実験は、だからやってみないとわからない。

浸透圧観察装置を使って実習を行った。1M、0.5M 蔗糖液そして水 の3つの液体を卵殻膜で仕切って水に浸けたわけだ。
蔗糖液は無職透明だ。提供する溶液の容器にラベルを付けて学生に供与するのが本来だが、彼等は間違える。そこで0.5 M蔗糖液は緑、1 M 蔗糖液には赤になるように色素を加えておいた。結果は;

20140429osmotic_pressure-3 20140429osmotic_pressure-2

である。左の写真のようになるのが予想で、ほとんどの実習班ではそうだったが、1つの班では右写真のようになってしまった。つまり、0.5 M の液体のほうが液面の移動量が大きい。決して初期値(最初の液面の高さ)が異なったからではない。漏れがないことは学生は確認している。さて、どうしてだろ?これを議論するのが考察だ。結果が教科書通りにいかなかった班はラッキーだ。考えることが一杯あるからな。色がついているので液体を取り違えたという言い訳はできないのだ。
だから、やってみないとわからないのだ。
原因は、次のクラスでも同様な事象がみられたので、注意深く観察したらわかった。

左が予想通りだった例、右が 1M 溶液の液面の高さがほとんど移動しなかった例

糸で卵殻膜をガラス管に縛って取り付けると、かならず卵殻膜にはしわー折り目ができる。その折り目=卵殻膜が重なった部分が赤あるいは緑の色が濃くなっている場合がある。これは縛り方が緩く、あるいはきちんと縛っていないので糸の上のほうから液体がもれ、その液体が毛管現象で折り目に集まっているからだ。つまり折り目が色濃くなっていることは液体が上の方から少しずつ漏れていることになる。卵殻膜が破れているときは液体がぽたぽた垂れるのですぐわかるが、隙間から少し漏れるのはよくわからない。液体に色を付ける意義がまた別にあったことになる。
液体の移動量は圧と膜の抵抗に依存する。オームの法則だ。移動量を浸透圧の関数にするためには膜抵抗を一定にする必要がある。膜抵抗は卵殻膜の取り付け方に依存する。たっぷり余らせて取り付けると水との接触面積が大きく、すなわち抵抗が少なくなる。ガラス管の径にあわせてぴったり取り付けると抵抗は高くなる。この実験では膜抵抗を一定にしたわけではないので、移動量は濃度から一義的に決まらない。しかし 1 M と 0.5 M  では濃度が大きく異なり、卵殻膜のたるませ方は調整できないが大きな差がないとおもわれるから、移動量は濃度が高いほうが大きくなるだろう。時間が十分、例えば丸2日とかだったら移動量は関係なくなってくる。液面はある高さに限りなく近づくだろう。
[ 追記 ]
4つのクラスで実施したが、何故か赤い液(1M)の液面がそれほど上昇しない班が頻発した。硬いガラス管に糸を巻き付けて縛るのがうまくいかないようだ。しっかり縛ったように見えるが実は緩い。実験が終わって卵殻膜と縛った糸を取り除くとき、卵殻膜を引っ張ると糸ごとつるりと取れてしまう。管理者が予備実習で行った時はなかなか取れないのでナイフで糸を切る必要があった。どうやら学生はしっかり縛ることができないようだ。硬いガラス管に縛るのでしっかり外科結びをしろと、実習書に書いてあるのに….口頭でも説明したのに….
昨年度はプラスチックのシュリンジだったので弾力がガラスに比べあるので、しっかり縛る事ができたのかもしれない。やってみないとわからないもんだな。