例のSTAP細胞作成プロトコルだが;
1)ATP濃度がめちゃくちゃだというネットの批判を受けて 200 nM が 200 mM に訂正された。
April 5, 2016 の追加情報として「ATPはモル濃度の理論値ではなく、最も良い結果のでた測定値だ。ATPの重量はpH値の変化に基づいて決めた。」なんてわけのわからないことが加わってます。なんでしょね。1 mの水に110.57 mgのATP溶かしてどうやってpHを測定するんだろ?こうなのかな?「1 mLの液体のpHを測定しつつATPを加えていって、あるpH値にする。でそのときの重さが110.57 mgだ。」ということかな?ありえないだろ。できないだろ。
10.Carefully the discard the supernatant
11.Add 500μl of HBSS and suspend a cell pellet using a 1000μl-pipette***
12.Take out 6μl of the cell suspension for cell counting
13.Add 6μl of ATP solution
こんな有効数字1桁の実験に110.57と有効数字5桁の試薬量を加えて意味があるかよ。溶けるかどうか知らないけど「110 mg を 1 mL の水に溶かす」程度の精度で十分だ。真面目に 0.01 mgの精度で測定して200 mM溶液を作らないといけないのかよ。学生実習の電子天秤の使い方じゃないんだぜ。意味のないことやるな・やらせるな。
Vacanti のプロトコルでは200 mM ATP 溶液のpHは3.0 程度だそうで、これをHBSSにATP溶液を滴下してpHが5.0 になるようにする。その結果、ATP濃度は 3-5 mM になるそうな。こっちのほうが、STAP細胞ができるかどうかは別にして、本当らしい。
2)500 ml of HBSSを加えるというところが500 μl of HBSSに訂正された。これはネットの指摘がなかったようで、自分で気がついたようだ。
3)在米ポスドクさんの本ブログでの指摘 ATP がAdenosin5’-triphosphate disodium salt hydrate とadenosine の最後にe が抜けていることにはまだ気がついていないようだ。
4)管理者の指摘;数字と単位の間はスペースが必要 はまだ気がついていないというか、論文のコピペしたことはあるが、自ら書いたことがないから知らない様だ。
5)試薬の文中についての在米ポスドクさんの本ブログでの指摘;「Aliquot in 30μl incrementsあるいはAliquot in 10μl increments」 の意味はなんだ?
どのくらい分注して保存するかは、このあとの手順で、一度にどのくらいの量を使うか、試薬の価格は、保存に耐えるか等の要素で決まる。ATPはそんなに高価な薬品でないようだし、1培養皿に 6μl 加えるようで、これを一回の実験で5ケつくるから 30 μl に分注保存するんだろうか?6μl x 5ケ で 30 μL は無理ですな。4 ケ だな。分注することまでプロトコルに書くのがいいのか、書くのなら、その理由も加えて丁寧に記載したほうが親切だというものだ。どのくらい分注して保存するかは、実験手順できまるから、実験者によって様々になる。だからいちいち書く必要はない。
あるいは、他の人にSTAP細胞を作ってもらいたいんだだろうから、そして文章の長さに制限がないんだから、ミスのない丁寧な説明にすべきだよな。本当に実験やった・できたんだろうか?英文論文は書いたことがないようだ。英語については、丁寧な添削があるよ。「STAP HOPE PAGE、小保方晴子の英語が洒落にならない」だ。
細胞培養の実験なんかやったことの無いジジイの言いがかりかもね。
考えました。
ATP 110.00mgおよび111.00mgを溶かし、各々のph値を測定してグラフを引きました。そして、最も良い結果のでた時のph値を測定して、グラフより110,57mgを読み取りました。
粗探しを始めるときりがないですね。
でも、読んでしまうと “Carefully the discard the supernatant”とか気になりますよね。英語をふだんから喋ってたら、流れがおかしいのに気付くんだけど。
pH から加えたATPの量を「計算」するのは至難の技ですね。ATP(リン酸基3つ!)の滴定曲線の計算なんか、水に溶かしたとしても私はできません。まして、HBSS中ならなおさら。各種リン酸塩と炭酸塩の混在化です。
小容積の液体の pH を合わせるのには苦労します。pH メーターは、太いプローブをつっこむので最低 20 ml くらいは欲しいですし、そもそも滅菌できないので培養にそのまま持ち込むようなものには使いたくないです。
pH 試験紙は色覚に頼るので、0.2 程度の誤差は普通に出ますし、試験紙に摘下する分だけ滴定中に液量が減って行くので、精密な実験には適しませんね。私は pH メーターで合わせた液の pH が正しいかどうかチェックする為に使ってます。面倒でも、調合を終えたバッファは全て pH 試験紙でチェックする習慣を持っておくと、原因不明で実験がうまく行かないことが減ります。
Take out 6μl of the cell suspension for cell counting
6マイクロリットルの液中の細胞数ってちゃんとカウントできるんでしょうか? 普通はトリパンブルーで2倍希釈して血球計算盤で数えますけど、12 µl ではガラス面に細胞が綺麗に行き渡らないので正確じゃないはず。かなり希釈してコールターカウンター(最低 100 µl くらい必要なはず)で全部数えたりするのかも? 私はカウンターは洗うのが面倒だから嫌いです。
incrementってのは本来、増やす、とか、増分っていう意味なので、Aliquot in 30μl incrementsと書くと、30 µl の倍数で保存しなさい、というニュアンスになっちゃいますよね。たぶん、30 µl ずつ分注する、と書きたかったんだと思うんですが、それなら単純に、aliquot 30 µl/tube とか、make 30 µl aliquotsでよさそう。
なるほど。increment の意味がわからなかったんですよね。なぜ増やすのかよくわからなかったんですよね。業界の慣例用語で分注してエッペンの数をできるまで増やしていくのかな?なんて思ったわけです。
突っ込むと、きりがないですな。
ATPを使う機会があったので、実際に200 mM 溶けるかどうか試してみました。結果は、完全に溶かす事が出来ました。
用いたのは SigmaのA2383 Grade I ATP (純度99%以上)で、筆頭著者氏の用いたA3377 Grade II(純度98.5%以上)より上等な物です。(筆頭著者氏がどうして細胞培養グレードA6419(純度99%)を用いなかったのか分かりません。)
約110 mgのATP粉末は約400 µl 程度の体積になりますが、ほとんど空気なので水和すると体積が極端に減り、おおよそ1 ml の水を加えてようやく1 ml の溶液になりました。初め、微小な結晶が残存していましたが1、2分で透明化し、実体顕微鏡では残存結晶の存在は観察されませんでした。
企業のsolubilityのデータはあんまりあてにならないのかも知れません。
情報ありがとうございます。
きっと、飽和に近い溶液を作成し、数マイクロリットル加え、pHを5(だっけ?)とかにするとかいうことなんでしょうね。最終的なATPの正確なモル濃度は、すでに細胞がある培養液に滴下するのだから得られないわけですからね。
プロトコルにあるような有効数字5桁で重量を測定する意味はないわけで、本当に実験をやったことがある方なのか疑問視されてもしょうがないですね。
ATPの溶解度 50 mg/mLは企業側が決めたものなのでしょうか?
在米ポスドクさんのコメントでわからない点があります。
SigmaのA2383、プロトコルの中のA3377のATPは既に水和物の粉末のはずでは?
ATP(無機物)の比重は 1.0 g/mL(20 °C)、約110 mgのATP粉末が約400μLとすれば、何だか計算が合わない気がします。
すいません、状況がわからず、混乱中です。
現在、SIGMA社の方にATPの水溶性に関して問い合わせ中です。
何かわかりましたら、報告します。
※ATP(無機物)→ATP(無水物)
OTake さん
>ATP(無機物)の比重は 1.0 g/mL(20 °C)、約110 mgのATP粉末が約400μLとすれば、何だか計算が合わない気がします。
この場合の容量はあまり意味がないです。在米ポスドクさんがおっしゃっているように粉末なので空気が入っている容量で、天秤で110 mg 測って1 ml のマイクロチューブ(エッペンドルフチューブ)に入れたら400 μL くらいになったということだけでしょ。これに1 mLの水を加えたら溶けたということで、正確な200 mMでもないです。メーカの示した溶解度はそんなにきっちりした値ではないようですね。
管理人さん、粉末の容積について分かりやすい説明を有り難うございます。その通りです。
よそでは、カタログの溶解度を元に200 mMは溶けないからプロトコルはデタラメとの言説を目にしますが、少なくとも溶けはする、ということを一応自分の手で確かめました、というご報告でした。
質量は、厳密に量れるのはmg単位までだと思います。
ちと違った。1 mLのマイクロチューブを天秤のお皿に置いて、その中にATP
粉末を、薬さじで入れて110 mg を得る ですね。このくらいの少量だったら、薬包紙とかこれに代わる使い捨てのプラスチックのぺらぺらのお皿なんか使わないでしょ。
110 mg の粉体の量がある程度大きい事が分かっていたので、薬包紙使いました。
10 mg とかなら、直接エッペンに入れたと思います。その場合は、10 mg 前後量り、溶質による液量増加を無視して、溶媒の量を計算して加える事になりますね。
使い捨てのプラスチックのぺらぺらのお皿、直接液体を加えられるから便利ですよね。日本では正方形でしたが、今は六角形のものを使ってます。
あら、そうでしたか。実際にできた・やったことが正しいですね。
「使い捨てのプラスチックのぺらぺらのお皿」バランストレイというらしい。
http://www.active-shop.jp/?mode=cate&cbid=51197&csid=6
自分で発注したことないから知らなかった。6角形のも知らなかった。
薬包紙の包み方なんてわすれてしまった、というかほとんどやったことなかった。その場ですぐ容器に移すからね。
いわゆる、かさ密度の考え方ですね。
ATP粉末の真密度1.0 g/mL、かさ密度が0.5 g/mLぐらいだったと思うので400 μLは多いなと思った次第です。
あと、110 mgのATP粉末(溶解度50 mg/mL)が1.0 mLの水に溶けるのかということがありますが、そもそもATPは、水に単純に溶ける(溶解)と、水と反応してADPやAMPなどに分解する(加水分解)と加水分解によって生じるピロリン酸の加水分解(不可逆反応)が起こっていると思われます。
110mg のATPが全て水和状態にない、つまり、200 mMではない可能性が高いような気がしますが、いかがでしょう。
補足)「110mg のATPが全て水和状態にない」
110 mgのATPが溶けた、200mMのATP溶液ではなく、50 mg程度のATP、残りの60 mg(ADP, AMP ,リン酸, ピロリン酸等の混合溶液になっているのでは?
越智 武義という方がhttps://www.facebook.com/groups/823385524360038/でコメントしていることだと思いますが、その根拠がわかりません。水と反応して分解されることはないとおもいます。水溶液中で分解してしまうというのは水と反応したわけではなく不安定な物質だということです。
市販の注射駅http://www.nichiiko.co.jp/data2/21030/04_interview/adesinonP_i20-if01.pdf;10 mg/mL溶液(20 mMくらい)はアルカリ性で安定で、低温、遮光環境では結構安定なようです。半分も分解しちゃうということは室温で長時間放置しなければないかと思います。
Bio Technical フォーラムhttp://www.kenkyuu2.net/cgi-biotech3/biotechforum.cgi?mode=view;Code=1241でも議論されています。
このいい加減なプロトコルの主旨は、だいたい200 mM濃度を数滴を培養液に垂らすといいうのが骨子だと思います。ATPが有効なのかpHが問題なのか、ご本人もわかってないわけで、誰かに再現してもらいたいのなら、きちんとしたプロトコルを提示すべきでしょ。200回もやったのにもかかわらず、必ず再現できるプロトコルはないわけで(あったら理研の検証実験でできている)、「こうやったらできたことがある」程度で、しかもそのできたことがあるというのも怪しいわけですな。
ですから、このATP濃度についての議論は、少なくともSTAP現象に関しては、もう意味がないです。
結局、STAP研究での実際のATP溶液がどんなものか、確定できないってことで終了のようですね。
>「細胞培養の実験なんかやったことの無いジジイの言いがかりかもね」
あなたも、失礼ながら所詮退職した年金暮らしの爺さんなのかな?
ビール飲み。枝豆しゃぶりながら、テレビの向かってヤジ飛ばしているジジィのお仲間?
面白い事書いておられますのでついつい余計な落書きします。
無意味と思うような事でも、実態は違っていることがあった経験談。
管理監督者だった昔、焼き物となる原材料の混合物レシピの各成分秤量値を必要以上に天秤精度の限界まで測らせました。それによって、作業者の意識があがり、問題だった製品の不良率が減少したことがあります。
秤量精度が必要以上なのは最初は良い事でもあるのかな?
楽しんでいる人に、「余計なお世話」でしたね。
失礼しました。
コメントありがとうございます。当方はジジイですがまだ現役で、もう少しであこがれの年金生活になります。
焼き物で複数の原料を混ぜるような場合は、正確にそれぞれの重量を測定したほうが再現性がよくなるのは想像しやすいですね。正確に測定させることでほかの操作も正確になったのかもしれませんね。
0.01 mgの精度で決められた値を秤量するのはものすごく難しいので、このプロトコルのような操作は大変ですな。秤量できても 1 mlの水を加えたら200 mMになるわけではないので、ボロクソにいわれているところですね。
sigh さん
余計なお世話かもしれませんが、
めちゃくちゃなプロトコルのATP溶液濃度の件に関して一言。
化学的には、
「ATP110.57mgを1mlの水に溶かしてATP溶液を作ることと、ATP110.57gを1000mlの水に溶かしてATP溶液を作ることと等価で、共に濃度200mM(0.2mol/L in water )である」ので、プロトコルに記載上の内容は当業者なら容易に実施可能であるとは思いますよ。
このプロトコルの問題は実現可能かどうかではありません。以下、長くなりましたがご容赦ください。
届かぬ(お)ヤジ?さんの業界、つまり製造業のような場合、水を含めた複数の物質を混ぜるとき、それぞれの物資の容量あるいは重量を測定して混ぜることで問題ないかと思います。そのほうが現実的で操作が楽だし正確だし早いです。料理のレシピなどはこの方法ですね。ひき肉 100 g に醤油小さじ1 とかが普通ですね。
しかし、科学の分野では、通常モル濃度で物質の量を定めます。化学反応は分子の数が問題になるからです。この辺は高校の化学等で学生は教わることになります。STAP細胞の作製は単純な化学反応ではありませんが、水溶液を取り扱うときはモル濃度で表示するのが普通で、小保方もこれにならったわけですが、正しいモル濃度ではないと指摘されているところです。
200 mMのATP溶液1000 ml を作る場合、ATP 110.57 gを、例えば800 ml の水に溶かし、完全に溶けた後、水を加え最終的に1000 ml にします。この場合、ATP 110.57 gを1000 ml の水に加えてはいけません。ATPを1000 ml の水に溶かすと容量が1000 ml になる保証がないからです。溶かす物質によって最終的な容量が増えたり減ったりします。この水溶液から、例えば100 ml をとって何かの液と混ぜるとかすると、前者と後者では100 ml に含まれる分子数が異なることになります。ですから前者でないとまずいわけです。([ 加筆 ]勿論、在米ポスドクさんがおっしゃるように、ATP 110.57 gを1000 ml に溶かすなんて不経済なことはできません)
このプロトコルの問題点は、
「Dilute 110.57mg of ATP into 1ml of H2O(200mM in H2O)」
では正しい200 mM溶液にならないという基本的な誤りの他に、原理ではなくプロトコルなら、作成方法が現実的である必要があるのに、そうではないことにあります。
「110.57 mgのATPを取り出すことができるか」という問題があります。 0.01 mg を最小秤量とする電子天秤は珍しいものではなく、この分野の研究室には多分あるでしょう。しかし0.01 mg をコントロールするのは至難の技です。0.1 mg だって嫌ですね。ですからそれに近い重量を得て、モル濃度から容量が定まりますから、水に溶かし、水を加えて最終的な容量にします。これで正確なモル濃度の水溶液ができます。この操作でも総量が10 ml なら簡単ですが、1 ml だと難しいのでは?
110 mg が1 ml の水に溶けるかという問題が挙がりました。シグマのカタログを見ると「H2O: soluble50 mg/mL」とあるからです。しかし、これは在米ポスドクさんが実験して溶けることが確認されました。
110.57 mgという有効数字5桁の測定が必要かという問題もあります。プロトコルによると、「細胞が浮遊した培養液を遠心して細胞を底に沈め、上澄みを捨てて、500 μl のハンクス平衡塩溶液を加え(細胞が存在する液体の量が不定なので総量は500 μl 以上ある)、6 μl を細胞数をカウントするため取り除いた液に6 μl のATP溶液を加える」となっています。このような手順なのに有効数字が6桁も必要でしょうか?細胞が存在する約500 μlの液体に6 μlを加える操作ですからね。Vacanti によれば最終的なATP濃度は3〜5 mMという有効数字1桁ですからね。
小保方がやりたかったことは、「ATPを加えたい、しかし細胞が存在する液に粉末ATPを直接加えるわけにいかないから、ATP水溶液にする必要がある。ATPを溶かした液体(水)が培養液を薄めたりするのでその影響を少なくしたい」だと思います。ですから飽和に近いATP溶液を加えることにするわけですね。そこで「110 mg のATP を 1 ml の水に溶かした(約200 mMの飽和に近い水溶液)ATP水溶液(以下、ATP飽和水溶液とする)を作る。」と書けばよかったのです。
以上の点はこの分野の大学学生以上にとって常識なので、小保方は、モル濃度の水溶液を作れないじゃん、ホントに実験したの?と批判されることになったわけですね。ホントに実験したのなら、その操作(この場合ATP溶液を作成した方法、ATP何mgを水何mlに溶かした)をノートに記載するのが当たり前ですからね。このプロトコルを作成するにあたり、実験ノートを見れば実際の操作を記述できるわけで、そのノートがないから頭の記憶に頼って書くからこういうことになるわけです。
届かぬ(お)ヤジ?さんでも、焼き物を作る時、毎回、あれを何kg、これを何kgとか記録していた・させていたのでは?
>> ATP110.57gを1000mlの水に溶かしてATP溶液を作ることと等価
ATPは、筆頭著者さんの用いた安めのものでも、1 g につき、$40くらいするのですよ。量を沢山買うと割引がかかりますが、それでも100 g は$1015ですので、110 g 分では11万円くらいになります。
たかだか、1回の実験に6 マイクロリットルだけ用いるだけの為に1リットル作っていたら、税金の無駄遣いでしょう?
ブログ主さんも書いてらっしゃいますが、この実験における有効数字は、6 マイクロリットルを計量するピペットマンの精度に依存すると思います。6 マイクロリットルを最も正確に測れるのは、P-10という種類のものです。最も精度の高いGilson社製のもので、5 マイクロリットル量る際の系統誤差がプラスマイナス0.075 マイクロリットル、偶然誤差が0.030 マイクロリットルとなります。(http://www.technosaurus.co.jp/categories/view/262)すなわち、有効数字は3桁がいいところですね。こういった事は、実験を実際に行っている者にとっては当然のことゆえ、有効数字5桁の秤量の記載なんかを見るととても不自然にうつるのです。
量を増やしたら理論的には可能、と仰るのはその通りですが、コスト面からも実用面からも実験の実際と離れた、ためにする議論のように感じられます。
sighさんは学者さんでしょうか?
大変に詳しくわかりやすく解説していただき恐縮です。
正確なモル濃度は解説された通りですね。小保方さんの表記はどちらかと言うと製造的には分かりやすい。液体で混入するある特殊な成分を簡易的モル濃度表記でM in waterとかmol/L(aq)とかmol/L(水)などとして、相当する溶質と純水を別々に計量して混ぜ合わせることが、ミスを少なくできるとしていました。
設計FMEAの段階で、そうしたことが議論されていた記憶があります。
半導体セラミックスの場合は相当きめ細やかに、化学量論性を追及しますので、過剰とも思われる有効数字まで測定をさせる場合もあります。有効数字などは結果論的に製造仕様の精度を無理無駄ムラの観点で緩めていくときに考慮対象としています。設備精度優先です。
一寸、横道にそれますが、実務上は有効数字と誤差と作業精度ひいては作業意識も関るので、学術的机上論だけではない問題が性能品質に関ってきます。
話が戻りますが、詳しくは知りませんが、プロトコル中、たとえば研究過程でもiso9000的な品質認証を意識下に、FMEA的な事をやられていると思いますが、特性値の制御要因としての重点要素を分析したときに、議論の焦点になっている要素因子の寄与率の程度が分からないと、枝葉末節なものか、重点要素なのか分からないですね。
この場合は、STAP細胞作製に要の管理ポイントとして、ATP濃度の精度とpHの影響度の許容範囲がどうなのかという段階までにも落とし込まれてはいないでしょうね。
研究者の場合は、自分のやったチャンピオンデータを持ってきます。
我々の新製品もそこから始まります。最初は、再現しなかったり、上手く焼きあがらず、様々な要因分析結果と性能品質とを突き合わせてキャラクタリゼーションしていきます。まともな製品になるのに何年もかかることはザラにあります。iPS等の実用化も電子セラミックと同じように様々な工程があって、制御要因の分析や作製仕様の設定は
似てるかもしれません。
何が決め手か? 電子セラミックも現在はクリーン度クラス1の環境下で製造されてて、原材料品質と精密な自動秤量、生産設備精度などきめ細やかなファインテクノロジーの集積です。そんな技術に仕上げたのは現場の技術者が中心の現場現物主義の力が大です。
ちょっとやそっとやって駄目だった、再現性が無い、あの人のやり方が駄目などと言っているのは大抵、研究者達なんですね。
このSTAP細胞は私の目からすると結論が早すぎる気がします。
理研が履歴認識が曖昧な試料を遺伝子解析して机上論で結論出したという印象です。
私からすれば、現場現物の実証すべきことの取り組みがあまりに貧弱な事しかない。いっぱい検証すべき題材はあったのに、頭の良い人達は手を汚さない。総動員であらゆる要因を何故検証していないのか?例えばトヨタで品質問題起こしたら、全く根拠のない言い訳など許してくれません。現場実態を徹底的に調べ上げられます。ES細胞がどこから何故どのようにいつ混じったのか分からないという結論は何だということになります。理研のホームページの報告程度で終わってしまうなんて甘すぎですよ。
細胞の科学的な成り立ちの理屈は不完全なもので神秘的なものだからそんなに簡単じゃないだろうと思うのです。
誰も捏造しようと思って研究しないし、いろいろな角度から研究を見直す体制を作ってやれば、面白い実験結果が出てくるものです。着想の刺激にはいろいろあるだろうし、それなりの人が指導しながら研究し続ければ、セレンディピティと言ってますが、もっと面白いことが発見されていった可能性を期待しますね。あんなせっかちで、理研や学会の面子や規律をふりかざして、研究者たちをバラバラにしてしまったので本当の事が分からないし、折角の発想での起訴事実の積み上げもしなくなってしまった。
やむを得ないことも多々あるが、実証性されていない憶測だらけの他人の粗探しばかりが目立ち過ぎな気がします。世知辛過ぎな感あり。何事も運鈍根、特に鈍の境地が大切と言った小宮山宏東大学長がいましたが、理研の幹部はそういった度量の人がいなかったのであろうなと思っています。若い研究者はこれでは体裁は非の打ちどころはないが、注目を集める研究はしにくくなる。いろいろ叩かれても研究者にチャンスを与えて、他人の欠点は諭し、長所を生かす風土にしあげるのは長老の役目ではないかと思います。
ジイさんの戯言、暇に任せて書いてしまいました。
Sighさんは学者で教育者でもあられるのなら、良い研究が育つように御尽力、御活躍を期待しております。
届かぬ(お)ヤジ? さん
詳しい経験談ありがとうございます。管理者は製造現場を知らないので参考になりました。
「小保方さんの表記はどちらかと言うと製造的には分かりやすい。」そうですね。でも間違いです。料理のレシピだったらいいけど、科学のプロトコルですからね。
「研究者の場合は、自分のやったチャンピオンデータを持ってきます。」はしばしば大きな誤りを生じます。自分の仮定に合致したデータだからです。間違えてできちゃったのかもしれません。ですから本来、論文には平均的な値であった生データを示すべきです。研究者でもチャンピオンデータを眉唾で見ているヒトがいることをご承知ください。
「ATP濃度の精度とpHの影響度の許容範囲」を調べるのは別に製造業だからではなくても科学でも同様です。どうやらやるたびにpHの値は一定でなかったようで…これじゃATPと酸のどっちが有効なのかわからない…STAP細胞はできないのだから意味ないけど。
「例えばトヨタで品質問題起こしたら、全く根拠のない言い訳など許してくれません。現場実態を徹底的に調べ上げられます。ES細胞がどこから何故どのようにいつ混じったのか分からないという結論は何だということになります。」当然ですね。会社の存続に関わる事態かもしれませんからね。科学の世界でも根拠のない言い訳を許していないでしょ?本人の言い訳「あの日」を一部の人々が聖書のごとく取り扱っているだけです。「あの日」を高く評価しているまともな研究者を知りません。ES細胞を誰が使ってデータをでっち上げたかは、警察ではないので確たる直接的な証拠を得られなかったわけで、裁判等の法的プロセスになじまず曖昧にしていますが(小保方が弁護士を前面に立ててきたので)、誰がやったかわかっているところだと思います。
「いろいろ叩かれても研究者にチャンスを与えて、他人の欠点は諭し、長所を生かす風土にしあげるのは長老の役目」でその結果が今回の事件でしょ。さまざまな理由から長老は嘘つきを見抜けなかったのですね。現場から上がってくるデータが嘘だったら、その若者を目にかけていた長老は、つらいですな。