Lateral inhibition 側方抑制

あるニューロンが隣のニューロンの活動を抑制するようになっていて、このようなニューロン群が平面に並んでいると(2次元でなく1次元でもいいけど)、ニューロンは互いに抑制し合うが、その中で最も興奮したニューロンが隣をより多く抑制することになり、その結果周囲のニューロンの活動が減少する。したがって、そのニューロンの興奮が際立つことになり、これはコントラストを付けることになる。このようにアレンジされた神経回路を lateral inhibition (側方抑制)という。

これを視覚的にわかり易く示した錯視の例を挙げた。

20140501latereal_inhibition
この絵を見ると白い格子の交点が灰色になる。交点のところは左右の白と上下の白から抑制をほかの白い部分に比べより多く受けるので黒に近く=灰色に見えるという錯視が生じる。注目する交点にはなく、その周辺の交点が灰色になる。これが側抑制の効果だ。視野の中心部は網膜の中心窩になるが、この中心窩には即抑制回路がないから白いままで、網膜の周辺部に即抑制回路があるからだと説明した。側抑制がホントに網膜だけで生じているわけではないだろうけどわかりやすい例なので、側抑制という神経回路の説明として学生に提示したのだ。
学生の反応として、「なるほど」 というのを期待したのだが、「灰色に見える、見える」と喜ぶだけで終わってしまった。何故灰色に見えたかわかった?と講義のあとで学生にきいたらわかっていない。あー、どうやって説明したらいいんだろ?
なぜだろ?というステップに進まないのだ。幼児は一時期、親に「How come? どうして?」となんでも聞くことがある。親が答えに困ることがある。子供は単にどうして?と聞くことで学習しているので、ホントの理由かどうかは気にしなくていいのだ。親の説明を聞いて「だったら、xxはどうなるの?」と問い返す子供は素晴らしいけど、そんな子供はめったにいない。
「わーすごい!」から次のステップの「何故?」に一段上がれるかどうかが分かれ目になるんだよね。]]>

「Lateral inhibition 側方抑制」への3件のフィードバック

  1. huhuさん コメントありがとうございます。
    ま、そうでしょうね。人間の視覚情報処理がカブトガニの目のように単純だとは思ってません。多分、錯視を生理学的なニューロン結合等で証明されているのはないのでは?
    lateral inhibition の説明にハーマン格子がいいと思いません?
    生理学の講義では、そんな単純ではないよ は次の次のステップでとりあえず側方抑制の理解に役に立つとおもいますよ。
    抽象的な側方抑制の神経回路を示すより、実際に体験させたら理解できるかと思うのですが、記事のように、学生さんは単純ではないのです。

  2. 確かに「線を曲げると見えない」と知っても
    なぜだろ?というステップには進みませんね。

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