ここは幼稚園か?

今年の生理学実習も残りあとわずかになった。
実習は疲れる。その騒音に疲れるのだ。クラスを実習によって6班〜12班にわけて実施するのだ。メンバーが固定しないように毎回ランダムに学生を配置する。必ず、仕切る奴がいて、固定化すると役目が固定されてしまうからだ。去年は、目立った仕切り屋が何人かいたが、今年は余り目立たない。仕切り屋のペースで終了する時間が決まる。仕切り屋は多くの場合、実習内用を理解している。誤解していることも多々有るけど。実験はヒトを使う事が多い。つまりお互いに被験者/実験者になるのだ。被験者を決めるのは、学年の初めのころは、決まってじゃんけんである。後半の今頃になると、最初から自ら被験者になる学生がでてくる。だいたい、なんだかんだと騒ぐ男の学生が最初に被験者として名乗り出る。こういうのがいる班は実習が終わるのが速い。たまたま遠慮がちな学生ばかり集まるとなかなか終わらない。
しかし、実習はうるさくてかなわない。よその班の学生にちょっかいをすぐ出す。ちょっかいを出す学生は決まっている。こういう学生を所属する班に実力で戻す訳だ。実習室には「ハリセン」とTVでコメディアンが良く使っている「音の出るハンマー」が用意されていて、これを使うことがあるのだ。まるで幼稚園だ。あちこちに散らばった学生を元に戻す作業が、実習教員の役目とは、誰にも信じられないだろうな。学生の保護者は想像すらできないだろうな。一度、保護者に授業/実習参観に来てほしい。幼稚園や小学校並みなんだから。
実習の最初に、実習書をまず10分くらいかけて読ませる。実習書は、ここまで書かなくてもいいだろと思うような懇切丁寧な物だ。2年がかりで作ったからな。学生の理解度を最初の1年で予想して作成し、2年目の今年、昨年の経験を踏まえて改変してきたのだ。欠点は、こんなことまで書かなくても良いだろうということも書いてあるので、どうしても長くなってしまったことだ。学生は長い文章を読めない。ぱらぱらと眺めることしかできない学生がいる。
その後15〜30分かけて(H君はこれが長い、合計1時間もかかると学生の注意力がなくなってH君のしゃべっている事を聞いてない)、口頭で説明するわけだ。一番最初、この大学に非常勤で来たときは、よくわからないので、今まで同様、実習の目的と方法を口頭で説明し、方法は実習書に書いてあるからそれに従え、だけだった。悲惨なことになった。実習書を読ませ、口頭で説明しても、いざ始まると「これはどうするのですか?」という質問が必ずくる。「実習書に書いてあるだろ、さっき説明しただろ」と何回返事したことか。とほほ……
「先生はオレンジ色のセーターは似合わない」 「先生は料理できるんでしょ? ハンバーグが食べたい」 「カレーがいい」 だって。カレーにハンバーグかよ。幼稚園児だな、全く。カレーだってグリコのバーモントカレーみたいな物しか食った事無いんだろうな。
実習の目的を理解できていないので、また、まじめなので、「5分間、xxxという操作をする」と実習書に書いてあると、ストップウオッチできちんと5分、カウントダウンとかして実施している。何故このような操作をするのかがわかっていないのでこういうことになる。ストップウオッチで時間をきちんと測定した割には、実習書に「直後にxxせよ」と書いてあっても、ふらふら遊んで時間を開けて次の操作おこなう。この場合は直後の操作が大事でその前の操作は4分30秒でも5分30秒でもかまわないのだが…..「10秒以内に」とか実習書に書いてないことがいけないんだな。来年も実習書を改訂しないといけない。また長くなるな。
なんせ実習が30回もある。こんな大学は他にないと思う。多くても15回、そのうち始めの一回は実習の総論的な解説、最後の2回は学生に結果発表をさせる(プレゼンテーション能力を養うというのが最近のトレンドだからな)わけで実際の実習は10回ちょっとだろう。この大学は通年で、つまり30回で、文科省の規則を守るので合計45コマを前期、後期で分けるので、前期15コマ15回、後期30コマ15回、合計30回ということになっている。なんとか、このカリキュラムを変更して後期に集めて15回にしたいのだが、できない。その大きな原因は、2部授業体制だからだ。同じ講義、実習を2回/2クラスで実施しないといけないのだ。実習室が狭いし、機材がない。なんとか1〜3限をAクラス、3〜5限をBクラスとして後期だけにしたいのだがなかなかできない。講義だけは2クラスを一同に集めて実施することができたのだが。
実習回数が多いのは、こっちの負担が大きいが、レポートの書き方に関しては回数が多い程良くなるという長所もある。教育が業務なんだから、それで給料をもらっているのだからしょうがないけど。
水曜日に理学療法学科の、木曜日に作業療法学科の実習なので、水曜日と木曜日は「死の二日間」といって、何も出来ない日なのだ。幸いな事に、木曜日は会議の日で途中非常勤のH君とTAにまかせて抜けることができる。会議と実習とがぶつかっているというのはすばらしいスケジュールなのだ。