関節の角度を測定する器具をゴニオメータといって理学療法士には、医師の聴診器同様、使いこなす必要のある道具なのだ。
前に、肘関節の屈曲ー伸展をモニターするために簡易電子ゴニオメータを作成したことを記事にした。職場が変わったので、再度、実習のために作成した。原理は簡単で関節回転軸とポテンシオメータ(いわゆるボリューム)の回転軸を一致させれば、回転角度は電圧変化に変換できる。ただそれだけである。もちろん、ヒトの関節回転は3次元的に変化するわけだが、そして関節回転軸とポテンシオメータ回転軸が一致するわけがないのだが、屈曲しているのか伸展しているのかがわかればいいので、こんなので問題ない。
前回のバージョンはプラスチックものさしを使った。その理由は分度器の角度は透明でないと読めないからである。当然耐久性に劣るわけだが、当方が実施しているときは壊れることはなかったが、その後、風の便りによると学生さんが壊しているらしい。
今回はアルミのものさしを用いた。角度の測定は回転軸を通る直線が必要なので、フライス盤で穴をあけることにした。
全体像である。上腕と前腕にそれぞれ2本のベルクロテープ(マジックテープ)で取り付けるわけだ。今回は分度器を360度ののものにしてみた、半円のでかまわないけどね。
裏面である。ポテンシオメータが見える。ケーブルは多芯のシールド線とし、シールドの網線をポテンシオメータのケースにはんだ付けすることで、引っ張ったときの力が信号や電源の線に加わらないようにした。なにせ、学生さんの取り扱いはひどいからね。これも3年もつかどうか。毎年修理だろうな。
フライス盤で穴をあけ、角度が読めるようにした。
PowerLabというデータ収集装置でチェックした回転の出力。
PowerLab の入力コネクタDIN8 は入力以外に±5 V の電源出力が用意されている。
プラスとマイナスの電源供給ピンそれぞれに 1.6kΩの抵抗を挿入した。これはポテンシオメータ周辺を壊して±5 V がショートしたりしたときに過電流が流れないようにするためである。1〜2 kΩ位でいいだろ。コネクタの中に仕込んだから外からは見えない。ポテンシオメータは 10 kΩだから± 3.7 V 位の変化になる。肘関節はそんなに回転しない。
パネルのコネクタのpin assignments (AD Instruments のページから)。プラグのハンダ側も同じ配置になる。
1台作るのは簡単なんだけど、実習用だから実習班の数+予備を作る必要がある。疲れた。
学生さん用の治具の作成お疲れ様です。
学生さんに自作しろと言っても、うまく作れないと思います。
私は電気抵抗値では、E12ステップを使っていたので
「1〜2 kΩ位でいいだろ」と思うと1.5KΩを思ってしまう。
senjyuさん
おわかりのように抵抗を挿入した意味からいって1〜2 kΩ位でいいので、手元にあったのが1.6 kΩだったわけです。抵抗は100本単位で購入してきたので、10 kΩ のような抵抗値のものとは異なり、1.6 kΩは使い道は限定されているので余っているわけで、使ったわけです。ポテンショメータが10 kΩ で300度回転するとすると、90度の回転で2 V 程度の変化が得られるので、電圧変化としては十分でしょ。
一番の問題は回転軸が安物のポテンショメータそのもので、ここに耐久性がないですね。アルミ物差しに、しっかりとした回転軸を取り付ける等の耐久性を考えたものを作成すればいいのでしょうけどね。