マーカーペンでポイントをマークする

教科書や配布されたプリントの重要と思われるところにアンダーラインを引くというのは昔のことで、いまではだれでも蛍光ペンのようなペンで、ピンク、黄色、緑等々で塗りつぶす。
これが小学校からずっと続いている習慣だ。教科書やプリントでこのように「マークする・する必要がある・しなければいけない」部分というのは文章の中になんらからのパターンがある。パラグラフの冒頭とか最後に、グチャグチャ書いてある理由を飛ばして、結論がある。学生は長年マークすることを行なって来た結果、この文章のパターンから結論などの表現パターンが分かるので、マークする場所を決めることができるのだ。記述を理解してマークするわけではない。理由はどうでもよく、結論さえ覚えておけば試験にパスできることが多いからだ。

追従眼球運動と呼ぶ眼球を回転させる運動がある。追従とあるように、視野の中心(網膜の中心窩)に注目する標的を、標的が動いても眼球が回転し結像させる運動だ。当然、標的のスピードに依存するわけで、標的がゆっくり動く分には完全にフォローできるが、標的の速度が早いと眼球運動はついていけなくなる。どのくらいのスピートになるとフォローできなくなっちゃうのか が実習のテーマである。

眼球運動は眼電図(EOG)で左右どっちの角度に眼球が回転しているかを電圧として測定できる。標的のスピードを変えて測定するわけだ。標的のスピードを調節するのはむずかしいので、普通は振り子を見ることになる。振り子の振動している重り部分を見させてそのときのEOG変化から眼球が何度回転したかを測定するわけだ。振り子のスピードは、振り子の長さで一義的に決まる。長ければゆっくり=周期が長い=周波数が小さい、短いと早く=周波数が高くなる。振り子の重りの振幅は角度に変換する必要がある。眼球回転角度と比較するからである。被験者から見た振り子の振幅を角度にするわけで、この角度は振り子の振幅と振り子と被験者の距離で、三角関数で計算される。振り子の見た目の振れ(角度)と眼球の回転運動の角度を比較し、その比が1だったら、振り子の動きに対して正確に眼球を回転していることになる。
したがって、この実験では、振り子の振幅と振り子と被験者との距離を測定して計算から得られる標的の角度EOGの大きさ(角度)とを異なった振り子の長さ(周波数=速度)で比較することになる。

と長々書いてきたがこれが実習書にかいてあるわけだ。で、学生は上記の赤字部分をマークするわけだ。これらを実験ノートに記録しておく必要がるからね。学生はどこをマークするかは、文章のパターンからわかっているわけだ。しかし、何をしなければいけないかがわかってないのだ。
だから実習中に教員に質問にくるわけだ。「なにを測定するの?」