須田 桃子著 “捏造の科学者 STAP細胞事件 (文春文庫 す24-1)”が届きました。加筆があったという12章以降をざっと読んでみました。前の著作の発刊以降の多くの事実はすでに知られていることですが、その中で、興味を惹かれた部部分は、桂委員会の委員の方々への問い合わせ結果です。
面接は3回行われたようですが、『彼女はよく喋りました。ときには嬉々として。』「STAP現象に関する持論や思い入れをとうとうと述べる場面もあり予定の時間を30分超過した」『自分の世界がというものがあって、ひきいれられてしまうという感じがあった。それなりの説得力があった。』「1回目の終わり近く、共著者との行き違いに及ぶと、小保方氏は感情を抑えきれない様子で泣き出し…」「小保方氏への同情論がにわかに盛り上がった…」
という記述があります。
「あの日」には1回めの聴取は数時間に及び精神力を使い果たし…体が鉛のように動かない とあり最後は疲れ果てたことは一致していますが、その前の嬉々として話したことはかいてありませんな。
あちこちで言われていますが、プレゼン能力が「半端ない」人なんですね。桂委員会はそれなりに批判的な方々が集まったと思うのですが、それでもプレゼンに納得させられたり同情を得たり…道を誤ったとしか言えないですね。
以下は勝手な想像です。
自分なりに構築した世界があって、その世界と現実社会に乖離が見つかると、対処できない方なのではないでしょうか。普通は自分の構築した世界がその社会で通用しないとすると、自分の世界が誤りであるとして修正することが多いと思います。これがブラック企業で新入社員がこき使われる原因でもあります。世の中のほうが悪いとすると、その社会から出ていく=ブラック企業から退社することになるか、あるいは犯罪に走っちゃうのかも。
研究室でのプログレス・レポートで突っ込まれると怒り狂ったという話があります。この委員会では突っ込まれても怒り狂うことができず泣いて動かなくなってしまうというように、自分の世界と現実に乖離があると感情的になって、その場はおしまいといいうことになります。しかし、相手が人ではなく、実験結果だと、自分の思い描いた結果ではないと、実験結果=現実世界を書き換えることができ、御本人にとって見た目の整合性を保つことができるのでしょう。書き換えたことは記憶にはあるものの通常の思考では押しつぶされていて意識に登ることはないので、「ES細胞を混入していません」なんて言うことができるのではないでしょうか。書き換えた実験結果が自分の描いた世界と一致するわけで、とうとうと自説を述べることができるわけです。こういう方と接触したことがないので単なる想像です。
「あの日」には、須田氏から脅迫めいたメー来たと書いてありますが、御本人に直接出したメールは1通のみ、あとは弁護士経由だったそうで、本当に殺意さえ感じられるものだったか疑問です。ほかの多くのメディアの取材攻勢もあったわけで、須田氏だけのことではなかったのではないでしょうか。あるいは意識して悪者にしたかったのかもね。
「捏造の科学者ー完全版」P.435から引用します。
『小保方氏が最も訴えたかった「真実」が垣間見えるのは、若山照彦氏に関する記述だ。手記では、謙虚で親切なキメラマウス実験の協力者という最初の印象が、研究の進展とともに急速に変化していく。(中略)小保方氏の視点からの数々の描写があった。
興味深い事に、2014年6月に「遠藤解析」や「若山解析」の結果が相次いで明らかになったことを、小保方氏は「私がES細胞を混入させたというストーリーに収束するように仕組まれているように感じた」とまで書いていながら、ES細胞混入の事実を決定的にした理研の科学的検証実験の説明はごくわずかにとどめている。手記の中で肝心の混入の実態はあいまいなままだ。「(遺伝子解析された)多くのサンプルが若山研にいた頃に作製された」など、読者の目を若山氏に向けさせるような記述が散見される反面、山梨大に若山氏が転出した後に実施され、二種類の細胞の意図的な混入が疑われるFI幹細胞の遺伝子解析については一切触れられていない。』
この部分は、複数のブログで何度も指摘されてきたことだと思います。
「私がES細胞を混入させたというストーリーに収束するように仕組まれているように感じた」のであれば、それを否定する方法がいくらでもあったはずですが、彼女にはその証拠となるものを一切出すことができなかった。そして、「手記」という手段を使っても、誰かに疑惑を向けることでしか、自身の潔白を主張することしかできなかったわけです。
多くの人は手記を読んで、「STAPはなかった」と理解したのだと思いますが、一部の人たちはそうではなかった。
筆頭著者が避けた科学的な部分での証明に没頭したり、「知人」という言葉を述べなかっただけで、一人の研究者を刑事告発する、という愚劣な行為に及びました。そして、それらの行為は形を変え、今でも続いています。
>研究室でのプログレス・レポートで突っ込まれると怒り狂ったという話があります。この委員会では突っ込まれても怒り狂うことができず泣いて動かなくなってしまうというように、自分の世界と現実に乖離があると感情的になって、その場はおしまいといいうことになります。しかし、相手が人ではなく、実験結果だと、自分の思い描いた結果ではないと、実験結果=現実世界を書き換えることができ、御本人にとって見た目の整合性を保つことができるのでしょう。
「捏造の科学者ー完全版」のAmazonレビューに、『さんざん甘やかした大人が悪い』(https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RG7QFW7SHKJ4D/ref=cm_cr_srp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4062200120)
にも、同じような意見が書かれています。
【追い込まれても、泣いて過呼吸になれば許されたんだと思いますが、世紀の大発見が絡むとそうもいきません。】
【この手の人は、結論ありきで論理構成し、自分の記憶も塗り替えるので、本書のような内容になるのでしょうね。
そういう意味では、この本は『真実』を書いている。
但し、小保方さんが体験した『真実』を。】
手記や日記を読むと感じるのですが、小保方氏の記述の中には、擁護の意見を参考にしたと思えるものがいくつかあります。
須田さんも上記のレビューを書かれた方も、小保方氏から見た「真実」について触れられていますが、多くの擁護の方々の妄想や思い込み、若山氏に対する誹謗中傷が、小保方氏の中で「真実」となり、「私がES細胞を混入させたというストーリー」という、構築された世界を創りあげてしまったのかも知れませんね。
因みに、ROさんという方が書かれたレビューも秀逸でした。
この方は研究者なのだと思いますが、私は「あの日」のAmazonレビューに投降したおかげで、ROさんから多くの事を学びました。
一読をお薦めします。
失礼致しました。
「体内時計」2018年10月9日 9:31 AM のコメントですが、『さんざん甘やかした大人が悪い』のレビューは「あの日」のレビューでした。URLは合っています。
申し訳ありませんでした。
須田氏からアポの申請があったときに、あって話をすればいいと思いますけどね。科学に精通している記者の記事なら世間への影響も大きかっただろうし。
やましいところがなければ、堂々と取材を受けられると思いますけどね。
山の住人さん
御本人はやましいなんてちっとも思っていないと思います。捏造した認識に欠けている(意識の下に押し込んじゃった)と思っています。須田氏を避ける理由は、会ってインタビューを受けると、現実世界と御本人の世界が合致せず御本人の世界が壊れちゃうのが予想できるからでしょ。壊れたとき、怒り狂うか涙流して失神しちゃうかのどちらかしかできないのです。相手が権威がない(と判断した)方々の場合は前者を、establishしたそれなりの年齢の(主に男性)研究者には後者を選択すると使い分けるわけですが、須田氏は若い女性でジャーナリストという筆頭著者がこれまで経験した範疇にない方ですので、対応できる自信がないので取材拒否するのだと思います。これまでの2つの対応方法が通用するかわからないからです。
なんて一杯入っているおっさんの戯言です。
その後の対応を見ているとおっしゃるように見えますね。
ただ擁護の連中はそこまでとは当然思っていないのですから、筆頭著者がそんなに自信があるなら、逃げ回ってばかりいないで、須田氏と向き合って洗いざらい言って記事にしてもらったほうが、手っ取り早いでしょ、と擁護に言っているわけです。Hi
田舎者の戯言です
そういう発言は人権侵害だ!
と言うべきなんでしょうが手記やら日記やらでげっぷが出てもう言ってもらえないですよ。
自らの手で裏書きしてしまった。
あるところまでは戦術なんでしょうが。本当にどうしたかったのやら理解できない。
合掌。