2026年5月5日福島県の磐越自動車道でマイクロバスがガードレールなどに突っ込み、21人が死傷した事故の原因の推測。
ニュースによると、磐越道・高校生死亡マイクロバス事故 “衝突まで気づかなかった可能性” 急ハンドルを切った痕跡などは現場で確認されず、「現場には急ハンドルを切った痕跡などが残っていない」「ドライバーの男性が衝突するまで気づかなかった可能性がある、マイクロバスがクッションドラムと呼ばれる緩衝材に衝突、容疑者は逮捕前、JNNの取材に応じ、「スピードに対する見極めが甘かった」などと話していました。となってます。
ドライバーは68歳で最近までマイクロバスを運転していた。事故歴はないらしい。病気でもなく、居眠りでも、酒飲み運転でもないが、衝突を避けるための急ハンドルも急ブレーキもかけなかったわけだ。つまり普通に運転していて事故を起こしたわけだ。ということは、このドライバー特有のなにかがあって事故が発生したわけではないと思うわけだ。ニュースを見る限り、極普通の定年退職直後のおっさんの用に見えるので、乱暴運転等の結果とは思えないのです。勿論、事故の第一の責任はドライバーにあるのでしょうけれど、普通の方でも起こしてしまうような事故の背景があったのではないかと思うわけです。、
道路の構想に何か問題があったのではないかと推測したのですな。道路は磐越道上り線(いわき方面へ向かう路線)の二車線で、制限速度は80Km/h である。通ったことがある方ならわかるけど、道路は東名とかのような通過車両が多いものというわけではなく、空いていて、車が多くて渋滞するという道路ではない。当日も多分交通量は多くなく、普通に時速90km/h 位で走れる環境だったと思われる。事実、ドライバーは当時「90キロから100キロほど出していた」と供述していると言っているのは間違いないと思う。このあたりでは制限速度+10km/h で走るのはスピード違反にならないからほとんどの車は90km/hで走行している。
この道路を上から見ると、ゆるい右カーブで、例え100lm/hで走行しても、初心者でもハンドル操作を誤るような道路ではない。極自然に、簡単に運転できる場所である。
国土地理院地図・空中写真閲覧サービスから
気がつくのは、いわき方面に向かう車線の左側に空き地がある。事故現場に写真は
で、左上のタイヤチェーン交換場所となっているところに空きスペースがある。
Google Map のStreet View でみると

のようにこの空き地と道路はガードレールで仕切られていて、空き地には入れないようになっている。
しかし、この空き地は

という案内板があるようにタイヤチェーンを着脱するためのスペースである。問題はこのスペースは道路沿いに結構な長さがあることだ。
つまり冬季にはこのガードレールがなく、夏季にのみ設置されるのだろう。そして事故のあった5月初旬は夏季のためのガードレールがまだ設置されてない時だったのだと思われる。Google MapのStreet View は夏季のときの写真なのだ。
5月6日現在ではこの空きスペースを使えないようにするガードレールがない。

この事故直後のヘリからの写真(福島中央TV)をみると、救急車や消防車がこの空きスペースに駐車していて、ガードレースがないのがわかる。
この季節ごとに取り付ける夏季のガードレール(下図左)と、オールシーズンで存在するガードレール(下図右)のつなぎ目は

となっていて、ここにクッションドラム(黄色の樽、水のはいった樽)がある。この図では夏季のガードレールの向こう側。
マイクロバスはこのクッションドラムにぶつかり、オールシーズンのガードレールが突き刺さるように突っ込んだのだ。
なぜ、この普通の何の異常もない運転手がここに突っ込んだのかは、ガードレール有無が関係しているのはすぐわかるだろう。つまり、雪、氷のない夏季にはあるガードレールが、5月初旬にはまだ設置されてないので、ドライバーは左車線キープで運転していて、この左側のタイヤチェーン着脱スペースに入ってしまったのだ。左側はガードレールではないが柵があるので、左車線をおとなしく走っているつもりだったのだろう。Keep Left の模範運転だったのではないでしょうか?
しかし、このスペースが途切れるわけで、なぜ急に今通っているレーンがなくなってしまったのかがわからず、右のレーンに移らねばならないと気がついたときはすでに遅くで、右に急ハンドルを切るか、急ブレーキにすべきかも考えるとこもできず、突っ込んだというのが、実態だったのではないだろうか。直前のトンネルの存在もKeep Left 走行をより起こしやすかった可能性もある。

運転手は何故、レーンがなくなってしまったのか自覚することなく突っ込んだのだろう。もし、このタイヤチェーン着脱スペースがガードレールで塞がられていたのなら起きなかった事故と思われる。
先導していた教員の車にフォローするような運転モードだったら、起きなかったに違いない。しかし、フォローするという指示もなかったのでしょうね。
この場所は、かつて事故があった、自損事故があったという地元人のインタビューがあったので、事故が起こった季節を調べると、当方のこの考えがあたっているかどうかわかるかもしれない。
この記事は、事故の背景にこういうこともあるのではということで運転手を擁護しているものではありません。運転手が、他のドライバー同様レーンを間違えなければいいわけですからね。念のため。
[ 追記 ]2026.5.9 運転手は無事故だったということだったのだが、数カ月前から複数回事故を繰り返していたとか、歩行がおかしいとかこちらが挨拶しても返事をしてこなかったり、目が泳いでいて、ボーッとしていることが増えた。、事故を起こす3日ほど前に“自ら免許を返納する”という発言とかの情報が出てきて、運転手固有の問題にする雰囲気になってきた。
ため息先生
本件については、辺野古転覆事故に続き、学生が犠牲になった痛ましい事故で心を痛めています。事故原因の詳細について詳しく考察されてますが、やはり学校運営においてコストカットを強いる(行政の)姿勢も背景にあると感じてます。この犠牲を教訓として、例えば「コスト的な面で安全が確保されない部活動等については、父兄と学生へ説明し了解を得た上で、無理な運営はしない」位のことをしていかないといけないのではないでしょうか?
>サラリーマン生活37年さん
高等学校と運送業者に長年の馴れ合いがあったのでしょうね。だから、明確な会話がなくても、いままでと同じだから言った言わないになっているのだと思います。
それとは別に部活の在り方になると思います。
部活をしたい生徒、部活させたい保護者がいるわけで、その運営費に税金を使うのは不適切な面が強いです。学習塾の経費は保護者です。としたら本来の学校の業務ではない部活は保護者が費用を負担すべきです。私立高校なら、授業料等に最初から組み込まれていると考えると学校側が経費を負担するで問題無い可能性がありますが公立学校ではできないですね。
部活の経費を低く収めたいのは当然ですが、今回にように安全面の考慮がチェックされなかったことに、問題があるので、今後は何らかの形でチェックする体制を作るのが必要になるでしょう。そして保護者の金銭的負担が増えるということになるしかないでしょうね。
今でも行われていると思うのですが、金銭的負担を減らすために、保護者がバスなり自家用車と運転をボランティアで受け持つというのは、難しいことになるでしょうね。責任の所在が曖昧になります。保護者から事故が生じたとき、ボランティアが責任を追わないとかの念書をとることになるのでしょうかね?とすると一人でも保護者のサインのない学生がいたら実施できないことになるので、現実的でなくなるでしょう。
ますます教育経費がかかることになって少子化を促進するということになるわけです。少子化は国の問題なら税金で対応するしかないわけで、部活経費を地方自治体が負担するのは差が出るので国が負担するとすると、国のサポートが部活をしている・いないで不公平になるわけで、学習塾はどうする?
というわけで、管理がきちんとされている業者を使う、保護者が経費負担ということになるのですが、保護者が経費を出せないとその生徒は遠征できない、では部員全員で遠征経費を負担するとすると、遠征に参加することのない生徒が何故遠征費を負担する?ということになります。どうしたもんですかね?
サラリーマン生活37年さん
公立の学校と地域クラブとで経費を比較してみました。
地域クラブに丸投げすると、保護者の経済状態で部活を続けられるかどうか決まってしまいます。部活を教育活動と位置づけ、なおかつ教員の負担をなくす、遠征の場合の安全管理を学外者のプロに任せるとすると、学校側は校庭や体育館、用具を提供する、指導者、運転手、保険、事務管理、ユニフォームは地域クラブが担当つまり保護者負担、自治体が地域クラブに補助金提供、自治体が生徒にスポーツ奨学金を提供、というハイブリッドで、地域クラブとの契約運用モデルを文科省が作成するというのはどうでしょ。
安全面は地域クラブが全面責任を持つことになります。
このくらいのことは文科省の役人は考えるでしょ。
ため息先生
詳しいデータを示して頂きありがとうございます。
現在私は末の子が大学生ですが、数年前まで公立に通っている子の部活動の送迎は自分でしていました。上の子が義務教育期間であった10数年前までは、まだ小学校の子供会や中学の部活動遠征などにおいて、貸切バスが手配出来ない場合でも、親同士が持ち回りで車を出すという習慣が残っていました(地方ですから)。幸いずっと事故は起きずに済みましたが、やはり万一の事態が発生した場合に誰もリスクは負いたくないし、当然そうなってしまった場合に地域の人間関係が破綻しかねませんから、そういった習慣は自然消滅していきました(やむを得ないことでしょう)。
そうなってくると、やはり専門の業者に依頼出来るか否かは、親の経済力の有無に左右されてしまいますね。そういった問題は今後充分議論しなければいけませんが、喫緊の課題はやはり、今回の事故に類したことの再発防止であり、運営主体たる各学校の情報開示と、無理な運営を強いると判断される場合の勇気ある中止でしょう。
なお、公的機関の公平なバックアップが可能か?という点についてはいささか懐疑的です。少し話はズレますが、博物館や美術館に収益のノルマを課したり、収蔵庫のストック整理を促すようなニュースを見聞きしている限りでは(それらを全面糾弾する意図はありません。理解出来る部分も当然あります)。
大昔、大学時代に必須科目のひとつで受講した教育学の講座で
とても印象深いことを教えられました。
ドイツでは、
徳育は家庭
知育は学園
体育は社会
という切り分けが伝統的なありかたなのだそうで。
※単純な図式ではないそうですけれども、基本は。
いっぽうで現代日本では(特に田舎では)
体育系の部活動を単一の学校ではささえられなくなってきていて学校をまたいだ各学校の地域合同の部活動にしたりしているそうです。
==
くだんの事故の当日、直前には
インターチェンジの乗口を間違えて別方面に走ったり
気がついて隣のインターでおりて、今度は、正しい方向への乗口を探せずにウロウロしたりとか
縁石に乗り上げるとか
トンネルでバス側面をこすったり
とかしたそうです。
(以上、バスに乗っていた子どもたちの証言)
かかる事態であっても運行を停められなかった
部活動の指導者にも問題ありですが
会見では『一緒に乗っていれば事故は防げた』
と、涙声で自省の弁を述べていたようです。
なお、バスの運転手は事故後に警察が来るまで
運転席を離れなかったとのこと。無傷なのに。
子どもたちがケガを互いにケアしたり
明らかに瀕死の子を懸命に助けようとしたり
(はさんでいるガードレールをちからづくで伸ばそうとした)
救急車や警察を手配したりしていますが。
ハンニバル・フォーチュンさん
この記事を書いたのは事故直後で、運転手の資質についての情報はない状況でした。そこで道路に事故を誘発する要因があったのではないかと思ったわけです。道路に誘発原因(ガードレールが設置される前だった)があったという意見には変わりがありませんが、ほかのドライバーに同じようなエラーが生じなかったわけで、この運転手の事故歴、特に最近の事故があきらかになってきたのを見ると、主たる原因はこの運転手の能力にあったということなんでしょうね。不適格であることを判断するシステムがなく、無責任に推薦した業者とこれを頼っていた学校に責任があるのだと思います。
私立学校では、顧問や教員がバスを運転しているわけで、これを止めることはできないのが現状ですから、何らかの基準とかルールの案を自治体が作る、国がモデルを提案すべきだったと思うわけです。
実質的に動いていた運送会社が、レンタカー会社との契約書において、借受人を高校名義にしていたので、
それを突破口にして警察・検察は、学校側にガサ入れをしたそうです。
ため息先生
おはようございます。
磐越道バス事故については、今でも関心を持って報道を追い心を痛めています(以前学とみこ氏から、「まとまりのない文章を書く人」とお褒め言葉を頂いてますので、出来るだけ率直に書きます。お許しを)。
本年3月に発生した、沖縄辺野古転覆事故で、高校生が死傷した件についてです。発生以来、全国紙やテレビ報道で、事故の発生原因、高校側の姿勢を深掘りし継続的に報道し警鐘を鳴らし続けていれば、全国の学校関係者や父兄の目にとまる機会も多くなり、磐越道事故が発生する前に、「学校行事の安全管理を見直そう」という機運ももう少し高まったのではないか、と考えています。
新聞社や各種マスコミの知人に、「何故磐越道の件とこんなに報道量に差があるんだ」と聞いても、あまり明確な返事は得られませんでした。
このマスコミの「えんがちょ」「なるたけ事故を目立たせないようにしよう」という姿勢が、SNSにおける辺野古事故への誹謗中傷、デマの拡散という2次被害にも繋がっています。そして、日頃から人権を唱える文化人の人達から、事故への言及も目立たないままです。
この理由はハッキリいってしまえば、「現政権へ対峙する勢力の力を削ぎたくない」というマスコミや文化人の姿勢によるものでしょう。
「命に差はない」的な発信を普段からしている勢力が、辺野古事故で見せている今回の対応は、非常に問題があるでしょう。
発言しにくい問題かもしれませんが、ため息先生は教育者のお立場として、上記の件についてどのようにお考えになられるでしょうか。
>サラリーマン生活37年
沖縄の事件で学生を乗せた側の組織に対する批判と、磐越道のバスの事故に対する観光バス業者への批判がアンバランスなのは、船長の所属組織が反政府スタンスなので、マスコミは批判に手を抜いているということでしょうか?
としたら、その比較は、沖縄辺野古の場合、高校が船長が所属するヘリ基地反対協議会に依頼したが、協議会は「ボランティア」という立場であったことから協議会にどこまで責任があるのか、船長の個人的な行動ということになりそうです。高校がこのような個人に依頼していいのかは別問題です。一方磐越道のバス事故は、観光バス会社が好意で、バス運転手はボランティアとは言えないようなので観光バス会社に責任があるような形になりそうです。ともに船長と運転手に一義的な責任があるのは同じです。
マスコミ等がバス事故の方を重点的に取り扱うというのが、背景の組織が反政府かどうかというのはわからないです。船長、運転手の責任ですが、一方は横波、他方は運転能力の不備ということのようで、この点もバス事故の方が批判されやすいですね。しかし海で横波はあたりまえですから船長の技量の不備かもしれませんけどね。
というわけでお答えにならないかもしれませんが、現時点での感想です。
ため息先生
詳しくご回答いただきありがとうございます。辺野古、磐越道バス事故の今後の推移を含め、子供達の安全を確保し、また公正な報道の確保のため、活発な意見交換が出来る環境が今後も確保されることを願ってます。
因みに、興味深い記事(お馴染みSTAPの件含む)がありましたので、共有します。
https://kyotoman.com/2026/04/20/%E8%BE%BA%E9%87%8E%E5%8F%A4%E3%81%AE%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%A0%B1%E3%81%98%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B%E2%94%80%E2%94%80%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%81%A7/