一研究者・教育者の意見というSTAP事件について言及しているブログの1つがあるのはご存知だろう。
2016年04月02日に「ライターの粥川準二氏は若山教授の論文をその出版前に批判していた」という記事を書いて、そのあと2件の記事を書いたが、STAPとは関係のない記事だったためコメントは増えず、8月初旬までに4月2日の記事にコメントが5千件を超えることになってしまっていた。
2016年08月09日に「帰納と概念」というSTAPに関連する記事を書いた。
どうやらこのブログ主は粥川準二氏のことがお嫌いなようで、4月2日の記事のタイトルはあたかも粥川氏がのぞき見して記事を書いたかのような、批判的なものだが本文の内容とは一致していない。木星の付けるタイトルのようだ。8月9日の記事も「粥川氏が一生懸命その違いを述べれば述べるほど、「概念」を理解できていない」と批判している。ここでいう概念とは笹井氏が立てた撤回された Naure Article のdiscussion 冒頭の“This study has revealed that somatic cells latently possess a surprising plasticity. This dynamic plasticity—the ability to become pluripotent cells—emerges when cells are transiently exposed to strong stimuli that they would not normally experience in their living environments.”のことである。
笹井氏は、当時、小保方の実験結果ーさまざまな強い刺激を与えると体細胞が初期化するーを信じてこのdiscussionを書いたわけだ。実験結果が正しければ、だれでもこのような考えを披露するだろう。しかし、今や、実験結果に信頼性は全く無く、論文は撤回された状況で、撤回論文の概念を理解していないと批判するのはどういうことだ?そんなありもしない概念を理解していないという批判はお門違いだ。
概念を確立させるためには、事実を示す必要があるわけで、「STAP現象でないと説明できないことがある」というこの「こと」を示さないと概念にならない。撤回された論文に概念なんかないのだ。ブログ主自身が妄想と書いているように、STAPはまだ妄想なんだよな。
2つのSTAP現象と関係があるかもという米国のVojnits等、およびドイツのKim等の結果をよく精査し再現性を調べないといけない、なんて形式的なコメントをしても意味がないだろうが。勿論、科学なんだから完全な否定はできないわけで、可能性を言い出したらきりがない。一流の研究者なんだろうから、STAP現象を明確に、現在までの証拠ではと仮定をつけてもいいけど、否定すべき立場にあるんだろうが。再現したければご自分の研究室で調べればいいじゃん。できるような研究室なんでしょ?小保方がネットやマスコミでいじめられたと思うこととは別問題だろ?
基盤Bの研究費で?ちょっと殺生ですよ、それは。
我々納税者としては、よい教育、よい研究、よい組織運営をして頂けるよう励ましていくしかありません。
帰納:個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。
高校時代に、数学的帰納法を知ったときはビックリしたな。
研究者は、「仮説と概念」という題名にしておけばよかったと思う。
なんで「帰納」なんて使用したのだろう。
8月5日:笹井氏は無念だったろう。
新記事にコメントを入れてからこちらにお邪魔したところ、すでに先生が同じことを書いてらっしゃいました。狸さんのところにもいらしたようですね。
同じ帰納といえど、笹井さんがやったのは、「あれもこれもそうだから、こういう仕組みが背景にあるに違いない」というenumerative induction(枚挙的帰納)、もしくは、「こういう仕組みを仮定したらうまく説明がつくね」というabduction(仮説形成)だけど、元々の説明がつくべき現象が偽物だった今となっては、一研究者氏のやっているのは、「これもあれもそれらしく似てるし、おなじようなもんじゃね?」ってanalogy(類推)にしかならないですね。
>> 数学的帰納法
『ハゲの人をフサフサに、フサフサの人をハゲにできる』、という画期的な使い方以外、人生で役に立った事はないですが、私も習ったときはビックリしました。上記の証明では、『1本くらい抜いても植えても変わらない』というのがミソです。
「自分でやれば」はちょっと口が滑ったようです。でも一研究者・教育者さんは「権威のある研究者が「意味なし」と明確に言わない」方の一人と「世界三大不正」ブログ氏にいわれてもしょうがない研究分野の方では?そのような方が撤回された論文の「概念」を持ち出すのはいかがと、いっぱいやりながら書いたわけです。
なるほど、「現役のPIは、STAP騒動で傷ついた日本の科学界を立て直す事にもっと腐心して欲しい」とするのと「自分でやれ」とするのでは格調がちがいますね。勉強になります。
ハゲにとっては1本の毛が重要で、ハゲの定義が当人ごとに異なるらしいので、1本増えたらハゲでなくなった、次も増えるだろうと自慢するハゲがいてもおかしくない。でも過酷な環境に置いた筋や培養癌細胞は毛じゃないからね。
ん~、専攻内では異色かつ異才。生物学の範疇におさまらない別の複数の視野から現象や仮説を評価する能力を有する一方、ふつうの生物学者なら「誤差の範囲」と無視してしまうような差異にも有意差を見出すような注意深さを有するお方、とでも言いましょうか。
はたから見ると、どうしてもその「巨視」vs「微視」の間に「飛躍」や「思い込み」や「用語の使い方の不一致」があるように取られてしまい、印象的にはかなり損をしておられますな。
そこをうまく説明できたら、そんなに批判されることもないでしょうに、どうもそこが「不器用」でいらっしゃるのです。