文系の教員も加わる委員会に出た。倫理委員会である。小さな大学だから全学で1つである。文系の研究で倫理問題が生じるのがどんなことかわからない。これまでの本審査になる申請書の多くは医療系の研究だからだ。
文系大学院学生の研究の倫理審査が問題になった。大学院学生の研究テーマは研究グループのテーマの一環であると、管理者は信じていた。理系だからな。血圧の神経性調節の研究室で、iPS細胞を使った再生医療の研究をやりたいといったって無理だ。学生が入学する前にテーマはおのずから決まって来る。ところが文系では違うようだ。大学院学生が入学して始めて研究テーマが決まるんだそうな。指導教員の研究分野の研究とは限らないらしい。
理系では研究を実施するための機材に金がかかるから、特定の測定方法を行う機材があって、あるいはそのような機材を開発して研究が実施される。空間的にも予算的にも研究室のテーマ以外の研究は無理だ。指導者の頭だって専門の異なる分野の研究はなかなか指導できない。文系だって、機材を必要としないとはいえ、専門分野が異なれば指導は難しいと思うのだが、ちがうようだ。
したがって、大学院学生の研究で倫理審査を必要とする場合、倫理審査委員会の承認をとるためには年2回の審査会では間に合わない。そこで大学院学生専門の倫理審査を部署毎で行い、その事後承認を本来の倫理委員会が受けるということになっている。反対したけど、認められなかった。なんと、大学院学生の研究レベルと教員の研究レベルは違うという発言もあった。驚いた。
倫理委員会で承認された研究については、共同研究者の追加のみはあとから簡単な手続きでできるというルールを提案したのだが、それも却下された。文系の教員は大学院学生の研究テーマが入学しないとわからないから、あらかじめ申請できないからだ。
あっちに行ってから2年目、驚く事が多い。