのような中小私立大学では、きちんと文科省のお達しを実施しなければいけない。というわけで、出欠はエラーのないようにきちんと取る、休講は必ず補講を実施しなければいけないのだ。
1/3の講義に欠席だと単位は認定されない。これはどこの大学でも同じだが、真面目にカウントしているかどうかは大学による。
こっちの大学では、チュートリアルという形式の授業が取り入れられる前は、普通の講義は100名の学生のうち20〜30名しか出席してなかった。東大や京大で非常勤をやったときも同じだった。それが普通だった。ある臨床の先生が自分の講義に10名程度しか学生が教室にいないので、怒り狂ったことがあった。チュートリアル形式の授業が増えたら、いわゆる一方的な情報の垂れ流しの座学が1/4にまで減ったもんで、学生に危機感が発生し、講義の出席率は100%近いという気持ちの悪い、異常状態になってしまった。
あっちの大学では、新学期の4〜5月の講義に3回以上欠席する学生は、要注意学生として担任教員が対応したりすることを行うので出欠をきちんと管理しないといけない。
学生は、なぜか学生証を忘れたりして、出欠管理システムの端末に入力できないことがある。その場合は、学生が担当教員に講義終了時に申し出て、担当教員が出欠管理システムにログインして、その学生が欠席になっているのでこれを出席に修正するわけだ。なんかな〜、教員の仕事ではないように思うのだが…学生を管理するのは教員の仕事じゃないだろ。でもこういうことが好きな教員もいるけどね。
管理者担当の講義は100名近い受講者がいるので、入力できなかった学生が毎回2、3名でてくる。
あっちの大学では遠距離通学の学生が結構いる。片道2時間なんてのは普通だ。そういう学生は、通学の交通手段によっては、1限目開始の午前9時よりはるか前に大学についてしまうのがいる。こういう早くからきている学生は教室に待機しているわけで20名くらいいたりする。出欠管理システムの端末からの入力はその講義開始10分前から可能となっているのだ。そのため、30分前から教室に来たのだが入力できず、友人とおしゃべりしていると、入力するタイミングを失い、入力し忘れてしまう。講義終了後「センセ、入力忘れたので修正してください」と言ってくるわけだ。
そこで、そんなの入力可能時間の設定など簡単なはずだから、1限目だけ講義開始30分前から入力可能にしてちょうだい と提案したわけだ。2限目以降だと、その講義がその日最後の講義だったら、早めに入力し帰っちゃうとか遊びに行っちゃうのが出てきてでまずいかもしれないが、1限目だったらいいでしょ。ほかに遊びにいくところが近くにあるわけじゃないからな。こっちだって対応したくない。
まず最初は、こういう出欠管理システムのような機器を管理している部署に依頼した。平の教員の単独提案は受け付けないよ、所属学科、学部等の教務委員会あるいは事務の教務部等から持ち上げてちょうだいというわけだ。
ま、そうだろ。この部署は命令で動いているわけで、起案して実施する部署ではないから、変更する際の責任者がいないとまずいわけだ。だからいいでしょ。でも、その設定変更の技術的可能性、予算が伴うのかは、管理システムはどうせ外注で保守契約しているにきまっているので、外注先の業者に電話1本でとりあえず聞いてみることくらいしてくれてもいいじゃん。あらかじめの知識として、技術的な可能性と予算がかかることくらい知っていれば、その後の議論が早い。理不尽な要求だった対応しなくてもいいけどね。今回の要望は理不尽からしらん?
そこで、このようなことに関わる事務の部署の部長宛に変更依頼文書を作成したのだ。その部長は、自分で判断せず、教員で構成される教務委員会の委員長にこういう提案がありますと報告したわけだ。提案の文書には、早くから入力可能にすれば入力端末が混むこともなくなるよとも書いたのだ。そしたらその教務委員長は、情報をとりちがえ、混むならポータブルの入力端末があるからこれを使えというのだ。
そこで、ちがうよ、早くからきている学生のために入力かの時間を前倒ししろということだよ と伝えたら、なんと
「この件は、管理者の所属している学科から教務委員会へ提案しろ」という返事だ。
「関係部署の事務の部長に文書を提出している。それじゃいけないのか?」と返事したら
「管理者所属の教務委員会委員を通して教務委員会に提案しろ」だって。
あほか。委員会は学科からの提案しか受け付けないのかよ。学科個別の事態じゃないんだぜ。委員長の判断で、討議する価値があるとしたら教務委員会で議論対象にしろよな。ちゃんと要望/提案文書があるんだぜ。討議する価値がないのなら、理由をつけて返事をよこせ。それでも提案するのなら学科から提案しろ というべきだ。
しかし、あっちの大学はこういうことばっか。なにか改善案を提案すると入り口で詰まってしまい、先に進まない。筋を通して提案しろというわけだ。提案の是非の議論までたどりつかない。ほんの些細な学生サービスの改善案だぜ。
ま、筋を通せというのはわかるけど、そして、管理者はこれまで、軽微なことなんで筋を通さないで進めていることが多々あったわけで、今回もその例ですな。
ボトムアップを奨励するとトップはいうけどアップされないのさ。トップは、下からあがってこないから、イラついてトップダウンになるんだよね。ボトムから上げても途中で トップの意向とかを勝手に判断しちゃうんだよね。ボトムアップにならないだろうが。予算がかかるとかは手間で判断しちゃいけないんだよね。コストパフォーマンスの良否はトップが決めるのさ。
こっちの大学では、新規提案をすると、「それはいい提案だ、だからお前がやれ」だったんだよね。
1)学食に電子レンジを設置しろ
冬場、学生は持参したお弁当が冷たいので電子レンジを使いたがっている。研究室に潜り込んで電子レンジを使うわけだ。「学生食堂の開いているスペースに2、3台置いたら?」と会計事務に提案した。1台2、3万円だ。その位の予算、会計で自由にできるだろ?  だめだった。そこで予算担当の理事がきて、教員に大学の予算について説明する会というのがあったとき、会計の努力で当初予算が余ったとき、会計が自由に処理していいでしょ?と質問したら理事は「もともとそうなっているから、勉強して削減した予算を会計の判断で使ってもいいよ」だって。じゃ会計は知なかったのだ/あるいは知っていても勝手に使って怒られるのが恐ろしいのだ。不正に使うわけではない、当初予算にはないけど小さな物品の購入だぜ。
学食で弁当を食べている学生をとっ捕まえ、学長宛の要望書を書かせた。もちろん管理者が添削してだ。そしたら、いつのまにか電子レンジが設置された。学生の要望を聞く会があった後だ。たった2、3万円だぜ。会計が学生の要望を先取りして導入したっていいじゃん。
自分の判断でよかれと思って実施し、失敗したらペナルティがあるけど、 自分で判断せず命令で実施するのなら、失敗してもペナルティはないからね。成功したときに褒めてくれるわけではないしね。
2)入試の選択科目の得点の正規化
選択科目によって受験生に有利/不利があってはいけない。そこで、どの大学でも、センター試験でも選択科目の成績の補正/正規化を行う。あっちの大学でも行っているのだが、その方法と運用があんまりなので、別の提案をした。すべての学部長、学科長、入試関係の委員会委員長が出席している場で解説も行ったのだ。その年の入試の成績からシミレーションもやったんだぜ。誰からの異議もなかった。3年経ったけど一向に改善されていない。
4)実習室が狭い
生理学実習を行う部屋は24名、あるいは椅子を増やせば48名分の机のある実習室だ。受講生が50名を超えるときがあるから狭い。広い部屋/建物がほしいと要望した。そしたら、うちの学科では学生が勉強する小さな部屋が複数ほしいとかいって、こちらのキャンパスの要望としては生理学実習室は優先順位が最下位になった要望が出されてしまった。図面まで書いたんだぜ。で新しい校舎がこの8月位にできるのだが、細かい部屋ばかりの2階建だ。広い生理学実習室は実現できなかった。あんまりじゃん。言い出し出し屁は管理者だせ。いままで要望を出したこともない奴らが、後から乗って奪い取られてしまったのだ。
5)教養科目のクラス構成は少人数で
生物学、物理学、数学の理解度があまりにも低いので1年次の教養科目に相当する生物学等の科目について調べたら、1クラスが100名にもなる科目があった。それじゃあんまりだ。高校だって30〜40名クラスだぜ。それでも理解できていないのだから、高校を定年退職になった理系の先生を非常勤として雇用して多くのクラスを作れと提案した。教務委員会では、学生同士のチューター制度を実施するのに忙しいからといって、この提案はサスペンド?却下?されてしまった。議論もされなかったようだ。どっちなのかわからない。返事がないからな。あほか、教務委員会はなにやっているんだ?教務委員会は予算とかを議論する場じゃないんだぜ。いい提案とおもったらWGでも作って、例えば物理は30名クラスを同一時限に3つ開講すればいいとか案を作らせることができるだろうが。1週間もあれば教室の空き具合を調べればできるだろ?
副学長も独自に物理の非常勤講師の先生の話を聞いて、この大クラス科目問題を認識し、管理者の提案も知って、なにかやっているらしい。実現される可能性があるが…
新宿キャンパスは文系の学部でFランクなのだ。だから就職率が問題になるし、学生のモチベーションとか教養の低くさが問題になっている。そこで低学年の教養科目についてどうすべきかの議論がある。改革するらしい。こっちのキャンパスは学生の目的がはっきりしているから、新宿キャンパスのような問題はない。教養科目の中に、理系の科目を突っ込んで改革と称して少人数クラスの制度にしてしまえばいいのだ。教授会で、この大学の改革案が提示された時、岩槻はこれを利用して小クラス制度にしたらいいと提案したけどどうなるか。大学の改革案は新宿キャンパスのであって、こっちのキャンパスでは該当するところがないと のほほん と構えている節がある。利用しなくては。
6)来年度のスケジュール
「来年度のスケジュールを教務委員会で検討している。時間が足りず、休日の授業実施日をつくらないといけない」という。冗談じゃない。そんなことより「何年も前から、異種業種による連携授業=チーム医療演習に看護の学生が入っていないからなんとか入れろと要望しているし、すべての学科が可能なら賛成と言っているのだから学科間でスケジュール調整を議論しろよな」といってやった。だめだろう。
看護学科に対応しろといえと学科長にいったら、もうずっと前から伝えてあるが看護から返事がないという。だから看護学科の長にきいたら、賛成だ、調整しようと返事しているとの答えだ。なんてこった。どっちもボールは相手側にあるという認識だ。だれもやる気がないんだな。
7)大型プリンタの導入
学会発表のためのポスター印刷ができる大型プリンタがこちらのキャンパスにはない。1台位あるべきだ。事務もオープンキャンパスとかの企画のとき使うだろうとかネットワークプリンタだからネットの管理部署とかいろいろ打ち合わせ、教員側からの要望を管理人がまとめて、事務申請しが事務の部署で管理運用するということで導入に成功した。成功は教員が構成するなんちゃら委員会を通さずにできたからだ。要望をまとめるため、教員から年間何枚くらい印刷する?というアンケートを、各学科長経由でとったのだ。なかなかまとまらなかった。ある学科長からはどんな大きさの印刷ができるの?とかいうとぼけた質問が来た。学会でポスター発表を見たことがないのかよ。
小さな大学なんだから、もっと足腰軽く動けよな。もう4年目になるんだけど、もっと提案したことがあったはず。あとなんだっけ。思い出したら書く。提案はなかなか実現しない。実現したのは間になんちゃら委員会という教員組織が挟まっていないものだけか。
あった。
8)顕微鏡の導入
中古の双眼顕微鏡をこっちの大学のお下がりで手に入れた。65台だ。解剖学実習は最大でも50名のクラスだから一人1台で組織学の実習ができる。組織学という講義実習はないから解剖学実習の1、2コマを使うことになる。国試に骨格筋の組織切片の問題が出るからね。骨格筋のHE染色像を見たことがないというのは理学療法士としてまずいだろ。ほかの養成校で見せているかどうかしらないけど。本年度から可能になった。組織切片を50枚以上作らないといけないけど、解剖の先生とは懇意だから、導入から切片作成まで問題なくできた。標本にする動物は使用済みのホルマリン漬けマウスをこっちの大学のある部署にお願いしてもらったのだ。なんせあっちの大学では実験動物は使えないからね。この顕微鏡を収容するロッカーは、会計担当の部長に顕微鏡の山を見せて導入してもらった。こっちのキャンパスの会計でも当初予算にない物品の購入ができるじゃん。ま、什器に限ってかもね。これも間に教員組織が入ってないで成功した例だな。
9)学外からアクセス可能なサーバ
これは、長〜い物語があるのだか、いまだ成功していない。大学外のサーバ(このサーバだ)で実績を積んでいるのだが….メーリングリストだってできないんだぜ。今年度から、大学が付与するメールアドレスがYahooからGoogleに変わって、学生はスマホで見える環境になったので、メーリングリストを、既存の大学の講義支援システムのe-learningを行っているサーバでできるかもしれない。現在のメーリスは管理者がいなくなったら使えなくなるからね。

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