文科省の中学理科の指導要領 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/chu/ri.htm によると
「血液の循環についての観察,実験を行い,動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察,実験の結果と関連付けてとらえること。また,不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解すること。」
とある。
「FdData中間期末」といページでは,実際に全国の中学校で出題された試験問題をワープロデータ(ワード・一太郎文書)にした過去問集を販売しているところで、サンプルであるhttp://www.fdtext.com/dat/fdata_r2s5_hh.pdf を見ると循環系の大まかな部分は学習済みなはずだ。
有名市立中学の入試問題にも心臓が4つの部屋に分かれていることを題材にしている。ということは小学校の進学塾では教えているのだ。
にもかかわらずだ。
「肺で酸素化された血液(動脈血)は肺静脈から左心房へ流れる。左心房から2枚の弁膜からなる二尖弁(僧帽弁)を通り左心室に血液は流れ込む。左心室が収縮すると血液は大動脈弁を通り大動脈へ流れる。その後分岐した動脈を流れ、末梢組織の毛細血管で血漿と間質液(組織液)との間で物質交換が行われる。物質交換が行われるのは毛細血管のところだけである。
物質交換を行ったり、酸素を放出し二酸化炭素を吸収した血液(静脈血)は大静脈に集まり、右心房に流れる。右心房から三尖弁を通り右心室に血液は流れ込む。右心室が収縮すると右心室の血液は肺動脈弁を通り肺動脈から肺へ流れる。」
という文章から循環系の絵を描いてみろといった。赤字は循環系のパーツだからこのパーツがどこにあるかも記入しなさい。という課題をだしたらほとんど全員が絵を描くことができなかった。弁の名前は中学では習わないが他の赤字の単語は中学で習っているのだ。心臓が4室から成ることすら知らないようだ。
門脈も中学で教えているようだ。なんてこった。これまで何をやっていたんだろうか。こういうことから講義を始めないといけないというのが現実なのだ。情報量が多いと学生に文句を言われても、その情報の大部分は中学や高校ですでに学んでいることなのに。高校の生物の繰り返しで終わってしまう。ここは大学なんだろうか。